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夢の住人~夢の世界で未来を選べるスキルを得た俺は、選択ひとつで死ぬバトロワに挑む~  作者: 阿行空


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「反撃と撃破」

「うぁぁぁぁああ死んどけこのジャンクがぁぁッ!!!」


凄まじい怒声を上げながら、ゆいが廃材を蹴散らして戦場に飛び込んできた。


髪は乱れ、目は据わり、口元 には明らかに怒気を含んだ笑み。 その手には、どこからか引き抜いた巨大なスパナが握られていた。


全長1.5 メートルを超えるその工具は本来、人の手では扱いにくい代物だ。


だが、ゆいはそれを軽々と振りかぶり、 まるで大太刀のように振り下ろす。 風を切る音とともにスパナが唸りを上げ、鋭角に構えたまま機械兵の側頭部へと振り抜かれた。


ガァンッ!! 金属がぶつかる耳障りな衝突音。


火花が一瞬にして弾け、周囲に鉄粉と煙が散る。 衝撃に耐えた機械兵はわずかに体勢を崩したが、即座に反応して反撃に転じようとする。


だがゆいは既に二 撃目、三撃目を叩き込む。


「こんの……クソ鉄屑があああ!!!」。


ガキィン! 再び金属の反発音。


ゆいはスパナが弾かれるのを確認するとすぐに後退、体勢を立て直しながらケイの方向を一瞥した。


「今のうちに立て直せよッ!!」


ケイはその隙に、血まみれの腹部を押さえながら、足元に散らばる鉄くずと瓦礫を見下ろした。


衝撃で倒れ た棚の下には、壊れた工具や武器の残骸が混じっていた。


「……何か、仕掛けに使えそうなものは……」


ゆいが機体と拮抗している間、ケイは床を這いながら素早く物資を確認する。 手にしたのは、頑丈な鋼パイプの芯、折れ曲がったバール、部品箱に埋もれた小型の金属板。さらに、棚の 奥に転がっていた年季の入った業務用消火器が目に留まる。


「これ…粉末式か? 使える……!」


ケイは消火器の構造を即座に確認し、配線と乾電池セルを拾って、即席の導火装置を組み上げた。


金属板と スパークワイヤを組み合わせ、一定時間で起動する簡易スモーク爆弾として仕立て上げる。


「よし、いけるはず……」


ケイは時限装置つきの消火器を思いっきり転がした 数秒後、乾いた破裂音とともに、白煙が激しく噴出。


濃密な煙が一気に周囲を覆い、視界が曇る。機械兵のセンサーが赤く点滅し、奴は俺たちを見失った。


ゆいは後ろに跳び退き、拓真のそばへと駆け寄った。


「おい、拓真」


「えっ!? なんですか!?」


「お前、切るぞ」


「えっ……いや、な、なんでですか!? 嫌です!!」


「うっせ。こっちはもうギリギリなんだよ! このまま共倒れがいいってのか!」



拓真は顔面蒼白で後ずさるが、ゆいは容赦なくノコギリを突きつける。


「やめ――わあああああああっっ!!」


拓真の悲鳴が廃墟に響いた。


「……あー、やっぱこれだわ。やっと戻ってきた」


ゆいの瞳に明確な光が戻る。


「ありがとう、たっくん♡」


「ぜ、ぜんぜんうれしくないです……っ」


ケイはそのやりとりを見ながら、心の中で呟いた。


(……あいつ、だいぶヤバいな)


だが今は、その狂気すら戦力だ。


ゆいは再び両手にカッターを構え、正面から機械兵に向き直った。


「ケイ、弱点、見えたんでしょ!」


「……ああ。サブ基板、関節内に隠されてる。予測行動の中枢だ。まずそれを潰す!」


煙幕が少し晴れ、機械兵は俺を補足した 奴が攻撃態勢に入る。


ゆいは残った煙幕で奴の死角へ一瞬で回り込みカッターを高く掲げ、片方をまるで投槍のように投げつけた。



空気を切り 裂く音。


カッターの一撃は正確に機械兵の脚部関節へと突き刺さり、内部のサブ基板を粉砕した。


「命中……センサー鈍った!」 ケイが叫ぶ。


機械兵はその場で一瞬動きを止め、足取りが鈍る。


そこへ― 「もうひとつ!」 ゆいが疾走する。


残ったカッターを逆手に構え、足場の悪い瓦礫を踏みしめながら加速する。 カッターの刃 は、先ほどよりもわずかに光を帯びていた。


精神力が戻った今、その一撃には圧倒的な集中が宿っていた。 跳躍――その瞬間、ゆいの動きは一瞬空中で静止したように見えた。


空中で身体をひねり、両脚を折りたたみ、刃先を真っすぐに敵の胸部へと向ける。 ケイが指し示した、胸部パネルの奥、関節を利用して巧妙に隠されたメイン基板。


そこに向けて、完璧な軌 道で刃が振るわれた。


ズバアァァンッ!!! 金属が裂ける鋭音。


内部機構を貫通する確かな感触とともに、機械兵の赤いセンサーが一斉に点滅。


「……決まったか?」 着地と同時にゆいが振り返る。


着地の衝撃に瓦礫が崩れ、粉塵が舞う中、彼女は肩で息をしていた。 直後、機械兵の脚部がゆっくりと折れ、巨大な胴体が軋みながら地面に沈む。


ギギ……ギ……ン、グ……ッ……ガシャァンッ!!


最後の駆動音を残し、機体は完全に沈黙。


ゆいの肩がわずかに震えていたが、その顔には達成感がにじんでいた。


ケイは小さく息をつきながらも笑み を浮かべていた。


拓真はその場で両腕を高く突き上げ、「やったああああああ!!!」と大声で叫びながら飛び跳ねていた。


涙目で鼻をすすりながら、その場にへたり込み、肩を揺らして嗚咽まじりに笑い出す。


「う、うれしいで す……ほんとに、ほんとに助かったぁぁ……」 


三人の視線が沈黙の中で交わり、少しずつ、確かに勝利を実感し始めていた







お知らせとお願い




毎日 昼12時と夜の20時の2話更新です。




続きが気になったらブックマークで追ってください。


感想・誤字報告も励みになります。




週1で『夢の住人 外伝』(短編)も投稿(毎週月曜)。

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