第三十七話「血の匂い」
こんにちは、オロボ46です。
今回はキュウシュウ地方に向かうためにフェリー乗り場に向かうところから始まります。
それでは、どうぞ。
「ふう、やっとついたのう」
翌日、自分たちはエヒメの街を後にして、フェリー乗り場と呼ばれる場所に来た。ここでフェリーという船に乗ってキュウシュウ地方に行くらしい。
「でもよお、フェリーって海を渡るだろ? 昨日みたいに海の怪物に襲われることがあるんじゃねえの?」
フェリーを待っている間、アオヒコさんが心配そうにタケマルさんに訪ねた。周りは自分たちの他にも旅人と思われる人たちがいた。
「心配はいらないぞ! アオヒコ!! フェリーは怪物対策をちゃんと施している!! 詳しい内容は......まあ、実際に乗ったらわかる!!」
タケマルさんは自信満々に答えた。
「本当かあ? ......話は変わるけどよお、ずっと気になっていることがあるんだよな。あの殺し屋がなぜそこまでしてボートで海を渡ったんだろう......?」
「きっと地雷を埋めるためでしょう」
途中でカリヤさんが話に入ってきた。
「元々行く橋が封鎖されたから、あたしたちが気がついてシコク地方への橋に向かう前に準備する必要があったと思います。徒歩ではもちろん間に合いませんし、あたしたちがどんな乗り場で向かうかも殺し屋からしたらわかりませんから」
「それじゃあ、このフェリー乗り場にある船みたいに対策とかあったのかよ?」
アオヒコさんがそう言った瞬間、カリヤさんは疑問に思ったような表情になった。
「......いえ、ありませんでした。恐らく......えっと......お金がないんじゃなかったんですかね......?」
そう言いながらカリヤさんはタケマルさんたちを見た。
「確かに疑問だな......全然わからないが」
「お金が足りなくて、それでも早く準備をしなければならないため、危険を承知で小型ボートで向かった......これが一番納得できますかのう......?」
船がやって来て、もう他の人たちがフェリーに乗り込み初めているのに、サカノさんたちはなぜか考え事を続けていた......
とりあえず、資金的な問題でやむを得ず対策のないボートで移動したと結論付けて、自分たちはフェリーに乗り込んだ。乗り込んだ時に、サカノさんから海を覗きこまないようにと注意を受けた。
キュウシュウ地方につくまで時間があったので、自分は甲板で海上の独特な風を感じて時間を潰すことにした。
「ユウちゃん、何しているかのう?」
後ろからサカノさんが呼び掛けてきた。自分は海上の風を感じていると伝える。
「そうか......小型ボートに乗っていた時は余裕がなかったからのう......わしもここで風に当たっていいかのう?」
その言葉に自分は頷いた。
その瞬間、風の匂いに違和感を感じた。その匂いは、今となっては嗅ぎなれている匂いが混じっているような......
「なあユウ!! ちょっと来てくれ!!」
別のところで海を見ていたアオヒコさんに呼ばれて、自分とサカノさんはアオヒコさんの元へ向かった。
アオヒコさんが覗きこんでいる海を自分も覗きこんでみると、海面の一部が赤かった。
「なあこれ......血だよなあ......?」
アオヒコさんは海面を指して言った。その横に立ったサカノさんは説明を初めてくれた。
「......これがタケマルさんの言っていた対策じゃ」
「え!? これがかあ!? ......あ」
あまりの驚きに、アオヒコさんは船から転落しそうになった。
「これこれ......海を覗きこむのは危険じゃと言ったじゃろ......ユウちゃんもじゃぞ」
しばらくすると、タケマルさんがやって来た。
「おや? 三人とも集まってどうしたんですか?」
「ああ、ちょうどいいのう......タケマルさん、アオヒコくんにこの船の対策を教えてやってくれませんかのう?」
サカノさんから事情を受けたタケマルさんは、自分たちに説明してくれることになった。
「アオヒコ、まずあの怪物の特徴を覚えているか?」
「えっと......確か......海上からは確認できないほどの深さから海上のものを見る視力と、瞬時に海上へと上がる素早さを持っているが、方向転換が苦手で、泳ぐ音が大きい......だったよな?」
「そうだ! そのため、その怪物は海底から飛び上がってくるという性質がある。それを利用して、この船のそこから横にかけてプロペラを設置している! 怪物が自らプロペラに突っ込むようにな!」
「でもよお......それ以外の別の海の怪物はどうなるんだ?」
アオヒコさんの指摘に、タケマルさんは二回頷いた。
「この対策の欠点は、サメ型の怪物にしか効果がない......まあ、この辺りの海はそいつしかいないのが救いだ」
「欠点といえば......設置費がかかるのも一つですな」
途中でサカノさんも説明に加わった。
「ええ、おかげでチケット代もはね上がり、私のお財布も......グスン」
タケマルさんはなぜか財布を取り出して、涙を流していた。
「しかしよお、やっぱり匂うもんだなあ......血の匂い」
アオヒコさんも匂いに違和感を持ったのか、鼻を擦った。あの違和感はどうやら怪物の血の匂いが混じっていたせいらしい。
「まあ、仕方ない。このフェリーを利用する者は旅人ぐらいだ。それに......私が嗅いだ......カゴシマの街付近の洞穴の血の匂いと比べれば......」
「カ......カゴシマの街の......洞穴......!?」
サカノさんは驚くように目を見開き、手を震わせながらタケマルさんを見た。
「カゴシマの街付近の洞穴ってよお、確か人間の姿になる怪物がいるって噂だろ!? 今まで噂話しかなかったのが、一人の旅人が目撃したって......」
「ああ、私がその怪物を目撃した。その怪物が人間になる瞬間を見たことはなかったが、現実場馴れした死体の量だけは今でも目に焼き付いているんだ......」
いかがでしたか?
カゴシマの街の洞穴の話は十九話で確認できます。しかし、タケマルさんが怪物を目撃していたとは......
次回もお楽しみに!




