第二話:自己紹介で人の名前は覚えられない
久しぶりの投稿。遅れてすみません。
ガタンガタン
ガタンガタン
ガタン、ガガタン
ガガガ、ガガタン
ガ……タタン
不規則なリズムで揺れる。
はっきり言ってウザイというか鬱陶しい
俺は普通に学校に向かっていた。ちなみにバスで。
いつも(と、言っても入学式と昨日とスポーツ推薦での面接ぐらいだが)自転車を使って小一時間で学校へ向かっていたのだが、昨日雨が降って自転車を持って帰れなかったのでこういう風に慣れないバスを使っている。
基本的に俺は電車派だからあまりバスは使わない。
バスもそもそも好きじゃないし。
変に気持ち悪くなるし。
だから俺は電車を使いたかったが運悪く定期券をどこかへなくしてしまった。
あまり金は使いたくないしな。だから電車をやめた。
だから俺は痛くなるこめかみを押さえつつ、何故かあったバスカードを恨む。
『次は、羽碕東町一丁目。羽碕東町一丁目。』
機械的な音が聞こえる。
あと二十分。あと二十分の辛抱だ俺!!!!。
しばらく経ってバスが一旦止まる。
プシューと音をたてて揺れが少し治まる。
何気なくバスの入口を見る。
すると
そこから、うちの学校の制服を着た女子が入ってきた。
ん……?
どっかで見た事あるような……
ま、いいや俺はそのまま窓へ視線を移した。
「よう。」
「ん?…あ大田か。よう」
バスを降りてしばらく歩いていると後ろから話し掛けられた。
大田蓮
俺と同じでスポーツ推薦で入った奴。
ちなみにサッカー。
中学が一緒でわりとつるんでた相手で多分これからもそうだろう。
「丹沢さー。お前どう思う?」
「何が?」
「色々」
「色々って…いきなり言われてもな。なんだ?……うーん…クラスの奴に変質者がいなかったのが良かったぐらいか?」
俺は正直に言った。
「ああ。だよなー。変な奴がいなくてマジ良かった。」
大田も平凡に生きていきたいと思っている仲間だから話がよく合う。
でも大田もスポーツ推薦だから…
平凡に生きていけるか…
「ま、それなりにお互い頑張ろうぜ」
「おう」
俺らは学校に入り、上履きに靴を履き替えた。
その間も俺らはとりとめもないような話は続いている。
ガラッ
俺はドアを開いた。
俺は自分の席に行って鞄をドスンと置く。
大田ももちろん席についている。
丹沢という名字のおかげで右から三列目、前から五列目という微妙な場所が俺の席だ。
「あ、あのー」
隣から女子の声がした。
そこには当選女子がいて、俺を見上げている。
「え、えと…丹沢君だよね?」
「そうだけど…何か?」
「一緒のバスにいたよね?」
「え…?……ああ!いたいた。それが?」
あの時バスに乗ってきたのはこの人だったのか。
そりゃみたことある気がするわな。
「生徒手帳落としていったから…」
その人は俺に生徒手帳を差し出した。
「おう。サンキュー。ありがとな」
「いえ。良かったね。私が気づいて」
「だな。……今更だけど…名前なんてーの?」
「あ、昨日だけじゃあ覚えられないよね。
波多野純夏だよ。
これからよろしくね」
「俺は丹沢佑。こっちこそこれからよろしくな」
今頃気づいた。
俺自己紹介で人の名前覚える気はなかったんだな…。
大田はクラスであった発表の時にやった紙芝居の登場人物です。ちなみにその役は作者だったので思いれがあるらしいです。波多野は作者の好きな声優さんから。名前は違いますが。