第八十話「アプリ」
こんにちは、オロボ46です!
今回はバンコクでのコメディ回です。
それでは、どうぞ。
翌日、自分とソヨンさん、隊長は買い出しにショッピングセンターと呼ばれる建物の前にいた。
「ユウ、ショッピングセンターに来るのは初めて?」
今まで訪れていた街で見たことはあるが、特に興味がなかったことと、あまり単独で行動しなかったために行かなかった。
「ショッピングセンターは複数の店が一つの建物に入っているの。本当はホンコンで買い出しするつもりだったけど、休みだったからね......ショッピングセンターはどうしても荷物が多くなるから、ユウ、あなたも手伝ってもらうわよ」
自分はソヨンさんの手伝うという言葉に疑問を持っていた。昨日から何を手伝うのかを尋ねているが、曖昧な返事しか帰ってこなかった。
「ユウ、隊長さん、そろそろスマホ見に行きましょうよ」
取っ手のついた紙袋を四つ手にかけているソヨンさんに対して、思わず自分は言葉を伝えた。少し休ませてくれ、と。
自分が握っている二つの袋......それに加えて、両腕にそれぞれ二つずつ、合わせて六つの袋を持っていることになる。最初は平気に感じていたが、移動が続くとさすがに体力を使う。
側にいる隊長は表情こそ変わっていないものの、腕が震えているのが目に見えてわかる。あちらは握る袋が四つだ。
「すぐ近くに預かりサービスがあるので、そこで預けましょうか」
その言葉を聞いて、思わず力が抜けかける。手にある紙袋を握り直し、預かりサービスの受付まで力を振り絞って歩く。
カウンターに袋を置くと一気に力が抜けた。その後、スマホを取り扱っている店に向かうなかで、体の軽さから改めて荷物の重さを実感した。
「本当にごめんね。ここのショッピングセンターは時々セールを行うから、ついつい買いだめしちゃうのよ」
ソヨンさんの言葉に対してその理由を聞こうと考えたが、止めておくことにした。
先ほどから黙っているために忘れそうになるが、近くには旅人レンジャーの隊長がいる。自分の伝えた言葉にソヨンさんが答えると彼は疑問に思ってしまう。
自分たちを護衛してくれているとはいえ、むやみに自分の超能力を知らせるのは控えた方がいい。
その後、自分たちは目的の店に入り、自分のスマホを購入した。そして店員からスマホの使い方を学び、休息スペースに移動して試しに利用してみた。
「すごい......ユウ、もうアプリを入れたの?」
試しに電子書籍をダウンロードし、小説を読んでいるとソヨンさんが覗いてきた。
「それって電子書籍でしょ? 私はあまり小説読まないけど、面白い?」
今入れているのは、研究所の時に愛読していた冒険小説だった。カゴシマ付近の洞穴で無くした時は諦めていたが、こうして再び読める日が来ようとは夢にも思わなかった。
以前、シガでアオヒコさんが電子書籍を見せてくれた時、自分はページをめくる楽しみが無くなることに危惧していた。しかし、実際に読んでみてわかったことは不要な心配だったということだ。
スクロールして文字を送る時の期待、緊張、その先にある驚き、そして感動......それは紙ではなく、小説本来が持つ力だったことにようやく気がついた......
「......ソヨンさん、どうなされましたか?」
隊長の声でふと我に帰る。自分はまた興奮しすぎて語り過ぎたらしく、目の前には話に置いていかれ、口を開いているソヨンさんがいた。
一旦自販機で三人の飲み物を買い、それを飲んで心を落ち着かせることにした。
「ねえユウ、"旅人アプリ"って知ってる?」
自分がサイダーを飲んでいると、缶コーヒーを片手にソヨンさんがスマホを見せてきた。
「これは全国の旅人同士で交流することのできるアプリなの。世界中の情報や天気を調べたり、SNSを使うことができるの」
SNS......?
「ちょっと待ってね......」
ソヨンさんが見せたのは、耳にピアスを着けた男の写真と、日記のような文章だった。
"[ソルジャーリーダー さん]
ただいま仕事でバンコクで出張中! お土産でピアス買った! これは洒落てるぜ!"
「......」
ふと横を見ると、写真と同じピアスを着けた隊長がエナジードリンクを飲んでいた。
「他の旅人の様子が見えるけど、くれぐれもプライバシーには気をつけてね。たちの悪い奴の中には、場所を特定して追いかけてくるのもいるから」
......自分はその言葉を肝に命じた。
「他に何か面白い内容は......」
そこまで言って、ソヨンさんの表情が青ざめた。
「......嘘、"シンガポール"って......次の行き先じゃない!」
ソヨンさんのスマホに写っていたのは、一件のニュース。
シンガポールのヘリポートのパイロットが消息不明になり、ヘリポートがしばらく休業することになったという内容だ......
いかがでしたか?
次回もお楽しみに!




