第三話 レ〇プ目の美少女は好きですか?
勝手に新魔王の部屋に入ってはいけない、という言いつけを守らなかったとして、ダーキルは懲役一時間の刑に処されていた。
首からは『反省中』の木札をかけられ、両手に持った大きなカゴの中には、新魔王が罰の為に拾ってきたスライムがたっぷりと乗せられている。
刑期を終えると、ダーキルは魔王城の窓を開けて、スライムたちを草むらの上に転がした。
「ダーキル、反省して戻って参りました。しかしこうも手が痺れてしまっては、今夜は一人遊びに耽ることが出来ないかもしれません」
「俺の知ったことかよ」
「ですが、感覚のない手で作業に勤しむというのも乙なものかもしれませんね。触っている感覚が失われた分、触られている感覚が増すと言いましょうか……はっ! まさかこれは、ダーキルへの罰と見せかけた新魔王様からのご褒美
なのですか」
「お望みとあれば、たっぷり褒美を追加してやるが」
「いいえ、遠慮しておきます。しかし新魔王様がスライムを持ってきた時には、どんな罰を受けるのだろうかと期待いたしましたのに」
「なにを期待したんだよ」
「もちろん、スライムを使ったレ〇プです。ダーキルの体を這いずり回るスライムが、いい感じに服を溶かしていくのですね。凌辱がさらにエスカレートいたしますと、スライムはダーキルの体内へと侵入し、用意されていた新魔王様の精液を注ぎ込んでくるのです。これによりダーキルは処女でありながら、新魔王様の子供を妊娠いたしまして、出産とともに処女膜を破られることになるのです。ああ、我が子に処女を奪われるとはなんという屈辱でしょう! そして子供が大きくなった頃にダーキルは言うのです。『お前はママがパパにレ〇プされて出来た子なんだよ。そしてママの処女膜を破って生まれてきたんだよ』って」
「子どもがグレるから秘密にしておけよ。あと妄想が長すぎる」
「反省している間、ずっと暇でしたので。ちなみに生まれてくる子供の名前は『レイプル』にいたしました」
「ネーミングセンスが最悪すぎる」
「ダーキルと新魔王様の子どもにふさわしい名前だと思いますよ」
「とにかく、もう勝手に俺の部屋に入ってくるんじゃないぞ。わかったな」
「悪気はなかったのです。知らない女性の声が聞こえてきたので、何事かと様子を窺ったところ、その魔法の箱の中から、女性がこちらへ向かって話しかけてくるではありませんか」
「魔法の箱……ああ、パソコンのことか」
「ダーキルも会話に応じていたのですが、どうにも話が嚙み合いません」
「嚙み合わないのは当然だ。これは動画だからな」
「どうが?」
〈新魔王様説明中〉
「パソコンとは便利なものですね。この世界の何処を探したって、そんな技術はありません。ダーキル、興味しんしんです」
「いくら異世界に転生したって、パソコンとネットが使えないのでは退屈で死んでしまうからな。このパソコンは俺の元いた世界とリアルタイムで繫がっているから、エッチな画像や動画も集め放題なのだ」
新魔王がお気に入りのエロ画像(凌辱される寸前の美少女CG集)を見せてやると、ダーキルは目を輝かせてぴょんぴょんと跳ねた。
「すごい、可愛らしい女の子たちの絵がこんなに! どれこれも、見ているだけでドキドキしてきます。ダーキルもこんなシチュエーションで追い詰められたいです」
「そうだろう。なにせこれは、俺が厳選したSランク画像フォルダだからな」
ダーキルの反応に気を良くした新魔王は、比較的ソフトなエロ漫画と動画をダーキルに見せてあげた。
ダーキルは新しいページが開かれるごとに、「わあ」「おー」と喜びの声を上げている。
「ダーキル、興奮しすぎて喉が渇いてしまいました。先ほどから新魔王様が飲まれているそれは、なんですか」
「これはコーラだ」
「こおら? 亀さんが背負っている?」
「甲羅ではなくて『コーラ』だ。俺の元いた世界にあった飲み物でな」
