【第2話】夢とゆめと現実
夢は現実となった
どんな形であれ
【第2話】
さて、とりあえずタルパを創ることにしたが覚えている事は少ない。記憶喪失なのだから少ないどころではないのだけれどね。
まあ、簡単な作り方は覚えている
まず基礎として「設定」を練る必要がある。
小説なんかの登場人物紹介の様に作りたい人物の特徴を入念に決めるのだ、この設定は練れば練るほど良いらしい。
通常はノートなどに設定を書き留めておかなければいけないらしいのだが、生憎書き留めておくものがない。血文字を書くほど病んでもいないし、当然痛い事は嫌いだ。僕はマゾヒストではないので諦めた。
こればかりはどうしようもないので全て頭の中に留めておく事にしている。まあモデルが毎晩会いに来てくれる(?)のでそもそも設定も何も必要は無いのだが…、
現時点でのゆめの特徴
まず、一人称が「ボク」である事が一番インパクトが強かった、彼女の外見はどちらかと言えば元気っ娘というより清楚で大人しめな読書の好きそうな感じの少女なので夢の中でこそ自然なものの現実に戻るととても違和感がある、それはそれでなかなか可愛らしい所もあるかも知れないが…彼女は所謂「おたく」なのだろうか。
性格も見た目に反して元気で気丈な芯も気も強い女の子だ
年は聞いた事がないが幼めで13歳ほどに見える。決して僕はロリコンじゃあないけれど、モデルがロリロリしてるのが悪い。
具体的な性格は「ツンデレ」にした。
かわいいじゃん、ツンツンしてる子って。なおかつ嫉妬とかするとかわいいと思うなぁ。複数体作ってエロゲみたいな展開を期待するのも悪くないな!
…僕も「おたく」だったのかな
まあ、設定はこんなもんだ。とりあえず自問自答を繰り返す
僕「今日の天気は?」
妄想を反映し、口パクさせる。そこに声を重ねてあたかも喋っているかのように見せる。慣れたもんだ。
僕「分かるわけないでしょ」
僕「まあな」
・・・虚しい
僕「窓のないこの部屋ではキミの思い込みが全てだよ」
僕「それな」
虚空に向かって「それな」とはいかに
僕「話は変わるけどさ、なんでその歳でタバコが好きなの?てか俺も吸いたいんだけど」
僕「キミがタバコ好きって設定にしたんでしょ…それにキミも好きでしょ?タバコがなんで好きかくらい自分でわかるでしょ。あとあげないから」
僕「まあわかるよ、惰性だよね。くれよ、ゆめちゃんの唾液たっぷり極上タバコ」
ああ、僕って多分気持ち悪い人なんだな…
僕「キモい」
僕「悪口はやめようぜ」
僕「てか、虚しくなってきた」
流石に心にくるものがある
僕「だろうね、くすくす」
僕「くすくすってかわいいな」
僕「キミの好みだものね」
僕「そりゃどうせなら好みの設定にしたいもの」
僕「欲張りねぇ、まあボクの意思はキミが決めているから特に恥ずかしいとかはないんだけどね、ただ貴方を愛する義務があるのだけは気に食わないわね…」
ゆめ「貴方は愛情に飢えてるのよ、きっとそうじゃなければボクを作らなかった」
!?
思い浮かべても無い事が急にゆめの声色で頭の中に響き出す
それも、僕の心を見透かすようなセリフが。恥ずかしくて心の底に押し込めていた、「愛して欲しい」と言う本音が頭に響いた
ゆめ「暴力や怒りの根源は悲しみ、貴方は潜在的に怒ったり、悲しんでいるのかもね、この状況に」
ゆめ「詰まる所、悲しみの数だけあなたは愛に飢えているの」
ゆめがつい口を開いた
「夢」が「ゆめ」になった瞬間だった