小説家さんと編集さん 2
「先生、次は古本屋なんてどうです?」
担当さんが笑顔で言ってきた
・・・もう勘弁してくれ
ちょっと前のこと、コンビニを舞台にした小説を書いた
正確にはオレだけが知っている小説を焼き直したもの、な
・・・完コピはしませんって、恥くらいオレだって知ってます
雑誌に掲載されたらそこそこ評判が良かった、と担当さんが言っていた
さすが名作なだけはある
オレが原作レイプで台なしにしてもこの成果
第二弾として今度は古本屋を舞台にしましょう、と担当さんに言われた
いやコンビニから古本屋は何のつながりもないじゃん!
そう言ったオレは正直者
そしたら担当さんが「実は・・・」と裏事情を教えてくれた
なんでも雑誌が発売された後、某コンビニの売り上げが上がったそうだ
・・・日本人ちょろすぎ
現代ではSNS全盛だから、ちょっともで話題性があるとみんなが飛び付く
おかげさまで?オレがバイトしていたコンビニが聖地と化した
『ここがあの物語の原点!』って感じ
そのおかげか知名度が上がり、他の店の売り上げも上がったとか
・・・全日本人チョロイン化計画?
それを聞いた出版元、の系列の近代化されている古本屋チェーンが「こっちもよろしく!」となったとか
・・・すばやい動きを褒めればよいのか、自分で努力しろと叱ればよいのか
「主人公の店主を女性にしてみてはどうです?ひょっとしたらドラマ化されるかもしれませんよ?」
そう言う担当さん
いやダメだから!
もう映画化までされているから!
それはヤバいって!
力の限り拒絶したオレは小心者
例によって例のごとく、この世界にはあの名作が存在しなかった
でもオレだって恥くらい知っている
生活が困窮しているからって、そのままパクったりはしませんって
・・・今回も貧乏にあえぐ底辺小説家(つまりオレ)がバイトするってことでどうですかね?