表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/84

第8話 『新しい隣』

海辺の夜。

優ちゃんの告白から、数日。

波の音だけが、やけに大きい。

「俺、ちゃんと好きだからな」

あの言葉が、頭から離れない。

小春は一人、工房でケーキを仕上げている。

ナッペは安定している。

手は震えない。

でも、心は揺れている。

龍星との激しい日々。

世界一の舞台。

離婚届を出したあの日。

全部、遠くなったはずなのに、

完全には消えていない。

(でも)

今、隣にいるのは優ちゃん。

泣いた日も、迷った日も、

ずっと変わらず隣にいた人。

昼休み。

小さなベンチ。

優ちゃんがコーヒーを渡す。

「返事、急がなくていいから」

無理に迫らない。

その優しさが、逆に沁みる。

小春はカップを握りしめる。

「優ちゃん」

声が少し震える。

「わたし、まだ完璧じゃない」

「知ってる」

即答。

「龍星のこと、全部消えてるわけじゃない」

優ちゃんは、少しだけ目を伏せる。

でも逃げない。

「それでもいい」

静かに言う。

「上書きじゃなくていい。横に並べばいい」

奪うんじゃない。

共に進む。

その言葉が、小春の胸をゆっくり温める。

夕方。

小春は決める。

「……一緒に進みたい」

優ちゃんが目を見開く。

「恋人として」

言い切る。

逃げない。

今の自分で選ぶ。

優ちゃんの顔が、ゆっくりほころぶ。

派手じゃない笑顔。

でも、ずっと待っていた人の笑顔。

「ありがとう」

それだけ。

抱きしめる力は、強すぎない。

壊さない温度。

東京。

ルイはニュース記事を見ていた。

《Atelier Haruオーナー、地元カフェ経営者と交際報道》

写真。

並んで歩く小春と優ちゃん。

自然な距離。

作られていない笑顔。

指先が、わずかに震える。

胸が締め付けられる。

でも。

目を閉じる。

(選んだのは、彼女だ)

奪う資格は、もうない。

夜の厨房。

ルイは新作を仕上げる。

甘さ控えめのショコラ。

最後に、ほんの少しだけ蜂蜜を加える。

躊躇する。

入れる。

一口。

……温かい。

痛みは消えない。

でも、味は前より柔らかい。

失ったからこそ、わかる温度。

海辺。

小春と優ちゃん、並んで歩く。

手を繋ぐ。

ぎこちない。

でも、確か。

「怖くない?」

優ちゃんが聞く。

「少しだけ」

正直に答える。

「でも、今は前を向きたい」

波が静かに寄せては返す。

ラスト。

三人、それぞれの夜。

小春は新しい隣で。

優ちゃんはようやく掴んだ手を離さず。

ルイは一人、静かな厨房で火を見つめる。

愛は終わった。

でも人生は続く。

第三章は、再出発の章へ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