第二十一話「サソリの怪物」
こんにちは、オロボ46です。
今回は夜の平原から始まります。
それでは、どうぞ。
バチバチバチ......
焚き火の音で目が覚める。今いる場所は大岩の前であることは確かだが、辺りは暗かった。焚き火の周りにはサカノさんたち三人の他に、血まみれで倒れていたはずの男性の姿があった。
「......!! おいユウ! 大丈夫かよ!?」
自分が目が覚めたのに気づいたアオヒコさんがこちらに駆けつけてくれた。
「びっくりしたぜ......戻って来たら気を失っていたからな......」
気を失っていた......?
「ユウちゃん、この人の傷を治そうとして少し無理をしていたようじゃのう......」
サカノさんの言葉を聞いて、自分は昼間の行動を思い出した。あの時、自分は男性を助けるために傷を治していたはずだ。ということは、また頭痛で......
「ユウ、すまなかった......私が無理を言ってしまったために......」
謝罪するタケマルさんの後ろにいる男性の傷が気になったので、自分は近づいた。
「......」
男性はこちらが近づいてくると、驚きと申し訳ないような目でこちらを見た。
「......ああ、この人なら大丈夫だ。君が気を失うまでにかすり傷程度まで治っていた。その後は私が応急手当てしたよ」
タケマルさんの言葉を聞いて、自分はあれだけ血が散らばったのに大丈夫かと疑問に思い、タケマルさんに聞いた。
「それが大丈夫......ですよね?」
「はい......明らかに大量に出血していたはずですが......今はめまいすら起きていません。推測ですが......あなたの......その......不思議な力は......血液も元に戻すの......ですかね......? と......とにかく、ユウさん、ありがとうございました」
男性はおどおどとした表情で自分を見ていた。
焚き火の周りには、立っている自分から時計周りに、タケマルさん、アオヒコさん、サカノさん、そして男性が座っていた。
「さて、そろそろ飯とするかのう......」
サカノさんは何かの肉を取り出した。それはどうしたのかと聞くと、昼間にサカノさんとタケマルさんが近くの怪物を殺したと説明してくれた。
「ユウ、そんなところに突っ立ってないで座ったらいいじゃねえか?」
アオヒコさんの言葉を聞いて、自分は焚き火の方角を向きながら座った。
「......」
右隣には男性が座っていた。男性は怯えるような目でこちらを見続けている。やがて、その右隣に座っていたサカノさんの肩を軽く叩いた。
「......すみません、変わってもらっていいですか?」
男性が小さい声で言うと、サカノさんは無言で立ち上がり、二人は席を入れ換えた。
「......ッ」
アオヒコさんが立ち上がろうとしたのをタケマルさんは止めた。それを見た男性はこちらを見て少し頭を下げた。
その男性の目の中にある怯えは消えていなかった。
「失礼かもしれませんが、あなたはどうしてあのような姿になっていたのですか?」
食事の途中、タケマルさんが男性に聞いた。
「ああ......実は......僕はヒョウゴの街に娘と共に暮らしていました。その娘が友達と共にこっそりと街の外へ出て......帰って来た時には高熱だったんです」
「娘......」
隣にいたサカノさんがボソリと呟くと、男性の口が止まってしまった。
「......い、いえ、どうぞ続きを......」
サカノさんは慌てて頭を下げた。
「医者に見せたところ、娘は怪物に噛まれたそうです。しかもその怪物は毒を持っていて......今日を含めてあと三日しかないんです。でも、その怪物はとても数が少なく、血清もなかなか見つかりません。そんな時に、別の怪物が街の付近に現れたという噂を聞きました」
「ちょっと待ってくださいよ!?」
急にタケマルさんが大声をだし、大岩を指指した。
「ま......まさか......その別の怪物って......この大岩の二倍ほどある......サソリのような怪物ですかぁ!!?」
サソリ......?
「はい、そうです......」
男性の一言で、タケマルさんは力なく崩れ落ちた。
「なんだよそれ、そんなにヤバい奴なのか?」
アオヒコさんが呆れたように聞いたので、サカノさんが説明した。
「そいつは両手のハサミだけではなく、尻尾の針に猛毒を持っておる。食らえば数分で命を失うが、その猛毒からほとんどの毒に対する血清を作ることができるんじゃ......それを狙ったのですかな?」
「はい......その血清は売られてはいるのですが、とても高くて......だったら自分で手にいれれば無料ですむと思いまして......旅人でもない素人の発想は甘かったですね。毒を貰わなかっただけで運がよかったですよ......あ......あなた達が偶然通りかかったことも......ですね......本当に、ありがとうございました。今日は街に戻って出直します......」
食事を終えて、今日は野宿することになった。始めに火の当番をすることになったタケマルさんを覗いた四人が、それぞれが寝袋に身を包み、瞼を閉じて寝る......
そんな中、自分は必死になって瞼を閉じて寝ようとしていた。それでも眠気は来なかった。
いかがでしたか?
どうやら男性はユウのことを避けているようですが......?
次回もお楽しみに!




