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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第13話 『世界が止まる日』

ニューヨーク、深夜2時。

静まり返った街。

小春は突然、強い違和感に目を覚ました。

――温かい感触。

シーツが濡れている。

「……優ちゃん」

声が震える。

優ちゃんは一瞬で飛び起きる。

状況を理解。

「来たか」

予定より三週間早い。

破水。

救急搬送。

車内のサイレン。

優ちゃんは小春の手を握る。

「大丈夫だ」

だがその声も、わずかに震えている。

同時刻、パリ。

雅は資料を読み込んでいた。

三ヶ月勝負、残り二ヶ月。

そこへ着信。

優ちゃん。

一瞬で察する。

「……今?」

「始まった」

短い言葉。

雅は立ち上がる。

「兄貴、そばにいろ」

電話越しの沈黙。

そして小さく。

「ああ」

ニューヨーク病院。

分娩室前。

ルイが到着。

スーツのまま。

息を切らして。

優ちゃんを見る。

言葉はない。

ただ、並ぶ。

かつての夫。

今の夫。

奇妙な構図。

だが目的は一つ。

守る。

分娩室。

痛みと闘う小春。

汗。

涙。

不安。

でも心の中で呟く。

“この子は、世界一幸せにする”

外では、世界市場が動いている。

欧州では買収再編。

パリでは三ヶ月決戦。

だがこの瞬間だけは。

全員の時間が止まる。

数時間後。

産声。

高く、力強い。

優ちゃんの目から涙が溢れる。

ルイは静かに目を閉じる。

看護師が微笑む。

「元気な男の子です」

優ちゃん、崩れるように座り込む。

「……ありがとう」

小春は疲れ切った顔で微笑む。

「パパ、泣きすぎ」

数時間後。

個室。

赤ん坊を抱く小春。

優ちゃんの腕も震えている。

ルイは少し離れて見守る。

小春が言う。

「抱いて」

一瞬戸惑うルイ。

だがそっと受け取る。

小さな命。

軽いのに、重い。

「……すげぇな」

ぽつり。

名前発表。

《神宮寺 つばさ

羽ばたく。

Butterfly。

未来。

優ちゃんが笑う。

「世界、飛ぶぞ」

小春が頷く。

「でもまずは、歩くところから」

パリ。

雅がニュースを見る。

甥の誕生。

小さく笑う。

「負けてられないな」

画面には売上速報。

欧州限定Butterflyライン、爆発的ヒット。

三ヶ月勝負、光が見え始める。

ラスト。

ニューヨークの朝日。

小春は眠る翼を見つめる。

世界企業のトップ。

でも今は、母。

優ちゃんは隣で静かに言う。

「守るものが増えた」

ルイは窓の外を見つめる。

「戦いも増える」

だがもう、怖くない。

命が生まれた日。

世界が、少しだけ優しくなった。

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