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「お父さん。おじいちゃん」
墓石を見つめていると、朝の裁判や恋人の言葉を思い出し、悲しみや悔しさがこみあげてきて、思わず泣いてしまった。
「うっ…」
ぼたぼたと、涙があふれて止まらない。
あんな人たちに、私は負けてしまったのが、悔しい。自分の力不足が悔しい。今まで、おじいちゃんやお父さんのお守りを買ってくれた人たちは、喜んでくれていたのに。私のお守りは、力不足だったことが、悔しい。
悔しい。悔しい。苦しい。
「う、…ごめんね。お店もしかしたら、続けられないかもしれない」
少なくともこの国では、もうやっていけないだろう。
隣の国にでも行こうか。
もしくは、教会がある帝国にでも行った方がいいのかもしれない。
しかし、帝国は遠い。
港まで行かないといけないし、そこに行くまでに魔物を倒さないといけない。
まずは、ギルドに行って冒険者の人たちを用心棒に雇って…。
そうやって、考えているうちに思考が切り替わっていく。
さっきまでの悔し涙は、どこへやら。
今では、すっかりお金の心配とこれから先、どうしようか、と考えしかなかった。
元々、切り替わりが早いのだ。
長所でもあり、短所でもある。
「お金足りるかなぁ…」
冒険者は、ランクが上になればなるほど、料金も高くなる。
ただでさえ、冒険者は、雇うとなると、割高なのに。
魔物との戦いなどで、命がかかっているので、仕方がないのだが。
「仕方ない。これも必要経費よね」
生まれ育った国を出るのは、少し怖い。
まぁ、なんとかなるだろう。
「うん。お父さん。おじいちゃん。見守っててね。私、きちんとやってみせるから」
くよくよ悩んで、苦しんでもなにも変わらない。
まだまだ私は、元気なようだ。
よかった。
これで、また前を見て歩ける。




