第五十一話「味方」
こんにちは、オロボ46です。
今回はブザンを去った後から始まります。
それでは、どうぞ。
ブザンを立ち去り、リェンさんと共に森の中を歩いていると、ふと今まで歩いてきた森のことを思い出す。きっと、ブザンにつく前までの森と比べようとしているのだろう。
リェンさんが建物にすら入らずにブザンを立ち去ったために、ゆっくりと街の景色を見ることが出来なかったが、建物のならびや形も今までの街と似ていた。 しかし、空気は全然違っていた。冒険小説でいえば......異国に来たような空気だ。
「これから向かう"ソウル"に、うちの息子の嫁がいるんだよ」
リェンさんの言葉を聞いて我に帰る。
リェンさんは言葉の違いを気にすることなく喋っていた。あの耳鳴りのおかげで、その言葉は理解できる。
「その子は車を使って人を街から街へと運ぶ......タクシーのような仕事をしているのさ」
タクシー......
「どうせあんたも、早めに着いた方がいいと思っていただろう?」
どう思っていても同じだろう。こちらからリェンさんに言葉を伝えることができない。
「そうそう、ユウさんはソウルは初めてだろう? もう考えているだろうけど......この辺りの怪物は全然違うからねえ......」
......
「あ......」
自分とリェンさんは、目に遭った者と目を合わせて立ち止まった。
白色の肉球を持った茶色い熊が、こちらを睨んでいる。
「ユウさん......目をそらさずに後退りするんだよ......? 絶対に死んだふりは駄目だからね? 絶対にだよ......?」
リェンさんは小声で話ながら、後退りを始めた。自分は冒険小説で主人公が死んだふりをするのを思い出したが、それを頭からのけて後退りをする。
まず、右足を後ろに下げる。熊の怪物は動かない。次に、左足を......
バギッ
......!!
木の枝を踏んでしまったようだ......
「余所見するんじゃない......!!」
リェンさんにつつかれて、自分はすぐに熊の怪物を見た。怪物はこちらに近づこうと、前足をあげていた。こちらから目を離さないまま、一歩、また一歩......
「ユウさん......絶対に慌ててはいけないよ......絶対に......慌てては......」
自分も怪物から目を離さないようにしながら、左足を下げた。
何歩か下がると、熊の怪物は歩みを止めた......
「よし......もう少し......でも、慌ててはいけないよ......慌てては......」
......
「ギャッ!!」
......!!!
自分は、リェンさんの悲鳴を聞いて、思わず振り替えってしまった。リェンさんは石につまずいたのか、尻餅をついている。
グオオオオッ!!
「前!! 前!!」
後ろを振り替えると、熊の怪物がこちらに向かって走っているのが見えた......!!
ゴンッ!!
「......!!?」
まもなく当たるところで、見えない壁を出すことができた。熊の怪物は頭を痛がるように抱えている。
「これは......いったい......?」
リェンさんの言葉を無視して、自分は怪物を睨もうと......
ペチ......ペチ......
......熊の怪物は、見えない壁に前足をついた。白い肉球は見えない壁にピッタリとくっついている。すぐに後ろ足もくっつけ、怪物の腹がはっきりと見えた。
「何をぼさっとしているんだい!?」
後ろからリェンさんに引っ張られた。その時に自分は見えない壁を消したので、熊の怪物は地面へと落下した。
熊の怪物がこちらを睨んで飛びかかる体制をとったので、自分はもう一度怪物を睨んで、怪物を燃やした。
「......まさか......あんた......」
怪物は前足を振り回しながら近づいてきたが、自分たちの前で倒れて動かなくなった。
「そんな能力を持っていたならなぜ早く言わなかったんだい?」
焚き火を起こして野宿の準備をしているときに、リェンさんが話しかけてきた。自分はメモ張を使う必要はないと感じ、リェンさんに言葉を伝えた。
「......? 何か言葉が浮かんできたねえ......自分の力を知られて嫌がられたことがある......これがあんたの言葉かい?」
どうやら通じたようだ。
「なに言っているんだい? うちがそんな奴に見えるというのかい?」
そう言った後、リェンさんはまた色っぽい目付きで見た。
「安心してええよ。うちは顔のいい若い男の味方だからねえ」
......自分は本当のことを伝えた。
「......おかしいねえ、あんたのじゃない言葉が響いたんだけどねえ......」
いや、それであっている。
「......それなら冗談下手だねえ! あんたが女なはずがないだろう?」
自分は頷いて、本当にそうだと伝えた。
「......」
リェンさんはしばらくこちらの顔や体を見つめた後、落ち込むように俯いてしまった。
いかがでしたか?
もう気づいていると思いますが、ブザン以降の街は「~の街」の部分は省略しております。
次回もお楽しみに!




