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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第3話 『ずっと、隣にいた』

海辺のカフェ。

静まり返った空気。

ルイは立ち尽くしたまま。

小春の「終わったんです」という言葉が、まだ響いている。

「今日は帰って」

小春が言う。

声は震えていない。

感情を、完全に閉じている。

ルイは何か言おうとする。

でも言葉が出ない。

優ちゃんが静かに前へ出る。

「彼女、今は無理だよ」

柔らかい声。

でも、はっきりとした拒絶。

ルイは優ちゃんを見る。

初めて、ちゃんと見る。

穏やかそうで、でも目は強い。

「……わかった」

それだけ言って、ルイは去る。

背中は、初めて小さく見えた。

ドアベルが鳴り、静寂が戻る。

小春の膝が崩れる。

優ちゃんが支える。

「無理しなくていい」

その一言で、涙が溢れる。

「わたし……信じてた」

嗚咽。

「全部、乗り越えたと思ってたのに」

優ちゃんは何も否定しない。

ただ背中をさする。

夜。

店を閉めた後。

優ちゃんがコーヒーを淹れる。

小春はテーブルに頬をつけたまま。

「ねぇ」

優ちゃんが静かに言う。

「小春は、まだ好き?」

その質問は、優しいけど鋭い。

小春は答えられない。

好き。

嫌い。

裏切られた。

でも――

五年分の愛は、簡単に消えない。

「わからない」

それが本音。

優ちゃんは窓の外の海を見る。

ずっと、見てきた。

小春が泣く日も、笑う日も。

世界一になったニュースを見た日も。

離婚を決意した夜も。

ずっと、隣で。

「俺はさ」

不意に言う。

小春が顔を上げる。

「ずっと好きだったよ」

時間が止まる。

「小学生のときから」

笑う。

照れ隠しじゃない。

本気。

「でも、小春はずっとあの人を見てた」

責めていない。

事実を言っているだけ。

小春の胸がざわつく。

「優ちゃん……」

「今すぐどうこうしろって話じゃない」

視線は優しい。

「ただ、覚えておいて」

「隣にいる人は、俺でもいい」

静かな告白。

奪うような言葉じゃない。

差し出す言葉。

小春の心が揺れる。

龍星との激しい世界。

優ちゃんの穏やかな日常。

どちらも本物。

でも、温度が違う。

一方、東京。

ルイは店の厨房で立ち尽くす。

味が決まらない。

火加減を間違える。

スタッフが戸惑う。

氷の天才と呼ばれた男が、

崩れている。

(取り戻す)

でもどうやって?

謝罪だけでは足りない。

信頼は、言葉で戻らない。

海辺。

小春は一人、オーブンを開ける。

焼き上がったマドレーヌ。

一口。

涙がこぼれる。

「……おいしい」

嘘じゃない。

今の自分の味。

無理していない。

飾っていない。

優ちゃんが微笑む。

「それが小春だよ」

世界一でもなく、誰かの妻でもなく。

ただの、小春。

ラスト。

夜の海。

小春は指輪を握る。

捨てられない。

でも、はめられない。

風が吹く。

第三章。

愛は再生か、再構築か。

それとも、別の人へ移るのか。

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