帰れ貧乳、お前の分の飯はない
翌日、再びダンジョンへとやってきた三人は探索を再開する。
この階層を調べるのも目的の一つだが、昨日の少女を見つけるというのが主な目標となる。
見張りの兵士によれば誰かが出てきたという事はないらしいので、別の入り口でもない限りはまだダンジョンに少女が居るという事である。
昨日の礼も含めて色んな意味でやる気満々のミカにマーシュは問う。
「そういえば、誰も外に出ていないという事は昨日の彼女は野営したって事ですよね。どうやってダンジョン内で眠ったりするんですか? 少し休むくらいならともかく寝るのなんて危なくて無理じゃないんですか?」
軽く準備運動をして体をほぐしながらミカは語る。
「いや、結構なんとかなるもんだよ。手ごろな場所に結界を張るとか聖水を撒くとかすれば一晩くらいは持つさ。まあ、いつも都合良くそんなものがあるわけもないから、大抵はモンスターの糞を探す事になるけどね」
「糞を? それでどうするんですか?」
「いくらモンスターがダンジョンにより作られた疑似生命だとしてもあくまで生物だからな、自分より強い存在の縄張りには近づかない。だからその階層のヌシのフンを撒いて疑似的な結界にするってわけだ」
なるほど、とマーシュは頷く。
「へぇー、すごいですね」
「先人の知恵ってやつさ。マッピング技術や罠の見破り方。私達は昔のヤツが残してくれた色んな技術に助けられてる。いつの日か私達の冒険も別の誰かを助ける事になるんだろうさ」
「歴史…………ですね」
ふとマーシュは思いついたように何かを手に持ったメモに書き込んでいく。
どうやらこの冒険について書きこんでいるようだ。それについてミカが聞くと、少し照れた様子でそれに至る動機を語る。
「せっかくダンジョンに潜るんですから冒険の記録を取っておこうかなって。僕にとっては何もかもが新鮮で、このワクワクを何か形にしたいんです」
「ふーん、いいんじゃないか。もし本とかにするんなら私は可愛く書いてくれよな」
「では私は美しくお願いしますの」
遠慮の無い正直な二人にマーシュは苦笑する。
「ははは、善処します」
昨日と同じようにスロウを先頭にして三人は歩き始める。
途中、このダンジョンでは見慣れないトラップがあった。
おそらく昨日の少女が仕掛けたものだろう。
解除はそれほど難しくないものの、警戒のために一同の歩みは遅くなる。そうしてしばらく進んだところにそれはあった。
木製の箱に鍵がかけられた――――俗に言えば宝箱といった所だろうか。
どういう目的で誰がそんな物を設置するのかは明らかにされてはいないが、その中にはオーパーツとも言うべき魔法道具などの貴重品が入っている事がある。
出現はランダムであるとされ、見つけてもその場から立ち去れば消え去ってしまう。
基本的にダンジョンに長く潜る理由はこれの出現率を高めるためと言っても過言ではない。
ダンジョンに長く居る事やモンスターを多く倒す事でより出現率が高まる事からダンジョンによる自衛機能の一種なのではないかという説がある。
確かに宝物が出現すればそれを放っておく者は少なく、また持ち切れなくなれば帰る他に手はないので道理は通る。
しかし、それに味をしめた冒険者がまたやってくるかもしれないという事を考えるとその説の信憑性はそれほど高くはない。
「わーい! お姉さん、宝箱大好き!」
無邪気に走り寄ろうとするミカにマーシュとスロウは難しい顔をする。
「これみよがしに宝箱…………。怪しいですね」
「ええ、十中八九罠ですわ。私達は巻き込まれないよう退避しましょう」
「ミカさんは?」
