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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第5話 『血より熱いもの』


SweetS Butterfly

世界若手パティシエ大会・最終選考日。

ニューヨーク本社の特設キッチン。

応募総数、3,000名。

その中から、最終選考に残ったのは10名。

審査員は――

責任者・龍星ルイ。

Memories会長・優ちゃん。

そしてオンライン参加の小春。

受付がざわつく。

「え……?」

現れたのは、一人の青年。

黒髪。鋭い目元。

どこか優ちゃんに似ている。

スタッフが名札を確認する。

―― 神宮寺じんぐうじ みやび

優ちゃんの、実の弟。

控室。

優ちゃんは腕を組む。

「聞いてないぞ」

ルイが淡々と返す。

「応募条件は年齢と実力だけだ」

「血縁は関係ない」

優ちゃんは小さく息を吐く。

「……本気か、雅」

競技開始。

テーマは――

「再生」

制限時間90分。

雅は無駄な動きをしない。

静かで、正確。

だが作品は意外だった。

派手さはない。

白いムースケーキ。

中央に、割れ目。

そこから覗く鮮やかな赤。

「壊れた関係でも、修復できる」

プレゼンが始まる。

「兄と、距離があった」

会場が静まる。

優ちゃんの目が揺れる。

「でも、SweetSとMemoriesのニュースを見て思った」

「挑戦し続ける家族に、俺も追いつきたいって」

甘さは控えめ。

だが後味に深いコク。

ルイが一口食べる。

目が変わる。

「……面白い」

技術はトップクラスではない。

だが、伸びしろがある。

そして何より――覚悟。

全員終了。

審査会議。

幹部が言う。

「コネ採用と疑われます」

優ちゃんは即答。

「特別扱いはしない」

「落とすなら、実力で落とせ」

ルイが静かに言う。

「俺は推す」

視線が集まる。

「未完成だが、伸びる」

「Butterflyは完成品を集める場所じゃない」

小春の声がオンライン越しに響く。

「挑戦するブランド」

沈黙の後。

結果発表。

ステージ。

「合格者――三名」

最後に名前が呼ばれる。

「神宮寺 雅」

会場がどよめく。

雅は驚いた顔。

そして、深く一礼。

終了後。

廊下。

優ちゃんと雅、二人きり。

数年ぶりの、まともな会話。

「どうして言わなかった」

優ちゃん。

「兄貴の名前で入りたくなかった」

雅。

一瞬の沈黙。

優ちゃんは微笑む。

「Butterflyは甘くないぞ」

雅は真っ直ぐ見る。

「望むところ」

その様子を遠くから見るルイ。

小さく笑う。

「血より熱いもの、か」

Butterflyに新しい風。

若手天才候補、雅。

兄の影を越えられるのか。

そして――

兄弟の関係は修復できるのか。

ラスト。

小春が自宅でつぶやく。

「面白くなってきたね」

お腹に手を当てながら。

Butterflyは羽ばたき始めた。

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