第六十九話「動物と怪物」
こんにちは、オロボ46です。
今回はシャンハイのホテルから始まります。
それでは、どうぞ。
「ルイ......調子は?」
シャンハイに帰ってきてから翌日、ホテルのロビーでブォエンさんはルイさんに尋ねる。
「うーん......普通に絶好調って感じだぜ?」
昨日帰ってきた時のルイさんは、汗だらけで少し顔色が悪かった。
今ではリェンさんの調合した薬によって回復しているのか、昨日のように疲労している様子はなかった。
「悪化して苦しむ前に回復してよかったねえ!」
「ああ、これも先生たちのおかげだ。かなり酷い目にあったんだろう?」
酷い目とは、もちろんパンダの怪物のことだ。
「あの時は本当に死ぬかと思ったわあ......ユウさんがいなかったらどうなってたか」
「......そういえばユウ、昨日は頭をよく押さえていたが、どこかぶつけたか?」
急に話を変えられたので、大丈夫だという言葉を伝えるのに少し時間がかかる。
「そうか? まあそれならいいけどよ、みんなが俺のために命を賭けてくれたんだ。俺も活躍しないと格好つかないよな!」
「......」
ルイさんが意気込むのを見て、ブォエンさんは安心したように唇を緩めた。
「すみません、寝坊しちゃいまして......」
「ソヨン! まだ寝癖が残っているよ!」
エレベーターから降りてきたソヨンさんは、リェンさんの注意を受けて急いでバックの中に手をいれる。
「クシ......クシ......こんなときに出ないなんて......」
「別に急がんでもええよ......今日は休暇なんだから......」
今日は昨日計画した通り、一日だけシャンハイに滞在することになっている。これからこの街の動物園に行くところなのだ。
「なあ! あっちのキリンは面白いよえ!!」
「......うわああ!?」
動物園に入ってから様々な動物を見ているうちに、いつの間にかリェンさんとブォエンさんはかなり離れた場所にいた。どうやらリェンさんが興奮して、ブォエンさんの手を引いて先行しているようだ。
「はははは!! 兄貴はなかなか動物園に来なかったからな! おーい!! 兄貴ー!! 先生に動物園の見所を教えてもらえよー!!」
ルイさんの叫びに対して、ブォエンさんが助けを求める声が聞こえてきた気がしないこともない。
「......ってあれ? ユウも確か動物園は初めてだよな......?」
「......お義母さんは好みの男を見ると、面倒を見ずにはいられないんですよ。お義母さんはブォエンさんを気に入っているみたいですし。でもユウに興味が無くなったわけじゃないから安心してね」
「そうか、じゃあユウは俺たちと一緒に動物園を回るか?」
自分は頷いた。この動物園に入ってから気になっていたことをルイさんに聞く予定だったのだから。
「......びっくりしたあ」
檻の外で尻餅をついたソヨンさんに、他の人たちの目線が集まる。目の前の檻の中には、竹林で出会った巨大パンダの怪物......よりもかなり小さい動物だった。
「まだ昨日の怪物が頭から離れないわ......」
「こいつが昨日話したジャイアントパンダだ......あ、もしかして、トラウマだったか?」
「いや、このぐらいだったら大丈夫ですよ......」
檻の中にいるパンダはこちらを無視して、のんびりとした動きで笹を食べていた。
「こっちの方は穴を掘ったりしないからね......」
そろそろ、質問を切り出していいだろう。自分はルイさんに向かって聞きたいことがあると伝える。
今まで自分が出会ってきた怪物......ネズミ、カラス、クモ、サソリ、熊、パンダ......どれも動物と姿が似ている。その関係性はあるのかと。
「......動物と怪物、確かにこの関係性は今までにも何度か論議に上がったな」
「もしかして、動物と怪物は関係があったんですか!?」
ルイさんの呟きにソヨンさんが反応した。写真を撮っていたのか、スマホを握っている。
「今のところは確証はないな。だが、動物が怪物に進化した......"進化説"は怪物の正体の謎に対して二番目に説得力のある考え方だぜ」
それなら、一番説得力のあるのは何かと尋ねる。
「一番説得力あるのは"大陸説"。七つ目の大陸であるムー大陸の出現により、海中から怪物が現れた。そいつらが陸に上がって急速に進化したっていう説だ」
「そうなんですか......でも、私は進化説の方が気になりますね。今まで忘れていたんですが、子供のころはそう想像していましたから」
「ああ、進化説はムー大陸と関係がないところ以外は辻褄が合うからな。それを受けて俺の兄貴は二つの説をまとめた考えを持っている。ムー大陸の出現によって、何かしらのウイルスが海中の生き物から感染して進化したという"感染説"だ。もっとも、肝心のウイルスが発見されていないから、他の学者は無視しているがな」
ルイさんの話を聞いていると、疑惑が膨らんでいく。やはり、あの大陸には何かがある。自分の力だけでなく、怪物の謎も......
その後、動物園を巡り終えた自分たちは、動物園の外でリェンさんたちを待った。
「それにしても......兄貴、遅いな......」
「あ! やっと来た!」
ソヨンさんの声を聞いて、自分は入り口の方を見る。
満足そうなリェンさんに対して、ブォエンさんは生気を失っていた。
後から本人に聞いてみると、リェンさんから動物に関する怒涛のウンチク攻めを受けたらしい......
いかがでしたか?
リェンさんはブォエンさんにどんなウンチクを語ったのでしょうか......?
次回もお楽しみに!




