第5話 『パリの誓い』
パリ――
旧 Maison Étoile 本店。
歴史ある大広間に、世界中のメディアが集まっていた。
本日の発表は二つ。
ひとつは、ブランド再始動セレモニー。
そして、もうひとつ――
雅とエレナの婚約発表。
◇
壇上に立つ雅。
隣には、凛とした笑みのエレナ。
フラッシュが光る。
雅がゆっくりと口を開く。
「私は、欧州で学びました」
「伝統の重さと、守る覚悟を」
エレナが続く。
「そして、未来を創る勇気を」
二人は視線を交わす。
「本日、婚約を発表します」
会場がどよめく。
◇
ニューヨーク。
SweetS本社の大型スクリーンで生中継。
夏海が叫ぶ。
「え、聞いてない!」
優ちゃんは腕を組みながら笑う。
「らしいな」
小春は少し涙ぐむ。
「あの雅が……」
◇
パリの記者会見。
質問が飛ぶ。
「経営への影響は?」
雅は即答。
「ありません」
「むしろ強くなる」
エレナは続ける。
「私は彼の右腕であり、対等なパートナーです」
拍手。
◇
夜。
セーヌ川沿い。
二人きり。
雅が小さな箱を差し出す。
「戦場のど真ん中だけど」
「それでも、一緒にいてくれる?」
エレナは微笑む。
「最初からそのつもりよ」
指輪がはめられる。
静かな誓い。
◇
ニューヨーク。
小春が優ちゃんに言う。
「家族、増えるね」
優ちゃんは頷く。
「世界が広がる」
夏海はスマホを見つめながら呟く。
「絶対、泣かせないでよ…」
◇
だが――
同時刻。
ルイの《R》がパリで新作発表。
テーマは《Solitude》。
“孤高”。
批評家が書く。
「巨大化するSweetSに対するアンチテーゼ」
静かに、緊張が走る。
◇
ラスト。
雅・エレナ婚約正式発表。
欧州経営基盤さらに強化。
家族と企業が一体化していく。
しかし。
巨大化したSweetSに、
“解体論”が囁かれ始める。




