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3、霧雨

「そいじゃまあ出席を取るぞー」


東野真知子教諭は30代の女性である。

何というかガサツでいつも婚約者に逃げられるそうだ。

そんな事を言ったら殺されるので言わないが。

そう思いながら俺は東野先生が出席を取るのをずっと聞いていた。


すると。


「あ。そうだ。...用場」

「...はい?」

「お前だけで後で職員室に来てくれ」

「...え?」


俺は驚きながら先生を見る。

先生は「何。嫌な事じゃない」と苦笑する。

えっと...今の、見透かされたか?

そう恐怖に思いながら俺は顔を引き攣らせた。



ホームルームが終わってから俺は呼び出された職員室に先生と一緒に行く。

すると東野先生は「まあ座ってくれ」と面談室に案内してくる。

俺は顔を引き攣らせながら「は、はい」と返事をした。

それから椅子に腰掛ける。


「今日お前に来てもらったのはな。...お前、長友華凛という少女を知っているか...っていうか知っているだろうけど」

「長友華凛...え?...あ、はい」

「長友華凛の事で呼び出した」

「他校ですよ?」

「ああ。知ってる。だけどな。長友華凛の知り合いの知り合いなのさ。私」

「...!」

「ちょっとお願いがある」

「...どういうお願いですか?」


「私はな。華凛が心配でな」と苦笑する。

清水道子しみずみちこは私の教え子で知り合いなんだがな。...長友華凛の事をよく気に掛けていてな」とも言いながら飲み物を差し出してくる。

俺は「!」となりながら先生を見る。

抹茶のお茶を飲みながら先生は「...お前、長友華凛が横の住人じゃないか?」と言ってくる。


「...良く知ってますね」

「私は千里眼が使える」

「嘘ばっかりですね。調べたんでしょう」

「...実際はな」

「で?どういうあれなんですか?」

「すまないが長友華凛と知り合いになってくれないか。隣人として」


まさかの言葉に「!?」となる。

すると先生は「...何というか華凛はちょっと複雑な人生を歩んでいてな」と紙コップを置く先生。

それから「お前が嫌じゃ無かったら、だが」と見てくる。


「また体育祭とかと同じごり押しですか」

「ごり押しじゃない。今回はお前が選択してくれ」

「...そんな感じで頼まれたら断れないの知っているでしょう」

「知っているな」

「最低ですね」


俺は盛大に溜息を吐きながら「分かりました」と言う。

それから抹茶の飲み物を飲みながら「恩があるので長友華凛を見守りますよ。隣人として」と言う。

すると先生は「すまない」と言ってから目線を逸らした。


「...でも何で今なんですか?」

「...色々あってな。家族環境もそうだが。彼女はろくな人生を送ってないんだ」

「そうですか」

「家庭環境が変化したから。だから君に頼みたいんだ」

「...分かりましたよ」


そして時計を見る俺。

それから「じゃあ先生。次の時間が始まりますから」と立ち上がる。

すると先生は「有難う。君にはお金で恩返しするから」とウインクをした。

いや。教師の言う事じゃない。


「...はぁ。期待をしないで期待します」

「はは。すまないな」

「...」

「...ああそれと」

「?」


俺は先生に向く。

すると先生は紙コップを潰しながら「この学校に華凛が転校して来るかも知れないんだ」と言ってくる。

俺は「?!」と思いながら先生を見る。

先生は「...それでな。もし転校して来たら仲良くしてやってくれ」と言いながら寂しそうな顔をする。

この人全く。


「...分かりました。...それなりに対応します」

「有難う。やっぱり用場は最高だ」

「...いや。褒めてもらっても...」

「面倒ごとを押し付けてばかりだしな」

「自覚しているならどうにかして下さいよ」

「いやいや」


そして笑みを浮かべる先生。

俺はその姿を見ながら「はぁ...」と盛大に溜息を吐く。

それから俺は教室に戻る。

そうしてから授業を受けた。



全ての授業が終わってから俺はゆっくりと立ち上がって智に挨拶をした。

それから帰宅しようと思い校門を出る。

暫く歩いてから「徹」と声がした。

俺は「...」となりながら背後を見る。

里島めぐるが居た。


「何の用事だ」

「何の用事って。デートしよ」

「...すまないが用事がある」

「え?何の?」


顔立ちは小顔。

そして髪の毛を前の方で結んでいる。

それからリボンを嵌めている。

モデルの様なギャル。


「図書館に行く」

「...そうなんだ。付いて行っても良い?」

「すまないが1人が良い」

「え?と、徹?」

「...俺は1人で過ごしたい」


そして俺は里島を見る。

稲妻でも走りそうな感じで、だ。

里島はただならぬ感じを感じ取った様だ。

俺は「...お前、浮気したな」と告げる。

小雨が降ってきた。


「...な、何で知っているの?」

「何でか教えてやろうか。俺はあの日、帰って来ていたんだ」

「...え!?」

「あの日、予定より早めに終わってな。用事が。それで俺は帰ったらお前。用場和彦と性行為していただろ」

「...!?」

「...そんな奴とは何も話す事は無い」


俺はゆっくり歩き出す。

すると雨が少しずつ多くなってきた。

思っていると縋られた。

里島めぐるに、だ。


「待って!お願い!ごか、誤解だから!」

「...何が?」

「...私、セックス...その。えっと」

「何も話す事は無い。別れる」


そして俺は里島を突き飛ばす。

それから濡れた地面に尻餅をつく里島。

俺はその彼女を見下した。

「仮にも俺はお前を信じていた」と言いながら、だ。


「...と、徹...」

「もうお前の事は信じられない」

「...ま、待って。お願い!」

「待たない」


俺は踵を返した。

それから俺は去ろうとした時。

また縋られた。

そして俺の袖を必死に引っ張る。


「わ、わたしはこんなに可愛いよ?!」

「笑わせんな。人は顔じゃない」

「徹!本当に御免なさい!」

「知らない。...死ね」


俺はうざったく絡んで来る里島に平手打ちした。

それから「俺は知らないって言ってんの。お前さ。情けないし...マジにウザい」と言い捨ててから歩き出した。

里島は号泣しながら雨なのか涙なのか分からない顔をした。

俺はそれを一瞥してから図書館に向かって調べ物をする。

そして一冊本を借りて...帰宅する、と長友さんが居た。


「長友さん」

「あ。用場さん...あれ!?濡れてますよ!?」

「あ、ああ。すまないな。...傘を忘れたんだ」

「え?じゃ、じゃあ急いでお風呂に入って下さい」

「...あ、ああ。すまないね」


そして俺は長友さんに挨拶をしてから部屋に入ろうとした。

すると長友さんが「もう。後で温かいうどんでも作りますから。風邪引きますよ。シャワー浴びたらお部屋に入らせて下さい」と言って...は?

俺は絶句してから彼女を見る。

今なんて言った。

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