第十話「殺し屋」
こんにちは、オロボ46です。
前回、寝ているところを襲われたユウですが......女性の目的はなんなのでしょうか?
それでは、どうぞ。
ガキィン!!
女の人のナイフは空中で止められた。自分の四つ目の力で出した、見えない壁に憚れたからだ。
「ふん、さすがは実験体ね」
女の人は素早く後ろに下がった。
「お主......一体何者じゃ!?」
サカノさんは護身用と思われる、棒のような物を女の人に向けていた。
「あなたには関係ないことよ。とにかく私はこの実験体を始末しなければいけないの。邪魔しなければおじいさんには危害を加えないわ」
そう言いながら女の人はこちらを見た。それを見たサカノさんは足を踏み出した。
ビュン
女の人は素早く後ろにナイフを投げた。
「ぬう!?」
サカノさんは素早く横に避けた。しかし、その時にバランスを崩してしまい、地面に転がるように倒れた。女の人はすぐに、ポケットから二本目を素早く取り出して......
グサァ
「ぐああっ!!」
サカノさんの右膝を刺した。
「聞いてた? 年で耳が遠いと言ったって、旅人には言い訳にもならにのよ。盗賊はもちろん、私のような殺し屋に狙われたらなおさらよ」
女の人はサカノさんの顔を覗きこんだ後、こちらを見て三本目のナイフを抜いた。
「さて、また真正面からナイフを降り下ろしても、この実験体は触れずに弾くでしょうね......でも、真正面以外からも防ぐのかしら......?」
そのナイフを持った殺し屋の言葉を聞いて、無意識に汗が流れた。
「まあ、実験体は実験をするために選ばれた者......ここで私が自ら実験をして、実験体の首と共に情報を提供すれば、報酬もさらに増えるでしょうね」
「ユウちゃん!! 逃げるんじゃあ!!」
自分はサカノさんの声を聞いて、後ろを振り替えって走ろうとした。
しかし、ナイフの殺し屋にまわりこまれてしまった。
自分はすぐに見えない壁を張ったが、殺し屋は素早く横に移動して......
ザクッ
左肩に、何かが刺さった。どう考えてもナイフしか考えられないのに、それがナイフとわかるのに一瞬だけ間が開いた。そして、すぐに痛みが襲ってきた。自分は痛みでその場にうつ伏せに倒れてしまった。
「ふふっ、やっぱり真正面だけなのね。それにしてもこの実験体は、人の話を聞いて考える知能が足りないのかしら? 私がこうして回り込まなくても、その背中にナイフを刺すことも出来たのよ?」
そうして、殺し屋は四本目のナイフを取り出した。
「さあ、もう実験はおしまいよ。実験体にとっては無慈悲かと思うかも知れないけど、本当はこっちだって命がけなのよ。確実に仕留められないと仕事も来なくなるし、今回の依頼主はずいぶん気の荒い方でね、仕留められないと私の命を取ると言っていたのよ。おまけに他の殺し屋まで雇っているらしいから、私のプライドとしても見逃すことができないわ」
自分は起き上がろうとしたが、すぐにナイフの殺し屋が上に馬乗りになって起き上がることができなかった。
「さよなら、実験体」
グサッ
痛みは感じなかった。
刺されたのは、殺し屋の方だったからだ。
「ぎええ!???」
殺し屋の口からは、なぜ自分で自分の左腕を刺したのかが理解できないという心情を込めた悲鳴が漏れた。
「お主の理論が仮に正論だとすれば......お主は観察力と想像力が足りないようじゃ。怪物も一瞬だけ操れるなら、人間も操れるのではないかと考えると思うんじゃが......」
サカノさんの手には、あの笛が握りしめられていた。
「まさか、私が実験体を刺す瞬間にその笛の音色によって手首の向きを変えたの!?」
「まあ、そんなところじゃ」
「ジジイ......調子に乗るなああああ!!!」
殺し屋は鋭い目でサカノさんを睨み、襲いかかった。自分は木製バットを構えた。
「それから、お主......もう少し冷静になったほうがええぞい」
ナイフの殺し屋の頭に向かってバットを殴り付ける。片手だけを使っての一撃だったが、殺し屋を怯ませるには十分だった。それをサカノさんは見逃さなかった。護身用の武器である棒を殺し屋の腹に突きつけ、殺し屋を押し倒した。
「ユウちゃん、そいつに刺さっているナイフを抜くんじゃ!」
自分は殺し屋の左腕に刺さっているナイフを引くと、殺し屋の口から悲鳴が漏れた。それを聞きながらサカノさんに渡す。
「それからもう一つ、お主はいろいろと喋りすぎじゃぞ。そんなに命がけなら、ここで見逃すとまた襲って来るようじゃのう」
そう言いながら、ナイフの刺さったままの膝を動かしながら殺し屋に近づいた。
「......ッ!!」
ナイフの殺し屋はポケットの中に手を入れようとした。しかし、その前にサカノさんが殺し屋の手首をナイフで切った。また悲鳴が響き渡る。
「すまないが、身から出た錆じゃったのう」
サカノさんは殺し屋の心臓にナイフを突き立てた。もう殺し屋の口から悲鳴が出ることはなかった。
悲鳴の代わりに血液が口から漏れ、目を見開いたまま、動かなくなった。
「殺し屋か......他にもいると言っておったがいててて!」
サカノさんは痛そうに右膝を押さえた。ナイフが刺さったままなのに、無理に動いたからだ。
「ユウちゃん、わしの手当ては後回しにしていい。先に自分の手当てをしてくれないかのう......」
サカノさんに指摘されて、頭の代わりに左肩から痛みを感じた。
いかがでしたか?
そろそろ次回は街に到達させる予定です。
次回もお楽しみに!




