第6話 『兄の影、炎の中で』
SweetS Butterfly
初の公式プロジェクト始動。
テーマは――
“世界巡回ポップアップ in パリ”
若手三名が中心となり、ルイが総監修。
その中に、神宮寺 雅。
◇
初日ミーティング。
ルイが淡々と指示を出す。
「雅、お前はメインデザート担当」
スタッフがざわつく。
合格したばかりの新人がメイン。
雅は驚きつつも頷く。
「はい」
だが――
試作三日目。
ルイが無表情で言う。
「やり直し」
雅の拳が震える。
「どこが悪いんですか」
「全部だ」
空気が凍る。
「味はいい。でも安全圏だ」
「兄貴を超える気あるのか?」
その一言。
雅の目が燃える。
◇
深夜。
一人で厨房に残る雅。
優ちゃんのニュース記事をスマホで見る。
“12兆円企業の若き経営者”
無意識に拳を握る。
「俺は……兄貴の影じゃない」
◇
翌朝。
新作を持ってくる。
テーマ変更。
“未完成”
土台は崩れかけのタルト。
だが中央に、強烈な酸味のベリーソース。
甘さよりも攻め。
一口食べたルイが止まる。
「……ほう」
優ちゃんも試食。
驚きの顔。
「尖りすぎだろ」
雅が言う。
「兄貴みたいな安定感はない」
「でも、俺は俺です」
沈黙。
そしてルイが言う。
「これだ」
Butterflyらしい。
挑戦。
◇
しかし。
パリ出発前夜。
問題発生。
スポンサー企業が突然の契約見直し。
理由――
「身内優遇の噂」
ネット記事が拡散。
“社長の弟が責任者候補”
株価に影響。
優ちゃんが険しい顔。
「俺のせいだ」
雅が俯く。
「辞退します」
その瞬間。
ルイが言う。
「逃げるな」
鋭い声。
「Butterflyは血縁で動かない」
「証明しろ」
優ちゃんも続ける。
「辞めるなら実力不足の時だ」
重い言葉。
雅は歯を食いしばる。
「……やります」
◇
小春は自宅でニュースを見る。
不安な表情。
だが、優ちゃんからメッセージ。
“信じてる”
小春は微笑む。
「家族って、甘くないね」
お腹を撫でる。
◇
ラスト。
パリ行きの飛行機。
窓の外、雲海。
雅は静かに呟く。
「兄貴を超えるんじゃない」
「俺のブランドを作る」
隣でルイが目を閉じたまま言う。
「その気持ち、忘れるな」
Butterfly、初の海外本番。
成功か、炎上か。
そして兄弟の関係は――




