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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第19話 『五年越しの約束』

五年後――日本。

かつての少女は、もういない。

一ヶ原小春、二十二歳。

彼女は今、日本初の“体験型パティスリー”

《Lumièreルミエール》のオーナーシェフ。

店内はいつも満席。

ガラス越しに見える厨房。

子どもも大人も、目を輝かせる空間。

小春のコンセプトは一つ。

“スイーツは、心を救う光になる”

世界で学んだ技術。

挫折。孤独。遠距離。

全部、味に溶かしてきた。

一方、パリ。

龍星ルイ、二十三歳。

世界三つ星レストランの若きエグゼクティブ・パティシエ。

メディアは彼をこう呼ぶ。

「氷の天才」

無駄のない構成。

完璧な温度管理。

感情を制御した芸術。

でも。

厨房の奥で、彼は時折、スマホを見る。

日本との時差。

短いメッセージ履歴。

『今日、子どもが泣き止みました』

『新作、失敗しました』

『でも、また作ります』

小春の言葉は、変わらない。

そして今。

日本で開催される新設大会――

“グローバル・スイーツ・サミット”

世界各国のトップが集う舞台。

フランス代表に選ばれたのは――

龍星ルイ。

日本代表は――

一ヶ原小春。

五年前、空港で交わした約束。

「同じ舞台で、また勝負しましょう」

ついに、その日が来た。

大会前日。

東京のホテルラウンジ。

五年ぶりに、真正面で向き合う二人。

沈黙。

視線。

時間が巻き戻る感覚。

「……久しぶり」

小春が言う。

「五年だ」

ルイは短く答える。

距離はある。

でも、懐かしさよりも先に来たのは――

緊張。

今の二人は、ただの恋人ではない。

世界の代表。

背負うものが違う。

「店、すごいらしいな」

「噂です」

小春は笑う。

「そっちは?」

「寝る暇はない」

らしい答え。

でも目の奥に、疲れと誇りが混ざっている。

テーマ発表。

「Origin(原点)」

原点。

どこから始まったか。

なぜ作るのか。

五年の集大成。

小春の胸に浮かぶのは、

泣いていた自分。

支えてくれた母。

隣にいた人。

そして、あの日の決勝。

“愛は温度”

あれが、始まりだった。

ルイもまた、静かに目を閉じる。

氷の天才と呼ばれながら、

彼が削り落とさなかったもの。

それは、

一人の少女の言葉。

「愛は逃げない」

五年経っても、消えていない。

夜。

大会前の最後の時間。

小春が言う。

「明日、勝ちます」

ルイが即答する。

「俺もだ」

視線がぶつかる。

火花。

でもその奥にあるのは、

信頼。

小春が一歩近づく。

「でも」

「うん」

「勝っても、負けても」

一瞬、呼吸が揺れる。

「わたしは、隣にいたいです」

五年前と同じ言葉。

でも今は、少女ではない。

覚悟を持った女性の声。

ルイは静かに言う。

「五年前より、強くなったな」

「負けません」

「望むところだ」

翌日。

巨大ホール。

観客数万人。

世界が見守る舞台。

日本代表・一ヶ原小春。

フランス代表・龍星ルイ。

スポットライトが当たる。

視線が交わる。

笑う。

甘くて、苦くて、熱い。

恋も、夢も、熟成された。

五年越しの約束。

決着の時。

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