「殺されても死なないようなお方ですので平気でしょう。それに仕掛け相手もダンジョンに居るのですし、岩盤が崩れるほどのトラップはありませんわ。生温かい目で見守りましょう」
「…………温かい目ではなく?」
「ホットよりも冷たく、コールドよりも温かく。そう…………言うなれば“ヌル目”ですわ」
さささ、と通路の影に隠れた二人は楽しげな顔で鍵を外していくミカを遠くから見守る。
鍵開けは冒険者の必須スキルではあるが、あれほど見事に開けられるのは流石だといったところか。
「我が悪魔の鍵開けスキルはプロの盗賊にも劣りませんのよ。他にもマップサーチやアイテム盗み、道具拾いに鑑定など、お金に繋がる事なら一級品ですわ」
「執念ですね…………。切実過ぎてなんだか僕泣けてきちゃいましたよ」
「我が悪魔の胃袋を本気で満たそうとすれば一国を滅ぼしかねませんのでしかたありませんわ。それより箱が開きそうですわよ」
がちゃり、という音で鍵が外れ、蓋をあけると中からは眩しい光が溢れだし…………当然のように爆発。
スロウ達の居場所まで届く程の火力は予想以上の物だ。
黒こげになり、煙を吐き出すミカ。
スロウは空中から落ちて来た一枚の紙を取り、そこに書いてある文字を読んだ。
「『バーカ!』…………ですわ」
ミカは体についたススを払い、怒りに燃える。
「あんのクソガキィ!」
「似顔絵付きですわ。中々絵心ありますわね」
「スロウ、ちょっとそれ貸せ!」
奪い取るようにして受け取ったミカはそれを鼻先に持っていくと犬のように匂いを嗅ぎ始めた。
その様子を不思議そうにマーシュは眺める。
「何やってるんですか?」
「私は鼻が利くんだ。そいつの体臭で体のどこが悪いか分かるくらいにな」
「そんな事ができるなら医者にでもなればいいんじゃないですか? 儲かると思いますよ」
「やだよ。何が悲しくて一日中匂いかがなくちゃいけないんだ。………よし、覚えたぞ。二人とも付いてこい。あのクソガキとっちめてやる!」
「あっ、お待ちを」
頭に血がのぼった様子のミカは仕掛けられたトラップに引っかかる。
だが、それをものともせず、イノシシのような勢いでダンジョンを走り抜ける。
二人はその後を追いかけるが、あまりの速度のために振り切られてしまう。
「やれやれ………。このままではあの少女の身が危ういですわ。私達がたどり着くまでにせめて頭部だけでも残ってると良いのですけど」
「いや、それって何もよくないですよね? 死んでますって!」
「古代の文献によれば人は頭部だけでも活動できる秘術がありますの。その本は物置に放り込んだまま忘れていたのですけれど、それは代償として言葉が棒読みになってしまう以外にリスクの無いものらしいので一度試してみようかと」
「体が無い時点で問題しかありませんよ! 昔の人は何考えてたんですか!?」
「生首をゆっくり見ていると次第に可愛く見えてきますでしょう? ちょっとムカつくかもしれませんけど」
「そのセンスに脱帽ですよ……………」
とその時、地が揺れるほどの衝撃が走った。
震源地は近くそれは一定の周期で響く。
顔を見合わせたスロウとマーシュはその震動の元となっている部屋へと入りこんだ。
そこには天井にしがみついている昨日の少女とそれに怒りを向けているミカ、そしてそれを襲う巨大な鎧の騎士が居た。
中身が空洞の鎧は自らの背丈よりも大きな剣を振り下ろす度に大地を揺らす。
それはただ単に威力の大きさを表わしているだけではなく地盤にもダメージを与えているという事だ。
このまま攻撃が続けば地面は耐え切れずに抜けてしまうだろう。
一刻も早く対処をしなければならなかった。
「そこから降りてこい! じゃないとひどい目に合わせるぞ!」