「パソコンといい、コーラといい、どうしてそんなモノがここにあるのです」
「ククク……知りたいか」
「ダーキル、わくわくです!」
立ち上がった新魔王は黒マントを翻し、学生服のボタンを開けた。
白いシャツの上には、黒い半円状のポケットが貼り付いている。
「これこそ俺のチート能力が一つ『異世界ポケット』だ! この中は俺のいた世界に繫がっていてな、こうして手を突っ込んで、欲しい物を念じると――」
「冷え冷えの『コーラ』が出てきました! ダーキルが飲んでもいいですか?」
新魔王にコーラを渡されると、ダーキルは勢いよく飲み口を傾けた。
「けほっ、けほっ! 喉に電撃が走りました! これは毒ですか?」
「ただの炭酸だ。その感覚を楽しむ飲み物だから、慌てずに少しずつ飲むといい」
ダーキルは恐る恐る口をつけると、今度は慎重に少しずつペットボトルを傾けた。
「んくんく……あ、美味しいです。しゅわしゅわが癖になりそうですね。喉の奥をレ〇プされている感じです。さすがは新魔王様がご愛飲されている飲み物です」
「その発想はなかったけどな」
「ぷはー、もう飲み終わってしまいました。まだ飲み足りないので、新魔王様が残したのもいただきますね」
「いや、これは残したわけじゃ」
ダーキルは新魔王のコーラをひょいと奪い取ると、ためらう事なく口をつけた。
「どことなく新魔王様の香りが加わって、喉の奥を間接レ〇プされている気分です」
「それを言うなら間接キスだ……って、ああもう!」
新魔王は赤面すると、ダーキルから自分のコーラを奪い返した。
異世界ポケットから新しいコーラを取り出して「これを飲んでいろ」とダーキルに押し付ける。
「またまたコーラが出てきました。新魔王様は、そのポケットから何でも取り出せるのですか」
「ああ、元の世界に存在するものであればサイズに関係なく、このポケットからにゅーっと取り出せるぞ」
「ふーん……ダーキルも、パソコン欲しいなぁ」
「人差し指を咥えながら、上目遣いでおねだりをしてもダメだ」
「ダーキルをレ〇プしていいので、パソコンくーださい」
「レ〇プもしないし、パソコンもあーげない」
「そこを何とか、せめてレ〇プだけでも」
「そこはパソコンじゃないのかよ。まったく、この世界に来てからツッコミをしすぎて、喉がかれてしまいそうだ」
新魔王は持っていたコーラをぐいと一口飲んだ。
「あ、間接キスですね。ダーキルの味がしましたか?」
「っ! わ、わざとじゃない、うっかり忘れていたのだ! そんなことより、例の件はどうなったんだ。新しい美少女を探して来たんだろうな!」
照れ隠しに、新魔王はダーキルをギロリと睨みつけた。
「バッチリです。新魔王様がレ〇プしたくなるような美少女をさらって参りました」
「本当に大丈夫なんだろうな。ゴブリンとかトロルのお姫様じゃないよな」
「ええ、もちろんです。そこで一つご相談なのですが、もしお気に召しましたら、ダーキルにも少しだけパソコンを使わせてくれませんか。以前に新魔王様は、ダーキルが頑張ったらご褒美をくださるとおっしゃいました」
「ふむ。まあ、働き次第では考えてやらなくもない」
「やった! では行きましょう」
気合十分のダーキルは、コーラを持ったまま勢いよく手を上下させた。
「あ、こら、コーラを振るな! ……って、これは洒落じゃないぞ」
「どうしてです?」
「バカ! 今フタを開けると」
「えっ……きゃあーっ!」
勢いよく噴き出した白い泡が、ダーキルの手からあふれていった。
「あーあ、言わんこっちゃない」
「ダーキル、びっくりしました。コーラだけに、こーらびっくり、なんちゃって」
「俺のいた世界では、その洒落を言うと死罪になるのだが、特別に見逃してやる」
「んくんく……あれ? 泡の逃げて行ったコーラは、あまり美味しくありませんね」
「まあ、そういうものだ」
新魔王とダーキルは、魔王城の地下室102号室までやって来た。
