第15話 『裏切りの温度』
ニューヨーク――
SweetS本社・深夜。
灯りが一室だけ点いている。
ルイは無言でノートPCを見つめていた。
画面には流出資料。
新商品レシピ。
欧州統合戦略。
株式移動計画。
すべて、外部に渡っていた。
差出人は元Lumière幹部。
そして、添付された証拠。
通信ログ。
送信元IP。
SweetS本社内部。
◇
翌朝、極秘会議。
出席者は三人。
小春(産休中だがオンライン)。
優ちゃん。
ルイ。
ルイが低く言う。
「裏切り者は、本社幹部」
空気が凍る。
映し出された名前。
――財務統括本部長・城崎。
古参幹部。
小春の創業初期から支えた人物。
◇
優ちゃんが眉をひそめる。
「動機は?」
ルイは淡々と説明する。
「買収成立前に、Lumièreと水面下で接触」
「経営統合後も地位確保を条件に情報提供」
小春は目を閉じる。
信じていた人。
「……直接話す」
静かな声。
◇
同日午後。
城崎が会議室に呼ばれる。
穏やかな笑顔。
だが証拠を突きつけられ、表情が固まる。
「誤解です」
「会社を守るためだった」
小春が画面越しに言う。
「守る?」
城崎は声を荒げる。
「若造ばかりの経営!」
「あなたは感情で動く!」
「私は安定を選んだだけだ!」
沈黙。
ルイが一言。
「裏切りだ」
城崎は俯く。
◇
処分は即日。
解任。
法的手続きへ。
ニュースは最小限に抑えられる。
だが社内には衝撃が走る。
◇
夜。
小春は翼を抱きながら呟く。
「信じるって、難しいね」
優ちゃんが隣に座る。
「でもやめない」
「疑うために会社作ったんじゃない」
小春は頷く。
◇
ルイは一人、本社屋上。
風が強い。
守る戦い。
買収。内部反乱。裏切り。
静かに呟く。
「そろそろ、次の段階だな」
ポケットから一枚の設計書。
新ブランド構想。
SweetSでもButterflyでもない。
完全独立型、超高級実験ブランド。
名は――
《R》
◇
パリ。
雅が報告を受ける。
「裏切り者、解任か」
小さく息を吐く。
「王冠は重いな」
だが目は揺れない。
◇
ラスト。
SweetS内部浄化完了。
Europe安定。
Memories盤石。
しかし。
ルイの心に、新たな野望。
守るだけでは終わらない。