「ば、馬鹿者! そんな事言ってる場合ではなかろう、そこのリビングアーマーが見えんのか? この無駄乳女は本当に脳みそが空っぽなのだな!」
「こいつまた無駄乳って言いやがったな! 貧乳の癖に!」
「誰が貧乳じゃ! 美乳と言え!」
「微乳じゃやっぱり小さいじゃないか!」
「文字が違うわ! バーカバーカ!」
「むかー! 石投げてやる! 必殺石投げアタック!」
「や、止めろ。ここは不安定なのだぞ! この卑怯者! ………お、おち、落ちるぅぅぅぅ!」
石をぶつけられた少女が地面に落下する。
子どもの喧嘩のようなあり様に呆れて物も言えなかったスロウとマーシュはその落下により地面に亀裂が入ったのを見て正気に戻ると、遠くの二人に退避するように呼び掛ける。
だが、ミカは少女へのお仕置きをどうするかという事に夢中であり声が届かないようだ。
仕方なく二人は危険な室内へと踏み込む。
「お仕置きの時間だ、KAKUGOしろ。覚悟じゃない、KAKUGOするんだ!」
「いたた、余の高貴なる尻が………。くぅ! この野蛮人め!」
「御二方! 遊んでいる場合ではありませんわ。早く退避を!」
「スロウさん! あれ!」
マーシュが指差した方向には高い段差に居るミノタウロスの姿があった。
昨日とは別個体であるがまるで昨日の恨みを持つかのようにミカ達に敵意を向けている。
その姿を見たスロウの脳裏に嫌な考えが走る。
「ま、まさか」
獣の咆哮と共に高く飛び上がったミノタウロスはズン、と大地に降り立つ。
その瞬間、耐え切れなくなった地面は崩れ、四人は暗い地の底へと落下していった。
「やっぱりですのぉぉぉぉ!」
「うわあああああああああ!」
自由落下の最中、空中で体勢を立て直したミカは壁を蹴りマーシュを片手で回収するともう片方の手で壁を掴んで止まる。
同じくスロウもどこかから取り出した黒い剣を壁に刺して速度を軽減し、少女も両手のクナイで体勢を立て直す。
ふぅ、と一息ついたミカは上を確認して昇る事は無理だと判断すると下に居る二人に声を飛ばす。
「おーい、大丈夫か?」
「なんとか。そちらの方は?」
「これが大丈夫だというのなら、貴様の頭はいかれておる!」
不機嫌そうなセリフにミカは頷く。
「大丈夫そうだな。ここから上にあがるのは無理だ。とりあえず下に降りてみよう」
「分かりましたわ。あなたは?」
「誰が貴様の言う事なぞ聞くか! 這いつくばって靴でも舐めてろたわけが!」
マーシュは苦笑しながらミカの顔を見る。
「………だ、そうですけど」
「よし! 教育してやるか!」
ざざざと壁を滑り降りてくるミカに恐怖を感じたのか少女は叫ぶ。
「おい馬鹿止めろ! ………分かった、言う通りにしてやる。また落とされてもかなわんしな」
「まったく、初めからそう言えよな」
四人は細心の注意を払いながら先の見えない闇へと降りていく。
どこまでも続いていくかのような暗闇は底などなく、冒険者をどこまでも深く引きづり込むかのような錯覚すら抱かせる。
しかし所詮それは錯覚にすぎず、少しした所で底にたどり着いた。
「明かりが足りないな…………。スロウ!」
「ひのきの棒に布と油を合わせて火をつけますのでしばしお待ちを。…………はい、どうぞ」
「ありがとう、明るくなったよ。魔法も悪くないがやっぱり天然物が一番だな」
松明もどきを受け取ったミカはその明かりをもって周囲の状況を調べ始める。
どうやらここは神殿のような場所であるようだ。ちょうど明かりを灯す場所が残っていたため、そこに火を灯す。
すると連動するように全域に炎が周り、まるで昼間のように辺りを照らしだした。
「これは………何かの碑文ですか?」
