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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第19話 『12兆の光、揺らぐ本体』

ニューヨーク。

SweetS Memories 本社。

優ちゃんが静かにサインをする。

買収契約書。

相手は――

100年以上の歴史を持つ欧州老舗スイーツブランド。

世界中に固定ファンを持つ“伝統の象徴”。

何度も交渉を重ねた末の合意。

「本当にやったのか……」

幹部が息を呑む。

優ちゃんは短く言う。

「守るための買収だ」

Memoriesは、巨大化ではなく“継承”を武器にした。

大量展開ではなく、

価値あるブランドを丁寧に残す戦略。

記者会見。

《SweetS Memories、歴史的ブランド買収成功》

企業資産評価額――

12兆円突破

市場が沸く。

株価、急騰。

毎月の売上は右肩上がり。

投資家は口を揃える。

「安定感が異常だ」

Memoriesは“堅実で強い”。

派手さはないが、確実。

優ちゃんの手腕が世界で評価される。

一方。

SweetS本社。

急拡大路線。

店舗増設。

物流拡張。

広告費爆増。

数字は伸びている。

だが、利益率が落ち始める。

現場からの報告。

「品質ブレが出ています」

「現地スタッフの離職率上昇」

「在庫ロス増加」

小春はデータを見つめる。

(速すぎる…)

でも止めれば、株価が落ちる。

止まれない。

投資家会議。

「利益率改善を」

「コスト削減を」

小春は冷静に答える。

「品質は落としません」

だが、圧は強い。

株価は微妙に下落し始める。

“成長鈍化”の文字。

夜。

小春は一人、NY本社の厨房に立つ。

大量生産用ライン。

効率重視の設備。

昔の工房とは違う匂い。

(これが、わたしの望んだ形?)

問いが胸に刺さる。

その頃。

Memoriesの新店舗。

小さな街角。

地元客が笑顔でケーキを選ぶ。

優ちゃんはその様子を静かに見守る。

派手な株価よりも、

“日常の幸せ”が増えていることを確認する目。

ニュース速報。

《SweetS 本社、業績下方修正》

株価が揺れる。

対して――

《SweetS Memories、過去最高益更新》

市場は対照的な評価を下す。

“守りの優ちゃん”

“攻めすぎた小春”

メディアは比較する。

ニューヨークの夜。

小春は窓の外を見る。

電話が鳴る。

優ちゃん。

少しの沈黙。

「助けようか?」

静かな声。

同情ではない。

パートナーとしての提案。

小春は目を閉じる。

プライドが、揺れる。

でも。

「……まだ、自分で立て直す」

強い声。

優ちゃんは微笑む。

「分かった」

信頼は壊れていない。

でも距離はある。

ラスト。

Memories――

資産12兆円。安定上昇。

SweetS本社――

拡大の歪みで傾き始める。

そして。

ニューヨークにいる、もう一人。

龍星ルイが、

本社の現状を知る。

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