第二十四話「謝罪の目」
こんにちは、オロボ46です。
今回はヒョウゴの街に向かって再び歩き始めたところです。
それでは、どうぞ。
......
空を見上げると、あくびをしてしまった。涙によってボヤける目が写し出したのは、雲ひとつもない青空だった。
「ユウちゃん、かなり眠そうじゃのう」
サカノさんが振り向いてこちらの顔を見た。昨晩、石を受けて負傷した腹は内側からも治っており、とても元気な状態だった。男性の足も治っている。
「そういえばさあ......おっさん、そのゴムホースかなり痛かったんだけどよ......どうなってんの?」
アオヒコさんはタケマルさんと会話していた。
「ふふっ......アオヒコも私の戦闘用ホースが気になるのかい?」
「まあ、サソリの怪物から武器を抜こうとした時に叩かれて無茶苦茶ヒリヒリしてよお......傷はユウに治してもらったけどよ」
「よし、説明しよう!!」
そう言いながらタケマルさんはホースを取り出した。ホテルでタケマルさんが使っていた時から気になっていたので、自分も近づいて聞くことにした。
「まず、ここを見てくれ」
タケマルさんが指したホースをよく見ると、表面がギザギザしている。また、タケマルさんの手には持ち手のような物もついている。
「なるほど......このギザギザが肉を削ぐってやつだな......って、辺りどころが悪かったらあぶねえじゃねえか!!」
「その通りだアオヒコ!! しかもこのホースに使われている素材は特殊だから、ムチ並の耐久力を持つ!」
「でも、空洞があるせいで威力が弱くなっていねえか?」
「確かに威力は控えめだ。しかし、その分軽い。だから......」
タケマルさんは同じ物をもう一本用意した。しかも、よく見ると一本目よりも二本目の方が長い。
「このように複数持ち運び出来るのだ。私は距離や用度に合わせて二本用意しているのだよ。もちろん、力のない者でも扱えるぞ」
「へえー、でもそんな地味なホースは俺向きの武器じゃあねえなあ......なんかこう......もっとド派手な攻撃ができる奴とかないの?」
自分はアオヒコさんが武器を無くしていることを思い出した。
昨晩、サソリの怪物に刺さったままのアオヒコさんの武器は死体からは見つからなかった。どうやらどこかで落ちたようだった。
「んー、あるにはあるが、アオヒコに使いこなせるかどうかは......」
「そんなもん、やってみなきゃわからねーだろ?」
そんな二人の会話を聞いている間に、ヒョウゴの街が見えてきた。
ヒョウゴの街で、サカノさんはビンを男性に渡した。
「本当に......ありがとうございました......あなたたちがいなかったら......娘は......」
「とにかく、まだ余裕はありますが、早く娘さんに顔を見せにいったほうがいいですぞい。娘さんも心配するじゃろう」
「その通りですね......あの子には黙って出ていってしまったから......すぐにでも行かなくてはなりません。でも、その前に謝らなければいけない人がいるんです」
そう言って、男性はこちらを見た。
「実を言うと僕は......ユウさんの事が怖かったのです。だから、昨晩もユウさんから目を背けていた......アオヒコさんが内心怒って立ち上がろうとしていたのも無理はないですよ」
アオヒコさんは少し恥ずかしがりながら頭を掻いた。
「本当に失礼な事をしたものです。命の恩人に対して恐怖の感情を抱くなんて......だから、これだけは言わせてください。この先も......どうかお気をつけて......」
男性は焚き火の時と同じ目で、しっかりとした笑顔を作った。
「なんか......すっきりしねえなあ......」
公園で場所を確保したアオヒコさんが首を傾げながら呟いていた。
「普通、見たこともない力を見せられたら恐れるもんじゃよ。そして、そう簡単にその恐れの感情を消せるもんじゃあないのう」
サカノさんが荷物の整理をしながら言った。
「それはわかっているけどよ......でも......」
「......あの者は、ユウちゃんを恐れながらも、自分から進んで克服しようとした。次に会うこともなかろうから、それで充分じゃよ」
「次に会うこともなかろうって......なんか意味深だよな」
「ぶっ!!」
サカノさんは、突然吹き出した。
「どうしたじいさん!! 気管に何か詰まったのか!?」
「いやいや、わっははは......すまんかったのう、特に意識せずに言った言葉が意味深に聞こえるとは思っていなくてのう......これが"フラグ"ってやつじゃろう?」
「なんだ、びっくりして損したぜ......」
アオヒコさんはため息をついた。しかし、そのため息の中にはどこか楽しんでいるように感じられていた。
「ぬ? タケマルさんが戻ってきたようじゃのう」
タケマルさんは猛ダッシュで公園に戻ってきた。
「さあサカノさん、アオヒコ、ユウ、行きましょう!!」
タケマルさんは息を切らす間もなく言った。
「......行くってどこにだよ?」
「お、覚えていないのか!?」
「ん......確か......このヒョウゴの街にはある理由ででも立ち寄ったはずじゃが......」
「ユウ、君なら覚えているだろ!?」
自分は、シガの街から立ち去る前のタケマルさんの言葉を思い出そうとした。
"ヒョウゴの街ですか!! それなら都合がいい! 実は私の知り合いで用心棒をしている女性がいるのです。彼女なら、この旅の力になるはずですよ!!"
そうだ、確かこの街にはタケマルさんの知り合いがいたはずだ。
「そう!! 私の知り合いの用心棒に会いに行くところだ!!」
「ああ、そういえばそんなこと話していたなあ......昨晩からすっかり忘れていたぜ」
「それで、その知り合いとは連絡がとれましたかのう?」
「今彼女は、依頼を終えてこの街に帰って来ています。ちょうどお昼ごろには帰ると言っていたので、ハンバーガー店で待ち合わせすることになりましたよ」
いかがでしたか?
次回もお楽しみに!




