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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第10話 『甘さは、私が決める』

世界大会・日本予選まで、あと一ヶ月。

メディアは連日煽る。

《元夫婦、運命の再戦》

《因縁の世界切符争奪》

小春の店《Atelier Haru》にも取材依頼が殺到する。

でも。

小春は、静かに違和感を抱いていた。

(これは、私の夢?)

それとも――

誰かとの“決着”のための舞台?

深夜の工房。

一人で仕込みをしながら、ふと手を止める。

優ちゃんがコーヒーを持って入ってくる。

「顔、疲れてるぞ」

「うん……」

小春はぽつりとこぼす。

「わたし、勝ちたいのかな」

優ちゃんはすぐ答えない。

「……勝つことより、大きいこと考えてる顔だな」

図星。

小春は深呼吸する。

「世界一の一皿じゃなくて」

「世界に“残る”ブランドを作りたい」

一瞬の沈黙。

優ちゃんの目が変わる。

翌日。

小春は大会事務局に連絡を入れる。

「辞退、ですか?」

電話口がざわつく。

「はい。正式に」

ニュースは即座に拡散。

《一ヶ原小春、大会辞退の衝撃》

東京。

ルイは記事を見つめる。

拳がわずかに震える。

逃げた?

違う。

彼は知っている。

小春は、逃げない人間だ。

ならば。

“次の一手”がある。

海辺。

小春は優ちゃんと向き合う。

「会社、作ろう」

「……本気か?」

「本気」

目が、迷っていない。

個人店ではなく。

国内だけでもなく。

“世界市場”。

オンライン販売、海外ポップアップ、輸出展開。

ブランド名。

SweetSスイーツ

Sは、Smile

Sは、Story

Sは、Second chance

優ちゃんは、静かに笑う。

「俺をどう使うつもりだ?」

小春は真っ直ぐ言う。

「社長、お願い」

優ちゃんが固まる。

「は?」

「わたしは会長」

さらっと爆弾。

「商品開発とブランドの顔はわたしがやる。でも経営は優ちゃん」

優ちゃんは頭を抱える。

「無茶言うな…」

「できる人しか頼まない」

その一言で、覚悟が決まる。

数ヶ月後。

記者会見。

バックパネルにロゴ。

株式会社 SweetS 設立発表

小春、代表取締役会長。

優ちゃん、代表取締役社長。

会場がどよめく。

「大会辞退は、このためですか?」

小春はマイクを握る。

「はい」

堂々と。

「一皿で世界一になるより」

「世界中の人の日常に届くスイーツを作りたい」

拍手。

「私たちは、日本から海外へ進出します」

第一拠点――シンガポール。

次にパリ。

そしてニューヨーク。

東京。

ルイはテレビ越しに見る。

スーツ姿の小春。

強い目。

もう、追う存在じゃない。

並ぶ存在。

ふっと笑う。

「やるな」

嫉妬もある。

でも、それ以上に誇らしい。

ならば。

自分も止まらない。

夜。

小春と優ちゃん、オフィスの窓から海を見る。

「怖い?」

優ちゃんが聞く。

「うん」

でも。

「わくわくの方が大きい」

手を重ねる。

夫婦じゃない。

共犯者。

人生の共同経営者。

ラスト。

ルイ、日本予選で圧倒的勝利。

小春、海外法人設立準備開始。

優ちゃん、投資家との交渉に奔走。

三人の道は、もう交差しないはずだった。

だが――

世界市場で再びぶつかる可能性。

甘くない“経営戦争”が、始まる。

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