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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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17/84

第15話 『世界一の味』

パリ国際製菓コンクール――決勝。

会場は満席。

スポットライトが、二組だけを照らす。

日本代表

ルイ・一ヶ原小春。

フランス代表

レオ・マルタン。

ここで勝った者が、世界一。

最終テーマ発表。

会場が静まり返る。

スクリーンに映し出された言葉。

「Theme: Love.」

――愛。

小春の心臓が跳ねる。

ルイも、わずかに目を見開く。

愛。

甘くも、苦くもなる感情。

逃げ場のないテーマ。

レオは迷わない。

「Je sais déjà.(もう決めてる)」

自信に満ちた笑み。

彼の“愛”は、情熱的で、強く、燃える赤。

一方、日本。

沈黙。

「どうする」

ルイが問う。

小春の胸に浮かぶのは、

支えてくれた母。

仲間。

そして――

隣にいる人。

「……温度」

思わず出た言葉。

「愛って、温度だと思うんです」

ルイが視線を向ける。

「熱すぎても壊れる。冷たすぎても届かない」

「ちょうどいい温度が、心に残る」

ルイは、ゆっくり頷く。

「いける」

日本の構成。

外側は薄いホワイトチョコレート。

中に、ビターチョコの層。

その中心に、温かいミルクソース。

割った瞬間、とろりと溢れる。

“伝える勇気”を表現する設計。

レオは対照的。

濃厚なダークチョコ。

燃えるようなベリーソース。

情熱と衝動の愛。

会場の空気は、完全にフランス優勢。

残り二十分。

日本側、最後の仕上げ。

小春の手が震える。

(愛……)

自分の本当の気持ちが、重なる。

この舞台が終わったら。

もし負けたら。

もし勝ったら。

ルイが静かに言う。

「震えるな」

「……はい」

「愛は逃げない」

その言葉が、胸に刺さる。

(逃げない)

小春は、覚悟を決める。

完成。

二つの皿が並ぶ。

レオの皿は圧倒的。

芸術。爆発的な存在感。

日本の皿は、静かで、柔らかい。

でも中心には、確かな熱。

試食。

審査員がレオの皿を口に運ぶ。

歓声。

「Passionate. Powerful.」

続いて、日本。

ナイフが入り、中心が割れる。

温かいソースが溢れる。

会場が静まる。

一口。

沈黙。

長い、長い沈黙。

やがて審査員長が言う。

「This… is gentle.」

優しい。

「Not loud. But unforgettable.」

派手ではない。でも、忘れられない。

小春の目に涙が浮かぶ。

結果発表。

スポットライト。

鼓動。

世界が、止まる。

「The winner of this year’s Grand Prix is――」

時間が引き延ばされる。

ルイの手が、わずかに小春の袖に触れる。

「Japan.」

世界が爆発する。

歓声。

拍手。

涙。

小春の視界が滲む。

「……勝った?」

ルイが、はっきり言う。

「ああ。世界一だ」

トロフィーが手渡される。

日本代表、優勝。

レオが歩み寄る。

微笑み。

悔しさはある。

でも、清々しい。

「Your love… was stronger.」

ルイが頷く。

「ありがとう」

レオは小春を見る。

「He changed because of you.」

小春は、何も言えない。

表彰式後。

バルコニー。

夜のパリ。

エッフェル塔が輝く。

小春は、深呼吸する。

「ルイくん」

声が震える。

でも、逃げない。

「わたし……」

ルイが振り向く。

「ずっと、隣にいたいです」

告白じゃない。

でも、それ以上。

「パティシエとしても。人としても」

鼓動がうるさい。

沈黙。

夜風。

そして――

ルイが一歩近づく。

「俺もだ」

短い言葉。

でも、まっすぐ。

「世界一になっても、隣は空けとく」

小春の涙が、こぼれる。

甘くて、苦い。

でも、あたたかい。

夢は叶った。

でも物語は、終わらない。

世界一から始まる、新しい挑戦。

恋も、夢も、まだ成長途中。

スイーツでつながる絆と、

溶けてもまた固まる想い。

二人の物語は、これからも続いていく。

――完?

それとも、

“世界一のその先”へ行く?

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