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「へぇ。じゃあ、お酒買っておかないとね」
「神棚用か?じゃあ俺の分も買ってくれよ!」
「えぇ…」
「俺は、焼酎が好きだ。米がいい!米!」
「あるかなぁ…」
私は、出店が立ち並ぶ通りを歩いていく。
「酒の匂いがする!」
「…くぅん」
ポン助の耳が、垂れている。
どうやらポン助にとっては、あまり近づきたくない場所のようだ。
「ポン助。先に家、帰ってる?」
「きゅーん」
ポン助は、やだやだというように頭を振り、頭を擦り付けてくる。
一人で帰るのは、嫌らしい。
少しばかり歩いていると、明らかに酔っぱらいの姿が増えてきた。
道で、寝ている人の姿もまた増えてきている。
そんなところで、寝ていて財布とか盗まれたりしないんだろうか…。
と、心配になるが、見て見ぬふりだ。
お酒の出店が立ち並んでおり、様々なお酒が売っている。
「お嬢ちゃん。飲んでくかい?」
「俺飲みたい!俺飲みたい!」
「坊主には、まだ早いなぁー。あと15年したらな!」
「うぅー!!!」
アスランが、地団駄を踏んでいる。
よっぽどお酒が飲みたいらしい。
「大人の姿だったら、いいんだろ!」
「え、ああ、まぁな」
「じゃあ、ちょっと待ってろ!」
「…アスラン。どこ行くの?」
「大人の姿になる。でも、ここで体を変化させたら、騒がれるだろ」
「大人の姿?」
そんなポンポン姿を変えられるもんなのだろうか。
神様だから?
「この姿は、省エネモードなんだよ」
「しょう…えね?」
知らない単語だ。
神様用語だろうか。
「あんまり力入れなくていいから、楽なんだよ。それに俺が大人になると、あんまりにも美形なもんだから、女子が騒いでしかたない…」
「ははは」
「…お前。俺が冗談言ってると思ってるな」
「だって、…アスランが、女子に騒がれるとか…ははは、ないない」
「見てろよ」
そう言って、アスランは物陰に隠れて、ごそごそとし始めた。
待つこと、少し。
私は、ポン助と一緒に座ってぼんやりアスランを待っていた。
「お?お嬢ちゃん。そんなところで、なにやってんだ」
「ぎゃあ!」
「きゅん」
突然、後ろから誰かに抱き着かれて、驚きと若干の恐怖のあまり、体が固まってしまう。
めちゃくちゃお酒臭い!
私が、固まっているのをいいことに、抱き着いてきた男は、私の胸を容赦なく、わし掴むと、そのまま揉んできた。
「ひっ」
「があああうう!!!」
「いってぇええええ!!!」
「ぅぐっ!」
ポン助が、思い切り男の手にかみついた。
男は、あまりの痛みに悲鳴を上げて、私を突き飛ばし、私は思い切り転んでしまった。
「てめえ!このくそ犬!!!」
「がるるるるる!!!」
「ぎゃああああ!!!」
男が、ポン助を蹴り飛ばそうとするものの、男は酔っぱらっているせいで、ふらふらと体を揺らしている。
ポン助は、男の足を俊敏にかわし、代わりに男の靴に思い切り噛り付いている。
またもやポン助の牙が、食い込み、男は、悲鳴を上げている。