新しく連れてこられた少女がエルフ族だと聞いて、新魔王はにわかにテンションを上げる。
「エルフといえば、人間やオーク、魔物や怪物などあらゆる種族の子を妊娠するという、まさに異世界レ〇プ被害者の代名詞的な存在!」
「弱いくせに可愛くて、プライドが高く多種族を見下している感じがありますからね。これはもうレ〇プしてくださいとアピールしているようなものです」
ダーキルの言葉に、新魔王も「わかっているではないか」と満足げに頷いた。
「しかしまさか、生で本物のエルフを見られる日が来るとはな。この日のために異世界転生をしてきたと言っても過言ではない」
「そんなエルフ族には千年に一度、『神の御使い』と呼ばれる特別な力を持った女の子が生まれるのですが、新魔王様はご存じでしたか」
「いや、初耳だが」
「その容姿は天上の光と謳われ、流す涙は宝石に、語る言葉はこの世の何よりも美しい旋律になるそうです。そんじょそこらの美少女エルフとは格が違いますよ」
「ふーん……おいまさか、お前はその『神の御使い』とやらを」
「はい、捕まえて参りました」
「よくやった、ダーキル! 一日一時間、パソコンを使う権利をやろう!」
「わーい! ダーキル、やりました!」
テンションの上がった新魔王とダーキルは、いえーいとハイタッチを交わした。
「しかし、そんなに希少な存在をよく見つけて来られたな」
「タイミングよく、人間に捕らえられたところを見つけたのです」
「人間に?」
「エルフ族の少女は売れば金になりますからね。とある村が襲撃を受けていたところを、ダーキルがたまたま通りがかりました。人間たちは、少女が神の御使いであることに気付いたのでしょう。その価値は他のエルフとは比べ物になりませんから、足手まといになる他のエルフたちは、すべて首を切られて殺されていました」
「いきなり話が重いんだけど! ハッピーだった俺のテンションが、物凄い勢いで下降中なんだけど!」
「そのため申し訳ないのですが、少女についての情報がございません。名前や年齢、境遇など一切が不明となっております。村は全滅でしたので、話を聞こうにも誰もいませんでした」
「それは仕方ないな。ところで、村を襲っていたという人間たちはどうしたんだ」
「抵抗してきましたので、ダーキルがコテンパンにやっつけておきましたよ」
「お前が戦ったのか?」
「ダーキル、これでも強いのです。書物に載っているような魔法はすべて使えますし、1ターンに3回行動もできます。ボスっぽく補助魔法をかき消す波動も出せますし、種族や性別を問わずチャームの魔法で魅了することもできますので、魔王クラスの相手にも引けを取ることはありません」
「ふーん……とてもそうは見えないけどな」
「あ、もしかしてダーキルを心配してくれました? 人間たちに返り討ちにあって、集団レ〇プされてしまうダーキルを想像して興奮されました?」
ダーキルは胸の前に手を合わせて、嬉しそうに小首を傾げて見せた。
「心配などしていない! ……が、サポート役のお前に何かあっては不都合なこともある。テレパシーのチャンネルを開いておいたから、何かあったら俺を呼ぶといい」
「わーい、ありがとうございます! ちょっと試してみますね(あーあー、新魔王様、聞こえますか?)」
「……(ああ、聞こえているぞ)」
「……(えーと……あっ、やんっ♡ はあ、はあっ♡)」
「……(テレパシーで喘ぐんじゃない)」
「レ〇プしてください!(レ〇プしてください!)」
「………(テレパシーと同時に喋るな! 悪用するなら止めにするぞ!)」
「申し訳ありません、悪用はいたしませんのでお許しください(これは面白いです、いろんなイタズラに使えそうです)」
「……(本音が漏れている!)」
気を取り直した新魔王は、勢い勇んで102号室の扉を開けた。
薄暗い部屋の隅では、服を返り血に染めたエルフの少女が、膝を抱えて座っている。
