第9話 『敵対宣言』
ニューヨーク市場、早朝。
ニュース速報が世界を駆け巡る。
《欧州最大手スイーツ企業
“Lumière Holdings”
SweetSへ敵対的買収を正式発表》
株価、急騰。
社内は騒然。
◇
SweetS本社・緊急会議。
ルイが中央に立つ。
スクリーンに表示される買収提案額。
破格。
だが目的は明白。
ブランド吸収。
Butterfly解体。
Memoriesとの分離。
優ちゃんが低く言う。
「狙いは技術とアジア市場だ」
幹部が震える声で言う。
「断れば、株主が賛成に回る可能性が……」
ルイは即答。
「売らない」
短い言葉。
だが重い。
◇
病室。
小春はニュースを見る。
静かな表情。
「来たね」
優ちゃんがそばに座る。
「無理するな」
小春は首を振る。
「これは、逃げられない」
お腹に手を当てる。
「この子に、守れなかった背中は見せたくない」
◇
欧州・パリ本社。
Lumière代表が会見。
「SweetSは素晴らしい」
「だが世界企業としては未熟」
挑発。
市場は揺れる。
◇
その頃。
Butterfly・パリ会場。
雅がニュースを知る。
「買収……?」
若手たちが不安な顔。
雅は深く息を吸う。
「俺たちは作るだけだ」
だが内心、焦り。
もしSweetSが消えたら。
自分の挑戦の場も消える。
◇
ニューヨーク。
ルイが決断する。
「対抗策を打つ」
・自社株買い強化
・Memoriesとの資本連携拡大
・新規大型発表の前倒し
優ちゃんが言う。
「資金は出す」
覚悟の目。
「ただし条件がある」
ルイを見る。
「小春を前線に立たせない」
一瞬の沈黙。
ルイは頷く。
「俺が盾になる」
◇
夜。
小春は一人で考える。
守られるだけの存在?
違う。
彼女は会長。
創業者。
母になる人。
スマホを手に取る。
ルイにメッセージ。
“会見、私がやる”
即座に電話が鳴る。
「ダメだ」
「安静だ」
小春は静かに言う。
「トップが逃げたら、終わる」
その声は強い。
◇
翌日。
世界同時オンライン会見。
壇上に立つのは――
小春。
優ちゃんが隣。
ルイは後方。
小春は穏やかに言う。
「SweetSは売り物ではありません」
記者が質問。
「巨大企業に勝てますか?」
小春は微笑む。
「勝つ必要はありません」
「私たちは、守るだけ」
「味と、夢と、人を」
会場が静まる。
その言葉は、数字より強い。
◇
会見後。
株価は一時下落。
だがSNSで広がる支持。
#SweetSを守れ
トレンド入り。
◇
ラスト。
欧州本社。
Lumière代表が笑う。
「面白い」
「ならば、次の手だ」
画面に映るのは――
SweetS内部資料。
誰かが漏らしている。
裏切り者。
戦いは、外だけじゃない。