壁一面に描かれていたのは巨大な悪魔のような怪物とそれの手を取っている人間の姿であった。
文字は読めないが、書かれている絵は人間と怪物との交流が描かれているようだ。
人々は赤い髪の女王となった怪物をあがめている。
そして女王は自らの血肉である赤き果実を選ばれた人間に与える。
それによってその人間は無敵の戦士になる。絵から判断すれば大体そんな所だろうか。
少女はじっと文字に目を凝らすとたどたどしく言葉を紡ぐ。
「魔逆の王、力の名を持つ。その姿、血の如き赤く空を覆うほどに膨大、息は木々を芽吹かせ敵を吹き飛ばす竜巻を起こし、手は軽く地平を掴み、目はこの世の全てを見通す。赤き果実を絶やしてはならない。それは王に捧げる供物である。赤き果実を絶やしてはならない。それは人の命である。赤き果実を絶やしてはならない。赤き果実が絶える時、人は滅びる。ふむ………ま、こんなところかの」
「読めるんですか? 古代文字を」
得意げに少女は胸を張る。
「ふふん、当たり前だ。余を誰と心得る。『ジャーピン』のオオゲツ姫ぞ。才色兼備、生粋の天才。東の賢者と言えばまず余の名前を上げねばな」
「へぇー、凄いんですね」
「お主のような平民とは比べ物にならんほどにな。小間使いよ、昨日の礼だ。余を褒めたたえる権利をやろう。ほれ、もっと近うよれ。余はお主を気にいっておるのじゃぞ」
マーシュは何から説明したものかと困ったように頬を掻く。
「あの……えーと……………。とりあえず、僕小間使いじゃないんですけど…………」
「ふむ、ならばそこの無駄乳がそうか。その品の無い乳が全てを物語っておるわな」
イラついた様子のミカはぼきぼきと指を鳴らす。
「おっ、喧嘩か? お姉さんそういうの大好きだぜ」
「お止めください我が悪魔。私が説明しますので」
少女の前に跪いたスロウはうやうやしく語る。
「数々の無礼、失礼致しました。私は苺の悪魔の使いスロウと申します。そこの少年は西の国『トパタ』のマーシュ王子、そして赤髪の女は苺の悪魔であります」
「なんと! この凡庸な小僧とアレな女が王子と苺の悪魔だと申すか!?」
「凡庸……………」
「アレ……………」
微妙な空気を払うようにごほん、とスロウはわざとらしく咳払いをする。
「ところで姫はどうしてこちらに? ここは危険なダンジョンです、理由をお聞かせ願えますか?」
「うむ。実はだな、偶然国家転覆のたくらみを聞いてしまったために追手をけしかけられ、とっさにこのダンジョンへと逃げ込んだのだ。そこまでは良かったのだが、この迷宮は余の知略すら跳ねのけるほど巧妙でな、気がつけば出られなくなっていたのだ」
「ようするに方向音痴かよ……………」
「さあ、余を外へと連れ出すがよい。太陽の光が恋しいぞ」
あまりの間抜けさに毒気を抜かれたミカは怒る気力を無くしため息をつく。そうして視線を彷徨わせるとその視界に一つの箱が移る。
「あっ、宝箱だ!」
子どものような純粋な笑みで鍵を開けに行くミカ。それと対照的に他の者は表情をこわばらせた。
「わ、我が悪魔、それは…………」
「いかん! 皆の者、退避じゃ、退避!」
「うわああああああああ!」
宝箱と連動するようにしてトラップがセットされている。
それは長い年月のために正体が露見してしまっているが、だからこそ見る者に恐怖を与える。
大岩。
始原にて原始的なトラップがそこには悠然と存在していた。
「わーい、開いたぁ!」
どん、という音と共に落下しダンジョン内を転がり始める。
老朽化のためか、それとも意図的な物か、欲望にまみれた者だけはその惨劇より逃れ、知慮深き者達がその犠牲となる。