少女は新魔王たちが入ってきたことにも気づかず、輝きを宿さない濁った瞳で、ただ虚空を眺めているばかりだった。
新魔王が至近距離から声をかけても、目の前で手を振って見せても、少女は全く反応しない。
「すでにレ〇プ目だし! まさか、人間たちに襲われた後なのか」
「いえ、処女であることはダーキルが確認しています。おそらく家族や友人を殺されたショックで、感情を失ってしまったのではないでしょうか」
「むう、そりゃレ〇プ目にもなるか。そして今、さらりととんでもないことを言ったなお前」
「レ〇プ目ではありますが、最上級の美少女であることには変わりありません。さあ新魔王様、思う存分に襲いかかってください」
「よーし! 新魔王様、張り切って凌辱しちゃうぞー……って、できるかーっ!」
新魔王のツッコミがこだまするも、エルフの少女は反応すらしない。
「いいかダーキル、凌辱には美少女の抵抗が不可欠なのだ。そのリアクションで興奮度が高まると言っても過言ではない。それなのにすでにレ〇プ目では、面白くもなんともないだろう。いわば炭酸の抜けたコーラのようなものだ」
「なるほど、その例えはわかりやすいです。たしかにアワアワの抜けたコーラは、刺激がなくてイマイチでした。では、この子は処分するといたしましょう」
ダーキルは空中から赤い槍を取り出して、少女の喉元に当てた。
「おい、早まるなって。せっかくの神の御使いなんだし、殺してしまうのは惜しいんじゃないのか」
「ですが、この少女は壊れてしまっています。元の場所へ返したとしても、野犬に食われるか、再び人間に捕らえられるか……新魔王様が不要とおっしゃるのであれば、この場で殺してあげるのが慈悲というものではありませんか」
「それもそうだが、一時的なショックで反応が出来ないだけかもしれん。しばらくすれば元に戻るかもしれないから、少し様子を見ることにしよう」
「魔王城に置いて、この少女の面倒を見るということですか」
「その通りだ」
「新魔王様が?」
「うむ」
「ちゃんと面倒を見られます? ダーキルに任せっきりになるのではないですか」
「大丈夫だってば」
「ごはんとかトイレとかお散歩とか、生き物を飼うのは大変なのよ?」
「お母さんみたいに言うなよ」
「新魔王様がそこまで仰るのなら仕方ありません。認めてあげましょう」
「お前に決定権があるのかよ。それから一応言っておくが、こいつを助けてやろうという訳ではないからな。回復して感情が戻ったら、あらためて襲いかかってやろうという算段なのだ。自分を助けてくれた恩人に裏切られるショックは格別だろう」
「さすがは新魔王様、なんて鬼畜極まりない発想。ダーキルは新魔王様の恐ろしさに、おしっこを漏らしてしまいそうです」
「そうと決まればダーキル、まずは湯を沸かすのだ。こいつの血で汚れた体を綺麗にしてやる必要があるからな」
「はい、かしこまりました……って、やっぱりダーキルに世話をさせる気ではありませんか」
「仕方ないだろう、着替えや風呂まで俺がやるわけにはいかん。洗濯や飯は俺がやるから、それ以外はお前が担当しろ。褒美にコーラやるから」
「わーい!」
★
――新魔王の鬼畜凌辱ハーレムメモ――
【101号室 ドロシー(オークの姫)】
体がでかいだけに、やはり食う量も半端ではない。芋が好物のようで、試しに俺が食っていたポテトチップス(コンソメ味)をやったら、えらい喜びようだった。性的な目で見ることはできないが、餌付けをする感覚で接する分には可愛いかもしれない。小さい頃、牧場で馬にニンジンを食べさせた時の感動を思い出した。
【102号室 名前不明(エルフの少女)】
全く反応がない。寝ているのか起きているのかもわからない。それでも絵になるあたり、さすがは希少価値の高いエルフの美少女だ。心配なのは栄養状態だろうか。無理矢理にでも食べさせないといけないな。




