第12話 『王冠の重さ』
パリ――
SweetS Europe 本社
就任から一ヶ月。
神宮寺 雅の改革は、想像以上に速かった。
・不採算17店舗の統廃合
・欧州限定Butterflyラボ設立
・若手抜擢制度スタート
売上は微増。
だが――
古参幹部の不満は爆発寸前だった。
◇
臨時取締役会。
一人の幹部が立ち上がる。
「若造の実験で、ブランド価値が揺らいでいる!」
「Lumière時代の高級路線を戻すべきだ!」
空気が険悪になる。
雅は黙って聞く。
やがて、静かに口を開く。
「高級であることと、古いことは違います」
幹部が反論。
「我々は誇りある欧州ブランドだ!」
雅は一歩前へ。
「だから守る」
「でも、守るだけでは沈む」
その時。
別の幹部が資料を投影。
内部署名。
“雅解任要求”
会議室が凍る。
内部クーデター。
◇
ニューヨーク。
優ちゃんに報告が届く。
「動いたか」
ルイが腕を組む。
「潰されるか、跳ね返すか」
小春は静かに言う。
「彼に任せよう」
母のような、でも経営者の目。
◇
パリ。
会議室に戻る雅。
署名書類を見つめる。
震えはない。
「解任動議、受けます」
ざわめき。
「ただし条件があります」
幹部たちが眉をひそめる。
「三ヶ月」
「三ヶ月で黒字転換できなければ、辞任します」
挑戦状。
沈黙の後。
多数決。
承認。
雅のラストチャンス。
◇
夜。
パリの街を歩く雅。
ふと立ち止まる。
ショーウィンドウに映る自分。
「兄貴なら、どうする」
答えはすぐ出る。
“攻める”
◇
翌日、緊急発表。
《SweetS Europe × Butterfly
欧州若手選抜プロジェクト始動》
保守的だったブランドに、若手革命。
さらに――
「Lumière伝統ラインは残す」
古参の誇りも守る。
二本柱体制。
攻めと守りの融合。
◇
ニューヨーク。
ルイが小さく笑う。
「やるな」
優ちゃんは誇らしげ。
「弟だからな」
小春はお腹に手を当てる。
「みんな戦ってるね」
◇
ラスト。
欧州SNSで話題沸騰。
“若き社長、退路を断つ”
だが三ヶ月という時限爆弾。
成功か、退任か。
そしてその夜――
小春に、破水の兆候。
予定より早い。
物語は、命の瞬間へ。




