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スイーツアカデミー恋愛物語~世界へ駆けろ!目指すは、世界一!  作者: 優貴(Yukky)


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第12話 『世界の扉』

全国大会優勝から一週間。

《スイーツアカデミー》の校門には、横断幕が掲げられていた。

――祝・全国制覇。

校内はお祭り騒ぎ。

でも、小春の胸の奥は静かだった。

(世界……)

それは夢の言葉だったはずなのに、

今は“現実”として目の前にある。

龍星先生が二人を呼び出す。

「正式に決まった」

差し出された書類。

世界大会の招待状。

開催地――フランス・パリ。

会場は、歴史ある国際コンクール。

世界各国の若きパティシエが集う舞台。

龍星先生の目は真剣だ。

「ここからは、技術だけじゃ勝てない」

「文化、感性、哲学」

「全部が問われる」

ルイが静かに頷く。

小春は、書類を握りしめる。

震えているのは、怖さか、興奮か。

数日後。

出発前の壮行会。

その場に、意外な人物が現れる。

「久しぶりだな」

振り向いた先。

神崎。

「俺も行く」

会場がざわつく。

「別枠推薦。フランス校代表としてな」

余裕の笑み。

「決着は、世界で」

ルイの目が燃える。

「望むところだ」

夜。

屋上。

小春は一人、風に当たっていた。

街の灯りが遠くに揺れる。

「考え事か」

振り向くと、ルイ。

「ちょっとだけ」

小春は笑う。

「世界って、遠いですね」

「もう目の前だ」

「そうなんですけど……」

言葉が詰まる。

怖い。

自分が通用しなかったらどうしよう。

ルイの足を引っ張ったら。

その時。

「一ヶ原」

真剣な声。

「お前がいなきゃ、俺はここにいない」

小春の心臓が止まりそうになる。

「壊れてもいいって、教えたのはお前だ」

「原点を思い出させたのも」

夜風が、静かに吹く。

「だから、隣にいろ」

まっすぐな視線。

胸が、ぎゅっとなる。

(わたし……)

もう誤魔化せない。

これは尊敬じゃない。

憧れでもない。

「……はい」

小さな返事。

でも精一杯の想い。

出発当日。

空港。

仲間たちが見送りに来ている。

ルナが腕を組んで立つ。

「絶対優勝してこい」

強気な声。

でも目は、優しい。

「次はうちも行くから」

小春は笑う。

「待ってます」

飛行機が離陸する。

雲の上。

小春は窓の外を見つめる。

ルイが隣で静かに言う。

「世界は甘くない」

「はい」

「でも」

一瞬、間。

「甘くしてやる」

小春は吹き出しそうになる。

でもその横顔は、本気だった。

パリ到着。

石畳の街。

甘いバターの香り。

そして、会場前。

各国の旗が並ぶ。

その中に、日本の旗。

小春は深呼吸する。

「ここが……世界」

その時、背後から英語が飛ぶ。

「So, you are the Japanese champions?」

振り向く。

金髪の青年。

鋭い青い目。

「I’m Leo Martin. France representative.」

世界王者候補。

その名は、レオ・マルタン。

彼は微笑む。

「Welcome to the real stage.」

本物の舞台へようこそ。

ルイが一歩前に出る。

「負けない」

英語で短く。

レオは笑う。

「Good. I hate boring battles.」

世界は広い。

甘さも、苦味も、桁違い。

でも――

小春は隣を見る。

怖いけど、逃げない。

恋も、夢も、

全部抱えて。

世界一への物語が、今、本当に始まる。

――つづく

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