ミカの背後に落ちた大岩は三人に向かって加速する。
「ヒィッ! こっちに来ますの!」
「逃げ場は? どこかに逃げ場はないのか!?」
「うわああああああん!」
反射的に走り出した三人は火事場の力というものか凄まじい速度で駆け抜ける。
人間の限界を越えた力により奇跡的に大岩をつき離し始める。
だが、無情な現実をつきつけるように目の前には行き止まりがあった。
「どどど、どうしましょう!?」
「こうなったらあれを破壊するしかない。だが余の得物ではあんな巨大な物体は壊せんぞ!」
「………………仕方ありませんわね」
静かに前へと出たスロウは右手に黒い刀身の剣を召喚する。
魔剣とでもいうような圧倒的な威圧感を放つそれは持ち主にすら影響を与えるのかスロウの表情は険しいものへと変わる。
教科書通りとでもいうような完璧なフォーム。
いや、それは教科書通りなどではなく、その動きに合わせて教科書が作られたのだ。
絶対的な力を持つ騎士の中の騎士。それがこのスロウという人間の本性なのだ。
「アロン…………」
黒き閃光が岩へと炸裂するかという瞬間、力の行使を認めないかのように岩は砕け、そこに金の装飾を纏った呑気な表情のミカが現れる。
「いやー、悪い悪い。まさかトラップがあるなんて思ってもみなくってさ。でも、今度はちゃーんとお宝をゲットできたぜ」
ミカをしばらく無言で眺めたスロウは右手の剣を消し去り、息を吐く。
「…………では今夜はパーティーですわね。賓客もいらっしゃいますし」
「ふぅ…………ひやひやさせおって、この無駄乳女が。その非礼を詫びるように余を存分にもてなすのだぞ」
冷めた目でミカは言い放つ。
「帰れ貧乳、お前の分の飯はない」
「なぬ!?」
「それは僕が見た中で最も冷たい目をしたミカさんでした。こんな目を人ができるなんて僕は到底信じられませんでした」
「モノローグ風じゃと!?」
「これはまずいですわね。我が悪魔は家の食糧事情を統べる存在。それの怒りに触れたとなれば姫は米粒一つ口にする事もままならないでしょう」
「なんとげに恐ろしき存在…………! これが苺の悪魔か!」
「そうだ。お姉さんは恐ろしい存在なんだぞ、分かったかちびっ子」
愕然とする姫、しかし完全に屈する事はなく不気味な笑いを漏らす。
「………クックック。悪魔よ、驚かせてもらったぞ。だが、貴様が食卓を支配しようとも、余の高貴なる力までは縛る事はできまい」
「………なに?」
「教えてやる、余がこの身一つでどうやってダンジョンを生き延びて来たかをな!」
「あ、あれは!」
姫の手に現れた物体を見た一同は驚きを隠せない。
それはどこからともなく手品のように現れ、圧倒的な存在感を放つ。
三人は言われるまでもなく理解した。
それが神の力だという事を、誰も否定する事のできない完全なる奇跡なのだということを。
「おにぎり! こいつ、おにぎりを生みだせるのか!?」
「余は五穀の神の末裔、オオゲツテル。その力によりおにぎりを生みだす事ができるのだ!」
ミカはその圧倒的な力に絶望し膝をつく。
「な、なんてヤツだ。私は腹の足しにもならない苺しか出せないのに、こいつは主食を出せるのか? スロウの隠し持った納豆によく合うご飯を出せるっていうのか?」
「しかも、炊きたてほかほかじゃぞ!」
「ぐああああああ! か、勝てるわけがない。うろ覚えだが、かつてアイツが言っていた『人はパンだけではない』というのはこういう事だったのか! ライスイズパワー! ライスイズゴッド!」
「ふははははは! ひれ伏せ愚民共!」
「ははぁー!」
その茶番を淡々と見ていた二人は顔を見合わせると頷いた。
「帰りますか」
「そうですわね」