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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第6話 『まさかのペア』

校内選抜・本選当日。

予選を突破した三名――

ルイ、ルナ、そして小春。

実習室の中央には、大きなホワイトボードが立てられている。

龍星先生が静かに告げる。

「本選は個人戦ではない」

ざわつく空気。

「テーマは“二人で作る、ひとつの感情”」

ペア戦。

小春の胸がどくんと鳴る。

(誰と……?)

龍星先生が続ける。

「組み合わせは、こちらで決めた」

ホワイトボードに貼られる紙。

その瞬間、空気が止まった。

――ルイ × 一ヶ原小春

――ルナ × 上級生代表

小春の視界が、一瞬真っ白になる。

「え……?」

ルナが目を見開く。

「は? なんでその組み合わせなん」

ルイは表情を変えないが、わずかに視線を動かした。

龍星先生は淡々と告げる。

「相性を見るためだ」

「本気で世界を目指すなら、誰とでも組めなければならない」

小春の心臓がうるさい。

(ルイくんと、ペア……?)

放課後。

ペア練習のため、二人は実習室に残る。

沈黙。

重い空気。

「……テーマは?」

小春が恐る恐る聞く。

「まだ決めてない」

ルイは短く答える。

「一つの感情、か」

少し考え込む。

小春は静かに言う。

「“再生”ってどうでしょう」

ルイが視線を向ける。

「再生?」

「壊れても、もう一度作れる。失敗しても、やり直せる」

自分でも、少し大胆だと思う。

でも——

ルイの“後悔”を思い出していた。

「……甘いな」

小さな呟き。

でも今回は、否定の響きがない。

「具体的には」

小春はスケッチブックを広げる。

白と黒のコントラスト。

ビターなガナッシュと、軽いメレンゲ。

中心に、温かいソース。

「苦味のあとに、温かさが来る構成にしたいです」

ルイはしばらく黙って見ていた。

やがて。

「悪くない」

短い一言。

でもそれは、ほぼ“肯定”だった。

作業開始。

しかし、すぐに問題が起きる。

「そこはもっと攻めろ」

ルイが言う。

「でも、優しさも残したくて……」

「中途半端になる」

意見がぶつかる。

空気が少し張る。

小春は唇をきゅっと結ぶ。

(逃げない)

「ルイくんは、苦味を強くしたいんですよね」

「……ああ」

「でも、全部苦いと“再生”にならない」

静かな声。でも、はっきり。

ルイは少しだけ驚いた顔をする。

強く反論されることに、慣れていない。

「じゃあどうする」

「半分ずつ作りませんか」

「半分?」

「前半はルイくんの世界。後半はわたしの世界」

一皿で、物語を作る。

ルイは、ゆっくり息を吐く。

「……面白い」

その目に、わずかな光。

離れた場所で、それを見ているルナ。

「ほんまに組んだんやな……」

悔しさと、焦り。

でも同時に——

「負けへん」

ぎゅっと拳を握る。

夜。

最後の試作。

ソースをかけた瞬間、温かい香りが立ち上る。

ビターな層が、ゆっくり溶ける。

小春が呟く。

「きっと、誰かの心にも届きます」

ルイは、皿を見つめたまま言う。

「……お前は」

小さな間。

「どうして、そこまで信じられる」

小春は少し考えてから答える。

「信じないと、作れないからです」

その横顔は、静かで、強い。

ルイは気づく。

自分はずっと、“壊さないように”作ってきた。

でも小春は——

“壊れても大丈夫”と、作っている。

その違いが、胸を揺らす。

本選まで、あと一日。

ペアはまだ不完全。

でも確実に、歯車は噛み合い始めている。

甘さと苦味。

過去と未来。

そして——

二人の距離も、ほんの少し。

近づいていた。

――つづく

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