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特別編 パパとママの子育て談義

「おはおーございます、新魔王様」

「ああ、おはおう」

「新魔王様はロリコンではないのですか?」

「いきなり何の話だよ」

「世の中にはそういった需要があるようですが、新魔王様のお気に入りフォルダには、低年齢の美少女画像が見当たりません」

「勝手に俺のフォルダを覗くな! つーか、どうやってパスワードを解いたんだ」

「レ〇プと三回打ったら解けましたよ。ダーキルと同じパスワードだとは驚きました」

「……」

「ここに、赤いキャンディと青いキャンディがあります。赤いキャンディを食べると、ダーキルは5年ぶん成長してセクシー美女に。青いキャンディを食べると、ダーキルは5年ぶん若返ってつるぺたロリ少女に。新魔王様は、どちらのキャンディをダーキルに食べさせますか?」

「それなら、青いキャンディだな」

「ロリダーキルがお好みなのですね!」

「一つと言わず、三つ四つと食べさせてやる」

「そんなに食べたら、ロリどころか赤ちゃんになってしまいます」

「ちょうどいい、人生を一からやり直す良い機会だ」

「ロリで思い出したのですが、エルちゃんが『パパ、パパ』と涙を浮かべながら、新魔王様を呼んでいましたよ」

「馬鹿者! それを早く言わんか!」


 新魔王が大急ぎで102号室の扉を開けると、エルは手に持っていた人形を置いて、嬉しそうに微笑んだ。


「パパ!」

「すまなかったな、エル。変態バカ女のせいで、寂しい思いをさせてしまった」

「だっこしてー」

「おお、よしよし」

「ママ、ママも」

「はいはい、ママでちゅよ~。おっぱい飲みまちゅか?」

「やめろ! 変なものを飲ませて、変態菌が移ったらどうする!」

「変態菌とは酷い言われようですね。でも見てください、エルちゃんの目は少し、ダーキルに似ていると思いませんか」

「似るわけないだろう。本物の親子ではあるまいし」

「ダーキルと同じで、目が二つ付いています」

「そりゃな! 鼻も口も一つずつだよな! 似た種族だと言えるよな!」

「エルの『ル』は、ダーキルの『ル』から取りましたし」

「名付けたのは俺だから! お前の『ル』なんて関係ないから!」

「ところで新魔王様は、この子をどのように育てるおつもりですか。明るい元気っ子にしたいとか、クールな知的っ子にしたいとか、教育方針のようなものです」

「ふむ、言われてみれば考えていなかったな。素直で優しく、誰からも愛されるような子に育ってもらいたいものだが」

「子育てとは難しいものです。すべてが親の理想通りに進むわけではありません。やがて反抗期が来て、『パパと一緒に寝たくない!』なんて言い出す日も来るでしょう」

「ば、馬鹿な! 今は俺が添い寝しなければ、眠れないほどに懐いているのだぞ!」

「残念ながらそういうものなのです。それどころか、いつかパパの目を盗んで悪い遊びに手を出したり、ママにこっそりと彼氏を紹介してくるかもしれません」

「そんな……エルに限って……」

「そうならないためにも、子育ては計画的に進めていかなければなりません。素直で優しい子に育ってもらいたければ、親である私たちも、相応の努力をしなければならないのです」

 ダーキルの言葉に、新魔王は深く頷いた。

「しかし、具体的にどうすればエルを素直で優しい子に育てることが出来るのだ」

「子どもは親を見て育ちます。もし親が喧嘩ばかりして、子どもに愛情を注がなければ、子どもに悪い影響が出てしまうでしょう」

「ふむ、たしかに」

「かく言うダーキルも、子どもの頃は寂しい思いをしていました。母親の顔を知らず、放任主義の父親には捨て置かれ、仕方なくオナ……一人遊びに興じる毎日でした」

「何でも親のせいにするのはどうかと思うけどな」

「つまりエルちゃんの前では、私たちは仲の良いパパとママでなければならないのです。そうすればエルちゃんは、新魔王様の理想通りに育つことでしょう」

「なるほど……いや、ちょっと待て。『仲の良いパパとママ』って、もしかして俺とお前のことか?」

「ええ、そうです。すべてはエルちゃんの成長と、その後に待ち受ける至高の凌辱のために。鬼畜外道の頂点を極める新魔王様には、偽りのおしどり夫婦を演じることなど、造作もないことでしょう」

