第四十四話「兄と妹」
こんにちは、オロボ46です。
今回はとある家の中始まります。
それでは、どうぞ。
「すみませんねえ......アオヒコくんが迷惑をかけてしまって......」
自分たちは今、アオヒコさんの家の隣に住む女性の家にいる。シワが少し目立つ女性はテーブルに麦茶を置いてくれた。
「いえ......それよりも、詳しく教えてくれませんかのう......?」
椅子に座り、サカノさんは女性に訪ねる。
「あたしもよくわからないんですよ。ただ......アオヒコくんのお母さん、アオヒコくんがいなくなってから疲れていたみたいでしたから......」
そう言って女性は椅子に座った。
そういえば、アオヒコさんは今どこにいるのだろうか。自分はサカノさんに聞くと、自分の代わりに女性に質問してくれた。
「書斎にいます。しばらく一人にしておいた方がいいと思いまして......それにしても......たった一人の肉親を亡くして......ウッ......」
女性は涙を見せた。サカノさんは次の言葉を飲み込むように黙っている。
「ごめんなさいね。あなたたちも、遠くから歩いて来たんですよね......あ」
突然、女性が何かを思いだしたように手を叩いた。
「まだ名前を聞いていませんでしたよね?」
「ああ......わしはサカノと申します。そしてこの子は......」
「ユウちゃん......でしょう?」
......!?
「ユウちゃんを知っているのですか!?」
「ええ、あたし、アオヒコくんのお母さんから手紙を預かっていたんですよ。ユウちゃん宛ではなく、元旦那さんからお母さん宛の手紙ですけど......ちょっと待ってくださいね」
そう言って女性は別の部屋に向かい、しばらくして一通の手紙を持って戻ってきた。
"そっちは元気だったかい? 僕は相変わらず超能力の研究を続けているよ。まあ、もうそろそろ辞めるつもりだけどね。いきなりで勝手な話だけど、僕はある人を連れてカゴシマの街に戻ろうと思っている。その人の名前はユウ。今年で十五歳になる。彼女は外の世界を知らないから、旅人として途中の街に寄りながら、勉強させていくつもりだ。
あの日、突然君の目の前から立ち去って申し訳ないと思っている。あの日の僕は、怪物が現れ初めてから起こっている異変の謎を解明する夢を捨てられなかった。自分が参加する研究が、その第一歩だということを信じていたんだ。だけどその研究は、一人の子供の人生を潰して人体実験させる虐待だったんだ。僕にはそれにもう耐えられない。
ユウは冒険小説を愛する女の子だ。きっとアオヒコのよき妹になるだろう。どうか僕たちが帰ってきた時に、アオヒコの顔を僕たちに見せてくれ"
自分は手紙を見終えて顔を上げると、
「そういえば、アオヒコくんとユウちゃんの他には......サカノさん......ですよね? 旦那さんはどうなったんですか?」
と女性が聞いてきた。サカノさんがこちらを見たので、研究所の助手のことを伝えた。
「申し訳ありませんが......彼はもう......」
「そう......ですよね......すみませんねえ......不謹慎なことばかり言ってて......」
「いえ、大丈夫です......」
手紙を女性に返すと、何かを思い出すように眺めていた。
「アオヒコさんのお母さんはこの手紙を受け取ってすぐにあたしに手紙を預けました。あの人は何も言いませんでしたが、旦那さんの事を思っていたはずです。だって、そうじゃなかったらすぐに破り捨てているはずですから。なのに、アオヒコくんが家を飛び出して数日で......殺されてしまうなんて......」
......
「ユウちゃん、どうしたのかのう?」
自分はサカノさんに、アオヒコさんのいる書斎に行っていいかと訪ねた。
「......すみません、ユウちゃんをアオヒコくんのところへ行かせて構いませんかのう?」
「アオヒコくんと一緒に旅をしたんでしょ? だったら多分大丈夫だとは思います。彼のそばにいてあげてください」
自分は席を立ち、書斎へと向かった。
書斎の中でアオヒコさんは座り込んでいた。
「ユウ......?」
真っ赤な顔を向けるアオヒコさんの隣に座る。
「......」
しばらくアオヒコさんは黙ったままだったが、やがて口を開けてくれた。
「あの手紙......俺も見せてもらったんだ......本当だったら、俺が兄貴になってたんだろうな......でもよお、お袋を心配させたまま死なせて、こんなにウジウジしていたら......兄貴失格だよな......」
気がついたら、自分はアオヒコさんの手の甲の上に重なるように手のひらを乗せていた。アオヒコさんがこちらの顔を見たが、しばらくはこのままでいようと思った。
コンコン
ノックの音が聞こえて、自分はすぐに手を引っ込めた。
「......入っていいかのう?」
「......ああ、いいぜ」
扉が開いて、サカノさんが入ってきた。
「二人とも......ちょっと街の外にでないかのう? 見せたいものがあるんじゃが......」
サカノさんに連れられて、自分とアオヒコさんは洞穴のようなところまで来た。
......一瞬、すぐに否定したい考えが頭を過った。
いかがでしたか?
嫌な予感がしますが、次回もお楽しみに!




