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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第14話 『本場の誇り』

世界大会・準決勝。

対戦カードは――

日本代表

VS

フランス代表レオ・マルタン

会場の空気が変わる。

完全アウェー。

観客の多くはフランスを応援している。

小春の喉が、わずかに渇く。

(これが……本場)

テーマ発表。

「Theme: Emotion in 3 Textures(3つの食感で感情を表現せよ)」

食感で“感情”。

しかも三層構造。

高度な構成力が必要。

レオは迷わない。

「Passion.」

情熱。

フランスらしい、強く燃える感情。

ルイは小春を見る。

「何にする」

小春は、即答できなかった。

嬉しさ?

悔しさ?

愛?

その時、胸に浮かぶのは――

“恋”。

でも、それを口にする勇気はない。

「……希望」

やっと出た言葉。

ルイがわずかに目を細める。

「理由は」

「壊れても、また立てるから」

震えない声。

ルイは、静かに頷く。

「いい」

スタート。

日本の構成は、

下層:サクサクの米粉クランブル(現実)

中層:とろけるミルクムース(迷い)

上層:軽い柚子メレンゲ(希望)

対してレオは、

パリッとしたチョコ

濃厚ガナッシュ

熱いラズベリーソース

情熱を爆発させる設計。

観客の視線は、明らかにレオへ。

歓声が上がるたび、小春の心が揺れる。

(勝てるの……?)

残り四十分。

トラブル発生。

日本側のメレンゲが、湿気で少し沈む。

高さが出ない。

「……まずい」

小春の顔が青ざめる。

ルイが即座に判断。

「焼き直す時間はない」

残り三十五分。

選択肢は一つ。

「形、変える」

「え?」

「高さを捨てる」

立体的な“希望”から、

横に広がる“光”へ。

予定外。

リスク。

でも、今できる最善。

小春は一瞬迷い――

頷く。

「やりましょう」

ルイが支えるように器を固定する。

二人の距離が、近い。

呼吸が重なる。

「大丈夫だ」

低い声。

小春は、はっとする。

「何があっても、立て直せる」

その言葉に、心が落ち着く。

(隣にいる)

それだけで、怖くない。

完成。

日本の皿は、繊細で、柔らかい。

派手さはない。

でも、三つの食感が優しく重なる。

レオの皿は圧巻。

観客がどよめく。

炎のような盛り付け。

芸術。

力。

自信。

試食。

フランス側は大歓声。

審査員も興奮気味。

日本の皿は、静かに評価される。

沈黙が長い。

小春の手が冷える。

その時、ある女性審査員が言う。

「This… feels honest.」

正直。

「It’s not loud. But it stays.」

派手じゃない。でも、残る。

小春の目が潤む。

結果発表。

「Finalist――」

一校目。

「France.」

歓声。

当然。

二校目。

静寂。

小春の鼓動が爆音のように響く。

「Japan.」

世界が、弾ける。

通った。

決勝進出。

ルイが静かに息を吐く。

レオが歩み寄る。

笑っている。

「You changed the shape.」

「Good choice.」

認められた。

対等な目。

「Final. No mercy.」

「望むところだ」

ルイが答える。

会場を出た後。

夜のパリ。

セーヌ川の風。

小春は、立ち止まる。

「ルイくん」

「なんだ」

「わたし……」

言いかけて、飲み込む。

今は違う。

まだ言わない。

「明日、絶対勝ちましょう」

ルイは、少し笑う。

「ああ」

その横顔が、近い。

世界の舞台。

あと一歩で、頂点。

でも――

決勝のテーマは、まだ知らない。

そしてレオは、本気をまだ全部出していない。

甘くない最終決戦。

夢も、恋も、すべてを懸けて。

世界一の舞台へ。

――つづく

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