第14話 『三ヶ月の王』
パリ――
SweetS Europe 本社
雅に突きつけられた“三ヶ月黒字転換”の期限。
残り、あと10日。
社内の空気は張り詰めていた。
売上は上昇傾向。
だが、まだ決定打が足りない。
◇
会議室。
財務責任者が報告。
「あと3%届きません」
静まり返る幹部たち。
解任動議は有効。
失敗すれば、即退任。
雅は資料を閉じる。
「最後の一手、打ちます」
◇
発表されたのは――
《Lumière Legacy Collection》
旧Lumièreの伝統レシピを、Butterfly若手と共同再構築。
“守り”と“挑戦”の融合。
古参幹部がざわつく。
「伝統を弄ぶな」
雅は真っ直ぐ見る。
「弄びません」
「未来に残します」
◇
発売当日。
パリ旗艦店。
長蛇の列。
SNSでは話題沸騰。
“懐かしいのに新しい”
“甘さが進化してる”
Butterfly若手の名も拡散。
伝統派も若者も取り込む。
◇
ニューヨーク。
小春は翼を抱きながら中継を見る。
「雅、強くなったね」
優ちゃんは静かに頷く。
「俺の弟だ」
ルイは腕を組む。
「もう影じゃない」
◇
決算日。
取締役会。
緊張。
財務責任者が数字を発表。
「営業利益、前年比+6.8%」
一瞬、誰も動かない。
黒字転換達成。
期限内クリア。
会議室に拍手が広がる。
かつて解任を求めた幹部も、立ち上がる。
「……お見事です、社長」
雅は深く一礼。
「これは全員の成果です」
王冠は、もう揺れない。
◇
夜。
パリのセーヌ川沿い。
雅は一人、風に当たる。
スマホに着信。
優ちゃん。
「やったな」
「まだ通過点」
短い会話。
だが互いの声は誇らしい。
◇
その頃――
ニューヨーク。
ルイの元に再びあのメール。
差出人:旧Lumière幹部。
添付ファイル。
SweetS内部資料流出の証拠。
裏切り者の名前が、そこにあった。
しかも――
本社幹部クラス。
ルイの表情が変わる。
「敵は、まだ中にいる」
◇
ラスト。
雅、正式に信任確定。
SweetS Europe、完全再建成功。
小春、母としての生活スタート。
だが。
内部スパイ問題が浮上。
世界企業の頂点に立つ者たちの、次の試練。




