第七十一話「喧嘩」
こんにちは、オロボ46です。
今回はホンコンの公園から始まります。
それでは、どうぞ。
「う......ん......」
公園でルイさんの目が開く。二人の殺し屋が追いかける気配はなかった。
「......!? あれ、なんで俺ここにいるんだ!?」
自分はルイさんが服屋の前で倒れていたこと、そして、その側には殺し屋と思われる二人の男がいたことを伝えた。
「......そうだ、ユウちゃんが更衣室に入った後、横を向いた時に何かの足が一瞬見えたんだ......たしか、その足はリェン先生だったはずだ。それが引きずられるように消えたから追いかけて、外に出たところで誰かに後ろからハンカチで口を塞がれて......くそっ、そこからの記憶がねえ......!!」
倒れているルイさんを発見したときには、リェンさんの姿は見えなかった。
「きっと先生も一人になったところで眠らせたんだ......ユウちゃんが先生を見つけられなかったのは、既に近くに隠していたんだろうな......まさかだとは思うが、兄貴に連絡が取れなかったのも......」
ルイさんがそう言っている時に、向こうから誰かがやって来た。殺し屋ではない男は、配達の依頼を受けて届けに来たのらしい。一通の手紙を渡して、男は去って行った。
"実験体へ
お前の仲間は人質に捕った。帰して欲しければ指定の場所に一人で来い。誰かを連れて来た場合は人質の一人が、その後のお前の対応自体で残りが死ぬ"
殺し屋が指定した場所は、ホンコンの近くにある"タイガーバームガーデン"だった。様々な動物の置物が飾られている。ルイさんの話によれば、怪物が現れるよりも前の時代には観光地にもなっていたらしい。
「だからこんなめんどくせえところで立っていなくても、後ろから殺れば一発だろ!?」
「甘いなあ、そんな事をしたって実験体に感づかれてしまう。その上、人質を取り返される恐れもある。もう少し頭を使いたまえ」
「ああああっ!! あんたと付き合っていたら調子が狂うんだよっ......?」
自分がタイガーバームガーデンに来た時、二人の殺し屋が言い争いをしていたのが見えた。その奥には......ブォエンさん、ソヨンさん、そしてリェンさんが縄に縛られている!!
「......やっと来たようだ。さて、お決まりのセリフを言いたまえ」
「ちくしょう......おい!! 実験体!! そこから動いたらこいつらを殺すぞ!!」
そう叫ぶ殺し屋の一人がブォエンさんの頭に拳銃を突きつけた。既に起きているブォエンさんは何も言えないままだ。
「......どうやらちゃんと一人で来たようだな。安心しろ。お前がただ黙って死ねばこいつらの命は保証する。それを望むなら地面を見ろ」
もう一人の殺し屋がナイフを取り出して近づいてきた。どうやら自分の能力で縄を燃やされることも想定済みらしい。要求通り地面を見るしかない......
首筋に、ヒヤリとした刃物が当たった。
バンッ!!
「うあああっ!!?」
銃声と共に、銃を持った殺し屋の手から拳銃が落ちた。その隙に自分はナイフの殺し屋のズボンの裾を燃やす。
「......しまった!!」
ナイフの男はズボンの火を消そうと自分の側から離れた。
「リスクなしで人質を取り戻す方法......素直に従いつつ、ちゃんと抜け道を用意する......脅迫状を送りつけるときはそういうことも考えようぜ?」
「......!! ルイ!!」
後ろから拳銃を持ったルイさんが現れた。ルイさん自身の提案で、このタイガーバームガーデンの入り口で待ち構えていたのだ。
「ユウ! 今のうちに兄貴たちを!!」
自分はブォエンさんの縄を燃やし、解放する。
「よし、残りの二人も......」
「......今だっ!! あれを打ちたまえ!」
「チキショウ!! 了解!!」
ナイフの殺し屋の叫びと共に、もう一人の殺し屋が拳銃を構えた。
バンッ
命中したのは、虎の置物の口だった。
「......? あんなところに打って何しているんだ......?」
「!! ルイ!! 避けるんだ!!」
ブォエンさんの声を聞いて、自分たちは身構えた......!!?
複数の動物の置物から、紐のようなものが飛び出してきた。先端には槍のような刃物が取り付けられており、避けようとしたルイさんの頬を掠め、地面や柱に刺さっていく。紐のような物......タケマルさんも使っていた戦闘用ホースがレーザートラップのように張り巡らされていく......!!
「やればできるじゃないか! ふふふ......これが私が設計した策......"タイガーホーストラップ"だ!!」
火を消し終えたナイフの殺し屋が高らかに宣言する。
「......!!」
縛られたままの二人を見たブォエンさんがホースの網を潜ろうとした。
バンッ
「うっ......」
「兄貴!!」
拳銃の殺し屋が放った弾丸が、ブォエンさんの膝に命中する。
「ああ......俺はやれば出来るんだよ......よく他人から誤解されるが......俺たちは喧嘩するほど仲がいいんだからな!!」
いかがでしたか?
リェンさんとソヨンさんは縛られたままですが......
次回もお楽しみに!