「……本当に効果があるのか?」

「では実際に、試してみましょうか」

 ダーキルの提案により、朝食は急きょ三人で食べることになった。

「はい、新魔王様。あーんしてください」

「ふざけるな! どうして俺がそんなことを」

「怒ってはいけません。これもエルちゃんのためです。パパとママの仲良しなところを見せてあげる必要があるのです」

「ちっ……エルのためなら仕方ない。あ、あーん……」

「エルも! エルもやう!」

「では、次は新魔王様がエルちゃんに食べさせてあげてください」

「わ、わかった」

「あーん……もぐもぐ……はい、ママも!」

「あら、ママにも食べさせてくれるのですか。あーん……もぐもぐ」

「おいしい?」

「おいしいですよ。ありがとう、エルちゃん」

「えへへ」

「見て下さい、この天使のような笑顔を。ご覧頂いた通り、子どもは親を見て育つのです」

「なるほど! そう考えると、決して難しいことではないな。こう育って欲しいと思ったら、それをエルの前で実行して見せれば良いのか」

「仰る通りです。では」


 ダーキルは新魔王に寄り添うと、二の腕あたりに頬をすりすりさせた。


「な、何をしている!」

「我慢してください。エルちゃんを素直な良い子に育てるためです」


 その様子をじーっと見ていたエルは、ダーキルの反対側にやってきて、新魔王の腕に頬をすりすりさせた。ダーキルが新魔王の太ももに頭を乗せると、エルもまた同じようにして、嬉しそうに笑う。


「なんという可愛さだ……」

「効果てきめんです。エルちゃんはまねっこが上手ですね」


 お腹いっぱいになって、うとうとし始めたエルを、新魔王はベッドに運んだ。今にも寝てしまいそうなのに、エルの手は新魔王の袖をつかんで離そうとしない。

 エルを寝かしつけるためにベッドに入ると、反対側にダーキルが入ってきた。


「なんでお前が入ってくるんだよ」

「これもエルちゃんのためです、我慢してください」


 二人に挟まれたエルは、やがて幸せそうに寝息を立て始める。するとダーキルが、もぞもぞと布団を移動して、新魔王の背中側に出てきた。


「何故こっちへ来る!」

「ここからは大人の時間です。エルちゃんに気づかれないように、こっそりとダーキルをレ〇プしてください」

「調子に乗るな!」

「あいた!」


 くすくすという笑い声に、新魔王とダーキルは同時にエルを見た。起こしてしまったかと思ったが、エルはすぐにまた、規則的な寝息を立て始めた。

 新魔王とダーキルは、エルを起こさないように、そっと102号室を出た。



「子育てとは大変なものだな。まったく先が思いやられる」

「ご心配なく、ダーキルが付いております。夫婦で協力して、エルを素直で優しい良い子に育てて行きましょう」

「今から母親を居なかったことには出来ないだろうか」

「そんなことをしたら、エルちゃんがショックで泣いてしまいます。子どもには母親の愛情が必要なのです」

「わかったからすりすりするな! もう演技は終わったのだ。こんな姿、誰かに見られでもしたら」

「……さっきから見ているんだけど」


 背後からの声に振り向くと、ノールロジカ魔法学校の制服を着たゼッカが立っていた。


「げっ、ゼッカ!」

「あなた達って、本当に仲が良いのね」

「待て、誤解だ! これは子育ての為に、仕方なく――」

「こ、子育て!? まさか、そこまで進んでいたなんて……」

「それも誤解だ! おいダーキル、お前からも何とか言え!」

「新魔王様、良い事を思い付きました。いっそゼッカさんも、私たちの子どもにしてはいかがでしょう。パパとママの仲の良さを見せつければ、ゼッカさんも素直で優しい良い子に育つと思うのです」

「相手はゼッカだぞ! 手遅れどころか、青いキャンディを限界まで飲ませて最初からやり直しても、素直な良い子に育つはずがない!」

「何を言っているのかよく分からないけど、私を挑発していることは確かなようね」


 ゼッカの瞳に、冷たく赤い炎が燃える。


「ま、待ってくれ! 妻の命ならくれてやる! 俺と娘は助けてくれ!」

「酷いわ、あなた! そこは身を呈して、私と娘を助ける場面ではないですか!」

「なんだと! 俺は知っているのだぞ! お前がこっそり、俺に多額の保険を掛けていることをな!」

「そ、それを言うならあなただって、余所に隠し子がいるじゃない! 家の貯金を使いこんで、私と娘を餓え死にさせるつもりなの?」


 見苦しい小芝居を見て、すっかり気が削がれたゼッカは、すたすたと二人の横を通り過ぎていった。


最後までお付き合いくださいありがとうございました。

書籍版からの掲載は以上となります。

続編は不定期となりますが、よろしくお願いいたします。

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