第二十八話「アオヒコと師匠」
こんにちは、オロボ46です。
今回は何者かに引きずられている場面から始まります。
それでは、どうぞ。
暗闇の中を、紐のようなものに引っ張られて引きずられている。自分は仰向けになっており、背中が擦られている。頭を地面に浸けないようにするのが精一杯だった。
「ナイフを取り出して!! 舌を切って!!」
突然、懐中電灯の光に照らされる。先に引っ張られているカリヤさんが懐中電灯を付けたのだ。その光で、必死に左足を上げるアオヒコさんの姿も見えた。
自分は体制を維持したまま、ナイフを取り出した。
「そろえて切って!! 3! 2! 1!」
カチャン
自分はカリヤさんの掛け声に合わせてナイフを降り下ろした。その瞬間、足の紐がちぎれた感覚がして、止まることが出来た。
カリヤさんも紐を切ることが出来たようだった。
しかし、アオヒコさんは......
「な、ナイフがあああああ!!!」
カリヤさんが懐中電灯を奥に向けると、床に落ちているナイフと引きずられて行くアオヒコさんが見えた。アオヒコさんは段々小さくなっていく。
「もう......この距離じゃあ......助からない......」
諦めるように言うカリヤさんの声を聞きながら、自分はアオヒコさんの足を見続けた。
「ぎゃあああ!!」
突然奥から火が見えたかと思うと、アオヒコさんの悲鳴が聞こえてきた。
「......!?」
戸惑うカリヤさんを置いて、自分はアオヒコさんの元へと向かった。
アオヒコさんの左足が燃えている。正確には、自分がアオヒコさんの左足を燃やしたのだが。自分はリュックサックでアオヒコさんの足を押し当てて火を消した。アオヒコさんの足にはもう紐がなかった。
「......まさか、ライターで自分の足を燃やしたのですか?」
駆け寄ってきたカリヤさんがなんとか落ち着きを取り戻したように聞いた。
「いや、俺は何もやってねえぜ......いててて......」
「......足、見せてください」
カリヤさんに言われて、アオヒコさんはズボンを捲った。
アオヒコさんの左足は、赤く腫れていた。
「火傷が広範囲に広がっている......今から治療しても間に合うかどうか......」
カリヤさんの言葉を聞いたアオヒコさんは、こちらを向いた。自分は頷いて、火傷の跡に手を添えた。
「......」
カリヤさんは、その光景を見て思わず後退りしていた。どんな目をしていたのかは、容易に想像できた。
アオヒコさんの治療を済ませ、自分たちは出口を目指して歩き始めた。カリヤさんはこちらから距離を離して先頭に立ち、懐中電灯を照らしていた。
「それにしても......じいさんたちはどこに行ったんだ?」
アオヒコさんが口に出した。
「......知りません、先に外に出ているんじゃないんですか?」
カリヤさんはいつものように素っ気ない言い方で答えた。しかし、その声は少し震えているように聞こえた。
「ところで......ユウさん、さっき怪物の舌が燃えたのはあなたの力ですか?」
突然カリヤさんに聞かれて、自分は思わず足を止めた。
「......実はあたし、殺しの仕事を持ちかけられたことがありますよ。人の姿をした、特別な力を持つ実験体を始末しろって......その時は別の依頼で忙しくて、断りましたけどね」
そう言いながら、カリヤさんは足を速めた。
「そういえばよお......ユウ......」
今度はアオヒコさんが話しかけてきた。
「さすがにびっくりしたぜ......いきなり自分の足が燃えるからよ......今度は合図を送ってからにしたほうがいいんじゃね?」
自分は少し考えて、余裕がある時に合図を試みると伝えた。
「とにかく、今回は助かったぜ!! しかし、俺も助けられてばかりだなあ......これじゃあ師匠に合わせる顔がないぜ......」
師匠......?
「いけね!! 早く追い付かねえと真っ暗になるぜ! ユウ、お先に!!」
そう言ってアオヒコさんは懐中電灯を持つカリヤさんを追いかけた。自分も遅れないように後を追いかけた。
やがて、カリヤさんの持つ懐中電灯とは別の光が見えてきた。
「やった!! ついに出口だぜ!!」
外の光を差し込む出口を見て、アオヒコさんは叫んだ。
「......本当にタケマルさんたち......どこに行ったのかしら......」
「先に外で待っているって言ったのはあんたじゃねえか? 早く行こうぜ!!」
アオヒコさんは出口に向かって走り出した。
アオヒコさんは、出口の外に立ちすくんでいた。自分も外の景色を見て、アオヒコさんがこの景色で立ちすくんでいることがわかった。
目の前に、巨大な大穴が広がっていたからだ。
自分はその穴を覗き込もうとはしなかった。
「なんだよ......これ......」
アオヒコさんは呟きながら左右を見た。目の前の大穴を避ける道は左右の道を通るしかなさそうだ。
後ろからカリヤさんがやってきた。
「......この大穴は、怪物が現れるようになったころから、世界各地で発見されています。この大穴の深さを調べるために潜った旅人は......未だに戻ってきたことがありません」
いかがでしたか?
......よく考えずに考えてしまいましたが、仰向けに引きずられて、よく無傷にいられたなあと思います。自分が書いたのにね。
次回もお楽しみに!




