(3)ゲイドラゴンについて
ゲイドラゴンについて概要を話します。この作品は同性愛に対して否定的に見るものではありません。身内ネタを含みます。
「それじゃあ、天才美少年さん。これから簡単にゲイドラゴンスレイヤーの仕事について説明しますね」
訓練所での試験を終えて、最初に通された部屋に戻った俺は、ギルドマスターから簡単なレクチャーを受けていた。
「ほんほんほん。おーん」
ギルドマスターはまず、俺に竜種についてのある程度の知識を話してきた。
その説明によると大雑把にはこういうことらしい。
この現代社会には生態系の頂点に立つ最強の存在として竜種というものが存在していて、彼らは太古の昔には自分たちよりも弱い他の種を馬鹿にしたりして、ゲームと称して狩りのように遊び半分で命を奪ったり、手足をもいだりして自由を奪って楽しんでいたとの事だ。
それを良くないと思った現在の竜種のリーダーである長竜が、竜族間の法律のようなものを作り、他者の生命を弄んだりするような竜種の行為を禁じたらしい。
古来よりほかの種から恐れられていた竜種はほかの種族とは交友を持たなかったが、このルールが定められて以来、少しずつ他の種族と友好的とまでは行かないが、簡単な物資のやり取りをする貿易的なことをするようになった。
その状態は現在も続いている、とのことだ。
「んで、結局のところゲイドラゴンスレイヤーとして、俺はなんの仕事をこなせばいいんすか?」
「そうですねえ。簡単に言うとゲイドラゴンを駆除するのが大きな仕事です」
「ゲイドラゴン?なんすか、それ?ゲイの竜族か何かですか?」
「ええその通りですよ。天才美少年さん。竜族は世界最強の種族ではありますが、非常に個体数の少ない種族でもあります。それはご存知ですよね?」
「いや、興味なかったんで初耳っすね」
「お、そ、そうですか…」
多分ギルドマスターのこの反応を見るに、竜族の個体数が非常に少ないというのは知ってて当たり前の一般常識か何かなのだろう。俺はずっと歌ってみたやゲーム実況ばかりをしていたし、知らなくても何も困らなかったからそのことを知らなかったわけだが。
「では、ゲイドラゴンについての説明をしますね」
「お、いよいよっすか」
ギルドマスターからこれから俺の狩ることになるゲイドラゴンについての詳細が語られる。
ギルドマスター曰く、今から500年ほど前、今よりも個体数も多く繫栄していた竜族にひときわ強い力を持った竜族が生まれた。その竜は名をレフと名付けられ、早くにその才能に気づいた両親から、あらゆる力の使い方と伸ばし方について教え込まれ、当代最強の竜種として竜種の頂点に立つ王、竜王になるはずだった。
しかしレフは竜王となることは無かった。
なぜか?
それはレフは同性愛の竜だったからだ。
竜王とは全ての竜族を導き、優秀な子孫を残すことを義務付けられた者の称号でもある。
だがレフは子孫を残すことは出来なかった。
ゲイだからだ。
レフは側近のオスの竜族を襲った。初めは抵抗した竜族のオスだったが、だんだん気持ちよくなり、最後はされるがままだった。
その竜族もまたゲイとなった。
そんなことが三夜の間続いた。
新たにゲイとなった竜族は別のオス竜に襲いかかる。
そのような流れでねずみ算式にゲイの竜族が増えていった。
初めはレフ1人だったゲイの竜族も、3日経った時には20に達していた。
そのことに気づいた長竜はレフたちゲイ竜族を竜の里から追放した。
このままでは全竜族がゲイになってしまう。そうなった暁には、ただでさえ個体数の少ない竜族は繁殖が出来なくなってしまい絶滅してしまうと考えたからだ。
里を追われたゲイの竜族たちは、世界各地へと広がっていった。
追われた先で、ゲイの竜族たちは別の竜族を見つけると押し倒し、組み伏せ、襲いかかる。
少しずつだが、こうしてゲイの竜族、ゲイドラゴンたちは数を増やしていった。
以来500年、現在に至るまでゲイドラゴンたちは個体数を地道に増やし続け、今では1000体にのぼるという。
俺がギルドマスターに聞いた話を要約するとだいたいこんな感じだった。
「私たちが天才美少年さんに頼みたい仕事というのは、竜族の繁殖の妨げとなるゲイドラゴンを討滅してほしいというものです」
「おーん」
ちょっと楽しそうだなと思ってしまっている自分に気づいた。