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「そっち関係はよくわからないが、とりあえずここに聖樹が存在しているってのは祝い事だ。ありがとな」
「はい。それで、そのここで私のお店を開いてもいいでしょうか。できれば今いる場所でやりたいんですけど」
「ああ。元々そのためにここに来たんだっけか。ああ。許そう」
「ありがとうございます」
「ボスッ!」
「聖樹の場所に店があることが不満か?気持ちは分かるが、このお嬢ちゃんがいたから、神様は聖樹を生やしてくれたんだろ?じゃあ、仕方ないだろう。無理やりお嬢ちゃんをどかして、聖樹に何かあっても困る」
ギルド長以外のメンバーは、私があの場所にいることも店を構えることも納得していない様子だ。ギルド長が許可してくれたから、この場では黙っているけど、もしかしたら後で何か言われるかもしれないな。
「じゃあ、私があそこでお店をやること。気に食わないから妨害行為とか無理やり引っ越しさせるような真似をしないことって誓約書に書いてもらえますか?」
「おい!調子に乗るんじゃ……」
「いい、いい。お嬢ちゃんも色々苦労したんだな。誓約書くらい書くよ。それから他のメンバーにも伝えとくさ」
「話が早くて助かります」
良かった。これでごねられたりしたらどうしようかと思った。
「聖樹を生やしてくれたんだ。お嬢ちゃんには頭が上がらないさ」
「そういえば、ここ聖樹がないってことは聖女様の祈祷を受けているんですか?」
「そうだ。いやぁ。あの聖女様のご機嫌取りにはなかなか苦労してねぇ。毎回上から目線で、教会からの要求はすごかったから、その費用が浮くと思えば、全然軽い軽い。なあ?」
「……ゥスッ」
聖女様には会ったことないけど、すごい人っていうのは、知ってる。教会に属していて、世界中の国を回って結界を張って、瘴気や魔物が来ないようにしているすごい人たちだ。
聖樹が生えている国は、世界でも少ないので、聖樹が生えていない国は、教会や聖女たちが代わりに結界を張っている。だから、世界でも教会に逆らえる国は、数少ない。
代わりがない仕事だから、聖女のお給料は凄まじいと聞いているけど、どれくらいなんだろうな。という下世話な興味がわく。
「というわけで、お嬢ちゃんには本当に感謝してるよ。じゃあこれ誓約書」
「あ。前もって用意されていたんですか」
あっさりと誓約書を渡される。ハンコも押されているし、きちんとしたものだ。前もって用意していたらしい。
「まぁこういう商売だからな。一応、用意していたんだが、これで満足かい?」
「はい。ありがとうございます。では、また用件があれば言ってください」
「あいよ」
そう言って、私たちはギルド本部を後にした。
これから忙しくなるぞ。店を始める準備をしなくちゃいけないんだから。
こんな早くにお店を開けられるとは思わなくて、なんだかドキドキしてきた。
この国で、上手くいけばいいんだけど。




