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俺の夢日記  作者: クスクリ
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俺は夢の中で懺悔した

 夢とは現金なものだ。あの会社、本当に辞めてやったら内容がころっと変わって今度は働いている夢に変わってしまった。現役の頃は辞めたくて辞めたくてしょうがなかったにも関わらず、良かった、まだ俺は辞めてなかったんだとほっとする俺が夢の中に居た。


 だが今、どうして辞めてしまったんだと後悔する俺は夢の中には居ない。あんな会社、辞めて当然だったと開き直っている。夢の中でひたすら糾弾するのは支店長、SMYMだ。ざまぁ見さらせ。


 この夢日記本編にも述べているが、俺はドリームコントローラーだ。夢を夢と認知できる。だからどんなに怖い夢でも大怪我する夢でも殺される夢でも何ともない。ヘだ。現実世界の不遇・不幸を夢を見ることで晴らすことができる。まぁ俺にとっては誠に好都合・便利なことこの上ない。


 夢としては見ている人間を怖がらせたいのだろうが、俺だけは無理だ。諦めてくれや。ちょっとでも俺の見ている世界に整合性がなかったり辻褄が合わなかったりしたら直ぐ頬を抓ってしまう。それで夢と分かるから、飛行機からのダイブも断崖絶壁からの飛び込みも銃弾も受けてしまう。まぁ夢君、腐らずサボらず俺が死ぬまでちゃんと働いてくれたまえや。


 俺は二十歳くらいから、見た夢を書き留めておいたのだが、間違って本ブログの方を消してしまった。だが下書きブログの方が残っていたので、加筆修正してこのブログにアップしておく。



 俺がお客の後藤さん(RVR・ラパンと俺から二台車を買ってくれた)と一緒に新聞のモニター(新聞に画面などある訳ない。夢はいい加減)を見ていると、突然支店長のHRYが現れて、 「何やっとんじゃ!やけん車が売れんやろうが」と俺を詰ったあと、何故か激しい雨の中に飛び出して行く。


 HRYは俺より10歳ばかり上だろうか、高卒で整備専門学校出だ。ずっと整備畑だったのだが、IWMTとかいうKSK大学出のアホが支店長で乗り込んで来て、そいつの金魚の糞に成り果てたお陰で支店のトップの座に登り詰めるとこができた。こいつに営業経験はない。勿論、車など一台も売ったことはない。顔を合わせれば、二言目には一丁覚えの「ベテランがー!」と吐き捨てる。単なる馬鹿だ。ほんとこの糞会社、人の能力など二の次で情実人事ばかりやってやがる。潰れないのが不思議だ。


 俺は慌てて支店長を追う。

「支店長待って下さい。俺の言い分も聞いて下さい」

 俺はずぶ濡れの支店長をタオルで拭いてやりながら、「俺は足を引き摺りながらもう30年も車を売ってきました。後3年で辞めます。ですが、それまではYHTHGS店に貢献して後輩の育成に努めます。俺はもう疲れました。鬱の一歩手前です。もう勘弁して下さい」


 俺は今週三日も休みがあることを、俺と同じ33年生まれの店長の松田に申し訳なくて恐縮していた。YHTHGS店に向かう。

 ――俺は休みのときもちゃんと仕事のことは考えてるんです。

 その言葉を証明するために、休みにも関わらず丸〇野と机を並べる松田の前にその姿を曝す。


 松田は昔気質の車売りだ。猛烈に仕事をしてきたというのが誇りだ。だから、店長になっても自分には休みはないと思っている。当然課員の店休日以外の指定休も面白く思っていない。俺は反発したが、丸〇野は店長の意志を汲んで、指定休のときはいつも30分遅れで出て来て閉店まで働いた。その結果、四十過ぎの中途入社にも関わらず、十年で課長代理に出世した。

 俺は何度となく、こういうことをされると他の課員もとばっちりを受けて休み辛くなるから止めろと忠告したが、聞く耳を持たなかった。


 俺の会社の定休日は毎週・月曜日だ。今週は月曜日休んで火曜日出勤して水曜日・木曜日連休となっている。俺にこの週の見込み客は無い。必然的に売れる可能性もない。

 それなのに週に三日も休めるのか?

 正課長なら休みを返上して会社に出てきて、気合いを見せるべきではないのかと言われそうでビクついてしまう。悲しい性だ。

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