第七十六話「旅人レンジャー」
こんにちは、オロボ46です。
前回、土砂崩れが発生、ソヨンさんが車を飛ばして難を逃れたものの車がエンストしてしまいました。その後、ユウたちに現れた男......彼とルイさん達の関係とは......?
それでは、どうぞ。
「......ルイさん、あんた......この"旅人レンジャー"と関わりがあるんかえ?」
リェンさんは車から降りず、窓から問いかけてきた。
「ああ......その話は後にしてくれ。とにかく俺はこの先に行くぜ。どちらにしろ、この先にある危険性を確かめる必要があるからな」
「......それならさ、うちも行かせておくれよ」
「お義母さんまでなに言っているんですか!?」
「それなら、ルイさん一人で行かすきかえ?」
「......」
ソヨンさんは黙ってしまった。
「一人では......行かせません。ルイ......僕も......行くよ......!」
「いや......少なくともここを守る人間が必要だ。すまないが、兄貴はここを守ってくれ」
「......」
この状況......自分が残った方がいいだろうか?
「いや、もしもの事を考えて、出来ればユウちゃんに来てもらいたいが......無理はしなくていいぞ」
それは大丈夫。先ほど見えない壁を張ったが、そこまで木にぶつからなかったため、ほんの少し頭痛がする程度だ。
「それから、リェン先生も来てもらえるか?」
「さっきから行くって言っているじゃないか......その前にあんたたち、いつまで濡れているんだい?」
リェンさんの言葉を聞いて、自分たちが雨ガッパを着ていないことに気がついた。
自分とリェンさん、ルイさんは雨ガッパを装備し、出発の準備を整えた。
「お義母さん、ルイさん、ユウ、危なくなったらすぐに帰って来てくださいね」
「ああ、もちろんだ......兄貴、ソヨンさんを頼んだぜ」
「......」
ブォエンさんは力強い表情で頷いたのを見て、自分たちは出発した。
「ルイさん、そろそろ教えてもらってええかえ?」
道中、リェンさんが突然切り出した。
「教えて......って、俺が旅人レンジャーにこだわる理由か?」
「決まっているじゃないか! うちはさっきまで気になって気になって仕方ないんよ!」
「あまり期待に答えるほどの理由じゃないが......」
自分は割り込む形で、旅人レンジャーとはなんなのかを尋ねた。
「旅人レンジャーは、国が管理している自衛組織だ。主に街の防衛に務め、街に危害を与える怪物が現れたら討伐をしている......と言ったら解りやすいな。自衛隊と言っている所もあるな」
「あ! 旅人レンジャーの話で思い出したんだけどねえ......ヒロシマの西の橋で現れた知能を持つ怪物を捕獲するために、学者がお金を貢いでレンジャーを大量に総員させて、付近の街の住民が大ブーミング! あのニュースを聞いた時は驚いたわあ......」
......それで自分は今まで見たことないわけだ。
「......話がずれてるぞ、先生」
「ああごめんごめん!! それで、その理由は?」
「本当に対したことないけどなあ......俺と兄貴は......元々は旅人レンジャーだったんだ」
......
「なんだ、ありがちな話じゃないか」
「だから言ったじゃねえか......対したことないって」
それなら、なぜ旅人レンジャーから学者に?
「まあ......ちょっと訳があってな......」
「そう! そこよそこ! うちが気になるのは!」
「いや、これだけは言えないんだ......ただ、当時孤児だった俺たちにとって、旅人レンジャーは実家のようなもんだ」
そう言いながらルイさんは先を急いだ。
「散々盛り上げておいてから消化不良で話を切り上げたのが不満やけど、あの人にはあの人なりの理由があるんだろうねえ......ユウ、ぐずぐずしていると置いていくよ!」
ルイさんを追いかけるリェンさんに、自分も後に続いた。
しばらく歩いていると開けたところに出て、目の前に大きな湖が現れた。大雨の雫が水面にぶつかり、複数の円が大きくなって消えていく......
その湖の前に、何人かの人間が倒れていた。旅人レンジャーの男と同じように軍服を着ており、その誰もが、すでに事切れていた。
「クソッ......間に合わなかったか......」
死体の手首に触れたルイさんがそう呟いた。
「この傷は引っ掻き傷ではない......まるで牙で肉を食いちぎっているんよ」
ルイさんとは別に、リェンさんが調べた死体を見てみる。その死体の右腕は既にない。
他の死体には左足、下半身、上半身、腰、胸、首......何かしらの部分が無くなっていた。しかし......これは......
「おかしい......あの男は血だらけだったけど、食いちぎられた傷ではなかったはず」
リェンさんが自分の言葉を言った時だった。
突然、後ろから唸り声が聞こえてきた。後ろには、巨大な大蛇がいた。
あの大蛇......過去に自分が研究所にいた時、超能力の実験で目にした怪物だ。しかし、目は紫色ではなかったはずだ......
「!! ユウさん危ない!!」
いきなりリェンさんに突き飛ばされた。
大蛇の怪物は、自分の代わりにリェンさんを丸のみにした!!
「!!! せんせ......」
ルイさんの声が聞こえなくなった。聞こえるのは水の音。目の前の景色が歪んで揺れている。
沈んでいる中で、ようやく今の状況に気がついた。
自分は、大量の水を飲んでしまった。
いかがでしたか?
そういえば、ユウは十五年間研究所で暮らしており、泳ぐという体験は......
次回もお楽しみに!




