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超能力旅人ユウ 七つ目の大陸に最も近い旅人  作者: オロボ46
第一章「力を持ちながらも怪物が溢れる世界でたださまよい続ける冒険者」
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第十八話「ホテルマンと関節」

 こんにちは、オロボ46です。

今回はホテルの813号室から始まります。


 それでは、どうぞ。

「床に張り付いていてはつまらないですね。このホテル自慢の中途半端にふかふかなベットの上に寝てもらいましょうか」

自分は殺し屋ホテルマンに持ち上げられた。なんとかもがきたくても、痛みがまだ消える気配を見せない。

 その痛みの原因である右足は、力なく垂れ下がっていた。




 殺し屋ホテルマンによってベットに寝かされた。彼は心を満足させる芸術品を見ているような、満面の笑みでこちらを見ていた。

「本当に申し訳ありません......実は私は、あるお方からの依頼で実験体と呼ばれているあなた様の殺害をすることになりました、殺し屋でございます」

知ってる。右足に殺し屋ホテルマンから"実験体"と呼ばれた時点で、野宿の時に奇襲したナイフの殺し屋の言葉が頭に過っていた。


"今回の依頼主はずいぶん気の荒い方でね、仕留められないと私の命を取ると言っていたのよ。おまけに他の殺し屋まで雇っているらしいから、私のプライドとしても見逃すことができないわ"


 他の殺し屋......恐らく、この殺し屋ホテルマンもその内の一人なのだろう。しかし......自分は殺し屋ホテルマンの行動に疑問を持っていた。

 あの時のナイフの殺し屋は寝ているところを狙った。サカノさんに起こされなければ、目覚めることもなかっただろう。それなのに、なぜこの殺し屋は一撃で仕留めなかったのだろう? 後ろからナイフでも刺せば、それだけでも致命傷になりうるはず......


「私は武器を使うのは苦手でしてね......こうやって間接を外して始末させて頂いているのですよ。ところで、先ほどなぜ一撃で仕留めなかったかと思っていますか?」

殺し屋ホテルマンに聞かれても、答えることはできなかった。

「首を閉めてそのまま首の骨を折ることも出来ますよ。しかし、私の場合はそれでは駄目なのです......」

そう言いながら、殺し屋ホテルマンはこちらの目の前まで頭を近づけた。




「私は、関節を折るあの音がたまらなく好きなのですから!」




 殺し屋ホテルマンは、こちらの右腕を撫でていた。

「最初は自分の関節を外して楽しんでいましたが......それでは物足りなくて......この仕事を始めたのですよ......いやあ、とても最高ですよ! 人の関節を外して殺すというのは! 苦痛と恐怖の表情を見ながら、ゆっくりと時間をかけて関節を外す......そして突然鳴り響くポキリという音......自分自身や動かない死体の関節では到底味わえないとてつもない快感が私を襲うのですよ」

その右腕を捕まれる

「そういえば、あなた様は自信の傷を手で触れただけで治す力をお持ちと聞きました。それは外れた関節にも効果があるのかは解りませんが、なんども関節を折っていては味気なくなるもの。そこの右腕から参りましょうか」

そう聞こえると、自分の右腕が強い腕力によって締め付けられた。殺し屋ホテルマンが時間をかけて関節を外そうとしていた。


 力はますます強くなり、それによって痛みも大きくなってくる......




バタン!!


 突然、入り口から扉の開く音がした。


「ふうううう!!やっぱり銭湯は最高だなああああ!!この814()号室にたどり着いた時の私の匂いと言ったらひどいものだったが銭湯はそれを洗い流してくれたあああ!!さて!明日に備えて......」


 813号室に乱入してきたのは、トウキョウの街の近くで出会い、その後廃墟で助け出した......タケマルさんだった。

 タケマルさんはこちらを見て一瞬変な目で見てたが、力なく垂れ下がる右足と殺し屋ホテルマンの力強く掴んでいる腕を見て身構えた。

「そこにいる子は......あの時の!!?」

「まさかここのホテルがオートロック式だと忘れてしまうとは......不覚ですね。この場合......羞恥心を引き換えとした言い訳でいくらでも誤魔化せる......しかし......私なら羞恥心を選びますよ」

そう言い終わらない内に殺し屋ホテルマンはタケマルさんの足元に飛びかかった。それをタケマルさんはとっさに左にかわした。

「お前の噂は聞いている!! 関節を外し、依頼と自身の快楽を果たす殺し屋......!!」


 その時、自分は右腕が自由になっていることに気づいた。外れた関節は初めてだが、殺し屋ホテルマンの言う通り、治せるのかもしれない......


「ほう......私の事をご存知でしたか......しかし、私からすれば初対面......あなた様にはその噂の根元を聞き出してから始末させていただきましょう!」

殺し屋ホテルマンは再び飛びかかった。タケマルさんは右にかわそうとしたが、殺し屋ホテルマンはそれに反応した。

「ぐわっ!!」

タケマルさんは押し倒され、彼の左足を殺し屋ホテルマンの右手に捕まれてしまった。タケマルさんは床に落ちている武器と思われる物に手を伸ばそうとするが、殺し屋の左手に捕まれて届かない。

「さて、このまま左足の関節を外し、動けなくなってから聞きましょうかねえ......」

「ぐっ......片手でこの腕力とは......まさか......片手だけで関節を......!?」

......!!


ドダン!!


 自分はベットから落ちた。外れた右足の関節を手で触れて治した時に、とてつもない痛みが襲ってきたからだ。

 自分が落ちた音に、殺し屋ホテルマンは反応してこちらを向いた。その隙にタケマルさんは手を払い、武器と思われる"筒のようなムチ"を手にし、殺し屋の首に巻いた。

「殺し屋は招待を知られたら、街には入れなくなる......大半の殺し屋は法律の適応されない街の外で活動するが......お前のような街に溶け込んでいる殺し屋は、招待を知られない為に必死に始末しようとするだろう......」

タケマルさんは、筒のようなムチで殺し屋の首を絞めた。

「はがががが......」

「だが、私は死ぬのは嫌だ、それにこの子は私の命の恩人だ。だからここで始末させてもらう。私の"戦闘用ホース"でな!!」

さらに縛る力は大きくなる。


 しかし、殺し屋ホテルマンの表情は笑顔だった。


「あ......の......もう......少し......力を......入れて......くれますか......? 死ぬ際に......私の首が......折れる......音を......聞かせて......くだ......さ......」




 首の骨が折れる音も聞こえず、殺し屋ホテルマンは動かなくなった。

 いかがでしたか?

久々に出てきたタケマルさんですが、少し強引過ぎましたかね......ユウの部屋に入ってきた理由は、その時のタケマルのセリフでわかると思います。


 次回もお楽しみに!

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