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【『泣きたい』、こんな夜に】


涙を流したくて

音のない部屋で 横になりました


イヤホンを挿して

【お気に入り】を永遠とします


ずっと ずっと ずっと


涙を流したくて


この退屈を忘れたくて


この後悔を忘れたくて


この恋心を捨てたくて


この憂鬱を無くしたくて


でも

どうしても消せなくて

どうしても無くならない


涙と一緒に

退屈も 後悔も 恋心も 憂鬱も

外に出したいんだ


内側に溜め込みすぎたそれらは

わたしもろとも消し去ろうと

衝動をいっぱいに溢れさせるんだ


もう、限界だよ――


この部屋が窮屈で

窓を開けて ベランダに躍り出た


夜の冷たくて優しい空気を吸う

あんなに熱く沸いていた

溢れそうになった想いが冷めていく


『白い月は今日も綺麗ね』


もう一人のわたしが呟いた


『本当ね わたしとはまるで違うよ』


『ねえ もう、ぜんぶ終わりにしたら』


わたしの言葉に

もう一人のわたしが囁いた


すばらしい提案に

身体が疼いたけど


それを選ぶほど

わたしは強くないから


『だったら、わたしを泣かせてみせてよ』


心の往くままに

声が叫ぶままに

わたしのすべてを

夜の静かな街に落とした


ふと、

両目が熱くて冷たかった


頬に雨が落ちていた


『あぁ、やっとだ――』


やっと、わたしは


涙を流せた


泣くことを思い出せたんだ


わたしの内側に溢れきった

熱く もう触りたくもない

想いが

やっと 溶け出すように

流れていった――

                 つづく

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