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超能力旅人ユウ 七つ目の大陸に最も近い旅人  作者: オロボ46
第一章「力を持ちながらも怪物が溢れる世界でたださまよい続ける冒険者」
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第二十二話「生きているもの」

 こんにちは、オロボ46です。

前回のユウはなかなか寝付けなかったようですが......


 それでは、どうぞ。

 寝袋に入ってから何時間経ったのだろうか。眠気はまだ訪れなかった。自分は瞼を開けて空を見ていた。


「サカノさん......そろそろ交代の時間ですよ......ふああ......」

タケマルさんがあくびを交えながらサカノさんを起こす。

「ああ......わかった......」

サカノさんはゆっくりと起き上がり、焚き火の前へと向かった。タケマルさんはすぐに寝袋に入りこみ、(いびき)をたて始めた。

 サカノさんは焚き火の前で笛の手入れをしていたが、そのうち地面に生えている草を見始めた。草に手を当て、まるで撫でるように左右に動かしている。そのサカノさんの目はどこか懐かしそうだった。




 自分は寝袋から抜け出し、サカノさんに近づいた。

「おやユウちゃん、眠れなかったのかのう?」

頷いて、サカノさんの隣に座る。

「こっちも眠れなかったんじゃよ......昔のことを思い出してな......」

そう言ってサカノさんは再び草を撫で始めた。

「ユウちゃんも、似たような理由じゃろ?」

その言葉に、体が一瞬だけ固まった。

「ふふ......別にわしはテレパシーなんか使ってないぞい」

自分は、サカノさんにどんなことを思い出したのかを尋ねてみた。

「サキコと共に旅をしていた時じゃが......サキコが不思議なことを聞いてきたのじゃ。この草も生きているんだよね......とな......」

草が生きている?

「ユウちゃんの好きな冒険小説にも書いてあったじゃろ?」

冒険小説と聞いて、自分は納得した。その小説に出てきたセリフだったからだ。

「実はサキコもあの小説を愛読しておってのう......といっても、スマホで見ていたんじゃが......あの子は焚き火の光で小説を見て、よく影響を受けておった......もちろん、現実でも草はちゃんと生きておると言えるぞ。日々、成長しているからのう」

自分も草に手を当てて見る。そして、何日も同じ場所で見続けないと成長しているのか解らないと気付き、手を離した。

「科学的に言えば"有機物"だからじゃな。自分で成長して、子孫を残し、やがて枯れていく......人間も有機物の一つじゃな」

サカノさんの視線は、草からシワだらけの手へと移っていた。

「そう言うユウちゃんは何を思い出したんじゃ?」

自分はそれをサカノさんに伝えようか迷った。

「いや、無理に言わなくてもいい......わしもこの年だというのに、図々しい好奇心は治っていないのう......」

少し考えて、自分はサソリの怪物のことを伝えようとした。


 しかし、それはすぐに止めて武器である木製バットを取り出した。目の前にサソリの怪物が現れたからだ。




「ユウちゃん!! こいつにその武器は力不足じゃ!!」

サカノさんの声を聞いて他の三人も寝袋から飛び出した。

「なんだじいさん!! 怪物が襲ってきたのか!?」

「まさか、サソリのような怪物ですか!!?」

「そ......そのまさかだ......」

サソリの怪物はこちらに向かって右手のハサミで切り払おうとした。自分はそれをかわしながら、サカノさんに力を使っていいか尋ねた。

「構わん!!」

その一言を聞いて、自分はサソリの怪物を睨み付けた。怪物はすぐに燃え上がり、あの時のように暴れまわり、動かなくなった。


 しかし、あの時と比べて何かが違った。まるで呆気ない、手応えのない感覚......




「この大きさは......怪物の子供じゃったな......」

サカノさんはしゃがみこんで、そばにある大岩よりも小さいサソリの怪物を見た。

「いや、子供でも十分脅威ですよ」

タケマルさんはホッとした表情で話しかける。

「それでもよ、血清を作るのには十分なんじゃね?」

そう言ってアオヒコさんは、怪物の尻尾を切り、そこから出る液体をビンに入れている男性を見た。

「......だめです、あと半分足りません」

その手にあるビンには、紫色の液体が半分まで入っていた。

「少量で充分じゃないのかよ!?」

「はい......確かにこの怪物の猛毒はあらゆる毒に対する血清が作れますが......その毒に対する量が必要なんです。私の娘に必要な量は......このビン一杯なんですよ」

......

「ユウちゃん、どうしたんじゃ?」

少し頭痛がした。サソリの怪物に対しては一回で頭痛は起きなかったはずだが、昼間に男性の傷を治すのに気を失うほど使い過ぎて、その疲れがまだ残っているたのかもしれない。そう考えると、子供だったから少しだけ頭痛がする程度で済んでよかったのかも知れない。

「それなら、もう一回小さいやつを狙えば楽じゃね?」

「そんなことはないぞ! さっきはユウが能力を使えたから......」


ドスン ドスン


「いや、残念じゃが......どうやら母親が来たそうじゃ」


ドスンドスンドスンドスン


 ......!!




 目の前の大岩が一瞬で粉々に砕けた。

「ぐあっ!?」「うぐっ!!」

男性は足を、サカノさんは腹に石の破片を受けた。

「で......でけえ......」

「......」

アオヒコさんが半分現実味の感じることができないように呟くのに対して、タケマルさんは急に汗をかきはじめた。


 かつてあった大岩の二倍あるサソリの怪物は、こちらを見ながら両腕のハサミを開いていた。

 いかがでしたか?

次回もお楽しみに!

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