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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第7話 『再会、炎の舞台』

秋。

日本最大級の製菓コンペティション

《ジャパン・パティスリー・フェス》

国内外のトップパティシエが集結する大会。

今年の注目は、二人。

《Lumière》オーナー、龍星ルイ。

《Atelier Haru》オーナー、一ヶ原小春。

元夫婦対決。

メディアは煽る。

《因縁の再戦》

《愛憎バトル》

海辺。

出場通知を見つめる小春。

優ちゃんが隣に座る。

「出るの?」

「出る」

即答。

逃げない。

過去からも、元夫からも。

「怖くない?」

小春は少しだけ考える。

「怖いよ」

でも。

「今のわたしで戦ってみたい」

東京。

ルイもエントリーを決める。

副シェフが戸惑う。

「今、攻める状況じゃ……」

「だからだ」

逃げたら終わる。

崩れた評価を、味で取り戻す。

大会当日。

巨大ホール。

観客席は満席。

二人が同じフロアに立つ。

五年ぶりでもなく、夫婦でもない。

ただ、対戦相手。

視線が交わる。

言葉はない。

でも、火花はある。

テーマ発表。

「Truth(真実)」

ざわめき。

皮肉のようなテーマ。

小春は一瞬、笑う。

(運命、悪趣味)

ルイも無表情だが、目が揺れる。

スタート。

小春の“真実”。

華やかさを排除。

スポンジはあえて少し粗め。

甘さも抑える。

焦げ目を残したキャラメル。

完璧じゃない。

でも、嘘のない味。

“傷も含めて私”

それがテーマ。

ルイの“真実”。

装飾を削ぎ落とす。

白い皿に、黒いショコラ。

中心に、ほんのわずかな塩。

甘さの奥に苦味。

完璧であろうとした自分。

崩れた自分。

両方を閉じ込める。

途中、小春のソースが煮詰まりすぎる。

優ちゃんが観客席から息を飲む。

だが小春は慌てない。

火を止め、水を一滴。

深呼吸。

“焦らない”

以前の自分なら動揺していた。

今は違う。

ルイも小さなミス。

ナイフがわずかにずれる。

完璧主義ならやり直す。

だが、あえてそのまま出す。

“歪みも真実”

完成。

並ぶ二皿。

派手さはない。

でも、空気が変わる。

試食。

審査員の表情が変わる。

小春の皿。

「Raw… but honest.」

未完成のようで、正直。

ルイの皿。

「Controlled… yet vulnerable.」

制御されながら、脆い。

結果発表。

優勝――

一ヶ原小春。

会場がどよめく。

小規模店の勝利。

大手の王者を破る。

小春は深く一礼。

歓声の中、ルイが歩み寄る。

悔しさはある。

だが、笑う。

「強いな」

「そっちも」

短いやり取り。

憎しみはない。

でも距離はある。

会場の外。

優ちゃんが小春を抱きしめる。

「すごい」

その腕の中で、小春は少しだけ安心する。

視線の先に、去っていくルイの背中。

胸が、わずかに痛む。

終わっていない感情。

でも戻らない時間。

東京へ帰る新幹線。

ルイは窓の外を見る。

負けた。

だが、不思議と清々しい。

彼女は、自分の道で強くなった。

「……それでいい」

呟く。

ラスト。

海辺の夜。

小春と優ちゃんが並ぶ。

波の音。

優ちゃんが静かに言う。

「俺、ちゃんと好きだからな」

今度は、はっきり。

逃げ道のない告白。

小春は目を閉じる。

心は揺れている。

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