第六十五話「毒の牙」
こんにちは、オロボ46です。
前回は双子の学者と合流できましたが......また厄介なことが起きましたね......
それでは、どうぞ。
自分たちはブォエンさんたちが乗って来た車に乗り込み、急いでシャンハイに向かう。車はソヨンさんの車よりも大きく、八人も乗れるほどだ。
「......ルイさん、症状はどうですか?」
ハンドルを握っていたのは、今まで通りソヨンさんだった。自分たちと合流する前はブォエンさんが運転していたそうだが、慎重すぎてスピードを出さなかったそうだ。
「特に疲れているわけではないが......なんか汗が出てくるんだよな......特別暑いわけでもないけどよ......」
ルイさんは一番後ろの席で水筒の水を飲んでいた。その右手の親指に、紫色の傷痕が残っている。その隣のブォエンさんは車に乗ってからはまったく口を開いていない。
「まずいねえ......症状が進んでいる......」
自分の隣にはまだ泣き止まない少女がいる。その隣で、リェンさんは後ろのルイさんの様子を見て呟く。
「なあリェン先生、もう一度確認させてもらっていいか?」
ルイさんは人差し指を立てて質問した。リェンさんは頷いて説明を始める。
「あの怪物の毒は、最初は傷口が紫色に染まるだけ......しかし、ある程度症状が進むと汗が必要非常に流れ初め、やがて熱を出す。その上、手足に痺れを感じ......五日後には死に至る......その特効薬は......二人分しかなかった......もっと用意するべきだったね」
それを聞いて、ソヨンさんとブォエンさんは申し訳ないように俯いた。
「ユウ......君は傷を治す力を持っているけど......解毒は出来ないの?」
ソヨンさんの問に対して、自分は首を降った。その説明をブォエンさんがしてくれた。
「今朝ユウちゃんに試してもらったが、それでも症状は収まっていない。どうやら傷しか治せないようなんだ......」
「なあルイ......どうして薬を打たなかったんだ? 僕ならこういうこと......慣れっこだし......ルイが受け持つほどなんて......」
「......兄貴がよお......そうやって暗く考えるからだよ。こいつらなら絶対助けてくれる。死ぬなんて俺は考えてないね」
口を開いたブォエンさんに対して、ルイさんは呆れたように呟く。
「......そうだ、こいつを兄貴に渡しておこう。万が一病が進んで、足手まといになったら不味いからな」
そう言いながらルイさんは笛を取りだし、ブォエンに渡した。
「ルイ......!? 僕......笛なんか苦手なのに......」
「もっと自信を持てよ兄貴。それに、必要になった時でいいんだ。兄貴には得意の"アレ"を持っているだろ?」
「......」
ブォエンさんはしばらく黙った後、ルイさんから笛を受け取った。
「確かに......連れて行って、途中で毒が進行して動けなくなったら......言い方が悪いけど、足手まといになると言うのは間違ってないねえ......」
話を聞いて、リェンさんは冷静に呟く。
「ああ......すまないが、俺は留守番させてもらっていいか?」
「ええ、構わんよ。あんたみたいなイケメンの情けない姿は見たくないからねえ......」
リェンさんの言葉に、ルイさんは複雑そうな笑顔を見せた。それを見ていたブォエンさんがこちらに向かって口を開ける。
「み......みな......さん......ぼ......ぼ......僕がル......イのぶんまで......えっと......その......がん......ばります......」
......唇が震えている。
「よし!! よく言った兄貴!! まずは先に受けていた依頼を報告することがさきだな!」
ブォエンさんの肩を起きながら、ルイさんは少女を見ていた。
シャンハイにたどり着き、自分たちは少女の母親と対面した。ルイさんは父親のことは見つからなかったとしか言わなかった。
少女を母親の元に返した後、ブォエンさんがホテルの確保をしてくれることになった。時間はまだ昼前だ。
「お義母さん、このシャンハイの近くに薬の材料があるんですね?」
ブォエンさんがチェックインしてくれている間、ソヨンさんはリェンさんに確認する。
「ああ、このシャンハイの近くの竹林に生えている。もうひとつの方法としては、サソリのような見た目の怪物から血清を取ることだけど......材料を取りに行った方が遥かに楽だとうちは思うねえ......」
......今までの経験を思い出して、リェンさんの言葉通りだと感じた。
「さて......俺はどうしようかな......」
ルイさんが背伸びをしながら呟く。
「それだったら動物園に見に行くのはどうだい? あそこで見れる"ジャイアントパンダ"は本当にかわええよお?」
「そうだな......まだ動けるうちに見に行っておくか......」
ジャイアントパンダ......名前だけは聞いたことがあるが......どんな動物なんだろうか? リェンさんに聞いてみることにする。
「パンダは熊のような生き物でねえ......体の色が白色と黒色に別れているんだよ」
「そうだ、帰って来たらまた改めてゆっくり見ないか? みんなで誘って動物園に行くんだ。タケマルさんを助けに行く前の骨休めだ!」
一瞬、タケマルさんの顔が浮かんだが、連続で行動するよりも休憩を挟んだほうがいいと感じた。その前に薬の材料を取りに行く必要があるが......
いかがでしたか?
ルイさんはまだ余裕そうですが......間に合うといいですね。
次回もお楽しみに!




