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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第20話(第2章最終話) 『甘く、熱く、永遠に』

グローバル・スイーツ・サミット決勝。

テーマ――「Origin(原点)」。

観客席は満席。

世界中のメディアが注目する。

日本代表・一ヶ原小春。

フランス代表・龍星ルイ。

五年前の約束が、今ここで結実する。

スタートの合図。

静寂。

包丁の音だけが響く。

小春は目を閉じ、一瞬だけ深呼吸。

(原点)

浮かぶのは、泣いていた少女。

人と話せず、下を向いていた頃。

でも、お菓子を作るときだけは、笑えた。

“スイーツは人の心を救える”

それが、始まりだった。

小春の構成。

土台は素朴なスポンジ。

母が最初に教えてくれたレシピ。

そこに、世界で磨いた技術を重ねる。

焦がしキャラメルの苦味。

柑橘の鮮烈な酸味。

最後に包み込む、柔らかな蜂蜜の温度。

幼い甘さではない。

傷を知った甘さ。

一方、ルイ。

彼の原点は――孤独。

完璧であろうとするほど、誰も近づけなかった。

だが五年前。

“愛は逃げない”

その言葉が、氷を溶かした。

ルイの皿は、極限まで削ぎ落とされた白いデセール。

一見、静寂。

だが中に秘めたのは、温かいガナッシュ。

割った瞬間、中心から溢れる。

抑え込んだ感情の解放。

残り五分。

小春の飴細工が、わずかに傾く。

観客がざわめく。

緊張。

手が震える。

(大丈夫)

五年前の自分なら、崩れていた。

でも今は違う。

静かに、支柱を入れ直す。

立て直す。

再生する。

それが自分の強さ。

完成。

二皿が並ぶ。

会場は息を呑む。

対照的な原点。

小春は、温もり。

ルイは、静寂。

試食。

まずルイ。

審査員が一口。

「Incredible control…」

完璧な構成。

抑制の美学。

次に小春。

ナイフを入れた瞬間、蜂蜜ソースがとろりと流れる。

一口。

沈黙。

長い沈黙。

そして――

「This… feels human.」

人間らしい。

「Not perfect. But alive.」

完璧ではない。だが、生きている。

小春の胸が震える。

結果発表。

スポットライト。

鼓動。

世界が静止する。

「The winner of this year's Summit is――」

時間が引き延ばされる。

隣に立つルイ。

目が合う。

微笑む。

どちらでもいい。

そう思えた瞬間。

「Japan. Ichigahara Koharu.」

歓声が爆発する。

日本代表、優勝。

小春、世界一。

トロフィーを受け取る。

涙が止まらない。

五年前の少女が、心の中で笑っている。

“逃げなかったね”

ルイが歩み寄る。

悔しさはある。

だが、それ以上に誇らしさ。

「強くなったな」

小春は泣き笑いで答える。

「隣、空けててくれました?」

ルイは、小さく笑う。

「ずっと」

観客のざわめきの中。

ルイが、小春の前に立つ。

ポケットから、小さな箱。

会場がざわつく。

小春の呼吸が止まる。

「五年前、隣は空けておくと言った」

箱を開ける。

シンプルなリング。

「今度は、埋めたい」

静寂。

「世界一のパティシエに、お願いだ」

「これからも、隣で戦ってくれ」

涙があふれる。

「はい……!」

歓声が爆発する。

カメラのフラッシュ。

世界の中心で。

夢と恋が、重なる。

数ヶ月後。

日本。

《Lumière》はさらに拡大。

その隣に、新店舗。

共同経営者の名前。

一ヶ原小春。

龍星ルイ。

看板の下で、二人が並ぶ。

甘く、苦く、熱く。

何度でも再生しながら。

夢は終わらない。

恋も終わらない。

スイーツでつながる絆は、

永遠に熟成し続ける。

――第2章 完。

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