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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第18話 『それぞれの未来図』

パリ個人戦から一週間後。

ルイのもとに届いた一通のオファー。

差出人は、世界最高峰の三つ星レストラン。

内容は――

正式スカウト。

副シェフ候補としての長期契約。

滞在期間、最低五年。

事実上の、世界定住。

同じ頃、小春にも連絡が入る。

イタリアの師匠から。

「日本に戻るなら、支店の立ち上げを任せたい」

日本初進出。

若手責任者。

帰国前提。

二人の未来は、真逆の方向を向いていた。

夜。

セーヌ川沿い。

何度目かのこの場所。

ルイが先に口を開く。

「俺は、残る」

迷いはない。

ずっと追い続けた場所。

世界の中心。

技術も、評価も、全てがここにある。

小春は、静かに頷く。

「そう思ってました」

笑う。

でも指先は、冷たい。

「小春は」

「わたしは、帰ります」

風が止まる。

「日本で、勝ちたいんです」

世界で学んだことを、持ち帰る。

“救える味”を、もっと広げたい。

ルイは黙る。

わかっていた。

小春は、自分の軸を持っている。

沈黙が重い。

「遠距離だな」

ルイが言う。

「はい」

軽く言うつもりだったのに、声が震える。

五年。

長い。

今までの一年とは、重さが違う。

「別れるか?」

突然の言葉。

小春の胸が、凍る。

試すような声じゃない。

現実を見る声。

世界は甘くない。

恋は、保証されない。

小春は一歩、前に出る。

「嫌です」

即答。

震えているのに、目は強い。

「世界一になっても、離れても」

「好きは、消えません」

言った。

はっきり。

初めて、明確に。

ルイの呼吸が止まる。

長い沈黙のあと。

ルイが近づく。

「俺は、不器用だ」

「知ってます」

「連絡も少ない」

「知ってます」

「優しくない」

「……たまに優しいです」

一瞬、笑いがこぼれる。

緊張が、少しだけほどける。

そしてルイは言う。

「それでもいいなら」

「隣は、空けておく」

約束ではない。

未来の保証でもない。

でも、嘘のない言葉。

小春は涙を拭く。

「空けててください」

数日後。

空港。

今度は逆方向。

ルイはパリへ残り、

小春は日本へ。

搭乗前。

小春が振り向く。

「五年後」

「うん」

「同じ舞台で、また勝負しましょう」

ルイの目が光る。

「負けない」

それが二人らしい。

恋人であり、ライバル。

飛行機が飛び立つ。

日本へ。

小春は窓の外を見る。

不安はある。

寂しさもある。

でも。

(逃げない)

甘さだけじゃない未来へ。

ラストカット。

五年後――

日本。

巨大ホール。

新設された国際大会。

看板に並ぶ二つの名前。

日本代表

一ヶ原小春。

フランス代表

龍星ルイ。

再び、世界の中心で。

視線が交わる。

成長した二人。

温度は、変わらない。

恋も、夢も、

まだ続いている。

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