一話 欲しがりなさい、無理だけど。
バレンタインデー。それは男子にとって、浮き足立つ一日。
バレンタインデー。それは女子にとって、きっかけであり、出会いであり、お菓子の日。
うん。日本のチョコレート会社の企てか何かは知らないけど、チョコレート貰って悪い気はしないよね。
これは僕の、高校生活が始まって、最初のバレンタインデー。
中学の頃は、幼馴染が同じ学校だったから、チョコを一つ貰えることが出来た。(もちろん義理だけど)チョコの数は、男子のステータスに繋がる。多くのチョコを持っている奴は、敵であると同時に憧れでもある。流石に僕も自分の容姿や性格がどんなもんかは自覚している。だからこそ、多くは望まない。狙うは本命チョコ!! 可能性が低いことは、既知である。それでも僕は諦めたくなかった。ママからの一個を「1個だけ貰った」に使いたくない!どんなにふだんからリア充爆発!とか言っていても、自分がその立場になったら、みんなに自慢したい!
そうなると大事なのは普段からどれだけ女子と接触しているかに比例するはず。僕の普段の行動を思い返してみる。ーーーー「おーい、こっちこいよ。この女優まじエロくね?」「あ、これはやばい。タイプだわ〜」ーーーー普段からこんな会話を、しかも男子としかしていなかった。oh......
となると、あとは部活動のメンバーをと、、、、、、考えるまでもない。うちの部活に女子など存在しない。《社会同好会》という聞いたことありそうで、ないような部活(同好会)は、女子は一人いるものの、ほぼ幽霊部員になっている。
詰んだ。今年は一個ももらえずに、ママから貰っている姿を容易に想像できるところが怖い。
けど、よく考えれば分かることだ。あんまり可愛くない女子から貰っても、嬉しくないわけではないが、やはり可愛い子から貰いたいものだ。つまりそれは女子から見ても同じことで、ワンチャンありそうな中の下男子と、ノーチャンなイケメンだったら、後者を選ぶのだろう。ため息が溢れる。