第5章 「継承と覚悟」 第1話 『副社長、夏海』
ニューヨーク――
SweetS Memories 本社・大ホール。
全社員が集まる緊急発表会。
壇上に立つのは、優ちゃん。
その隣に、小春。
そして一歩後ろに――夏海。
ざわめきが広がる。
優ちゃんがマイクを握る。
「本日付で、SweetS Memories副社長を任命する」
一拍。
「夏海だ」
会場がどよめく。
若い。
急成長。
だが、まだ“妹”という印象が残っている。
◇
夏海が前に出る。
深呼吸。
「私は、家族だからここにいるわけじゃありません」
空気が変わる。
「商品開発責任者として結果を出した」
「でも副社長は、もっと重い」
「失敗すれば、私が責任を取る」
視線はまっすぐ。
◇
小春が微笑む。
夏海の成長を知っている。
かつて雅を連れ戻そうとした妹は、今や企業の中枢。
◇
就任後、最初の会議。
議題は――
“Memoriesの次の柱”。
夏海が提案する。
「体験型スイーツパーク構想」
スイーツを“食べる”だけでなく、
“学ぶ・作る・物語を体験する”施設。
役員の一人が疑問を投げる。
「リスクが大きい」
夏海は即答。
「だからやる」
「Memoriesは思い出を売る会社です」
沈黙。
優ちゃんがうなずく。
「進めろ」
◇
パリ。
雅がニュースを見て微笑む。
「副社長か」
エレナが言う。
「あなたの家族、どんどん強くなるわね」
雅は少し誇らしげ。
◇
ニューヨーク。
Re:riseもじわじわと固定客を掴み始めている。
龍星はニュースを見ながら呟く。
「負けてられねぇな」
◇
夜。
副社長室。
夏海は一人、窓の外を見る。
プレッシャーは重い。
だが目は燃えている。
スマホが鳴る。
秋大からメッセージ。
『副社長、おめでとう。中欧市場、任せるか?』
夏海、笑う。
「面白いじゃん」
◇
ラスト。
SweetS Memories、新体制始動。
社長・優ちゃん。
副社長・夏海。
そして――
世界三大スイーツ企業の一角、
欧州巨大ブランド《Dolce Regale》が、
SweetS買収検討の噂。
嵐は、まだ終わらない。




